ちゃんちゃん☆のショート創作

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夏の色【鳴門】
2014年08月29日(金)

ガイ班、ネジ視点

※「みんなでごはんを食べようか」と世界観が繋がってます。時間的には「みんなで〜」の前に当たります。ネジもまだ中忍になったばかり。


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 カシャン。


「あーっ、落ちちゃった」
「テンテン、危ないから触るな。手を切るぞ」


 夏、ガイの部屋で。
 定例のカレーパーティー・・・はさすがに暑いと、それでも麺つゆだけは手作りの「素麺パーティ」をガイ班で行なう、準備をしていた時の話である。


 素麺を茹でてくれたテンテンが、さすがに汗をかいたからと、窓際で『自然のクーラー』に当たって一息ついていたのだが。

 別に彼女が触ったわけではない。単なる偶然であろう、軒先に吊るされていた風鈴がいきなり落ちたのだ。彼女が気持ちよく風に吹かれていた、そのタイミングで。

 ガラスで出来たそれは、石畳の床に落ちてはひとたまりもない。


「ああ、やっぱり紐が切れたか。いい加減古くなっていたからな」


 弟子を制し、自分で残骸を拾い上げたガイは、あまり深刻な表情ではない。寿命が来たことへの感慨こそ、ありはするが。

 
「テンテン、気にしなくていいぞ。実はこの間自分でもぶつけててな。少しひび割れてたから、いつかはこうなる運命だったんだ」
「えー、でも、早く気づいてたら、落ちる寸前にうまく掴めたかもしれないのに」
「珍しいな、テンテン。リーみたいなことを言うじゃないか」
「でも僕だと、かえってその弾みで握りつぶしていたかもしれませんけど」
「つまり、どっちみち壊れていたということだ。自然の摂理だな、うむ」
「・・・。ひび割れていたんだったら、その時点で新しいのと交換した方が良かったんじゃないのか?」


 ───いずれ壊れていたんだから気に病むな。
どっちみちテンテンのせいではないのだし───。


 そんな遠まわしの師弟の心遣いを、ネジも分からないはずはない。だから、自分まで同じような言葉をかけてもわざとらしいと、いつもの冷静な持論をぶつけたのだが。


「う・・・む。いつかは割れるんだったら、それまでは吊るしておきたくてな。
この季節になるといつも出してきていた、亡くなった親父のお気に入りだったんだ」





 ガイの家には、古ぼけた調度品が結構ある。
 いつもがオーバーアクションの上に粗忽で、割れ物をしょっちゅう壊すイメージがある師匠の、物持ちの良さがネジには意外だったのだが。
 なるほど。亡き親を偲んで、丁寧に扱っていたとすれば納得だ。


 一方、庇われる格好になったテンテンは、しばし名残惜しそうに風鈴の欠片を見下ろしている。


「でもあたしこれ、レトロな柄で結構気に入っていたんですよねー。時々風鈴屋さんが売りに来てるの見てても、こういう味のある感じの、あんまりなくって」
「それは気の毒だったな。何せ俺が物心ついた時には、もう軒先でぶら下がっていた代物だ、もうさすがに時代遅れなんだろう」
「・・・つまり結果的に、ガイは自分も時代遅れだと言っているわけか」
「ほほう、うまいことを言うじゃないかね、ネジ。ご褒美に山葵をサービスしてやろう、ほーらてんこ盛り」
「やめろ。子供か、あんたは」
「ちょっとお、やめてよ二人とも」
「何だか楽しそうにも見えますね」


 そろそろみんなで食べましょうよー、と誘うリーの声に促されて、残る3人は食卓へつこうとしたのだが。


「・・・ああ、いい風が来たな」


 すうっ、と忍び込んだ涼風におかっぱ髪をくすぐられ、ガイが思わず目を閉じる。


 リィ・・・ン・・・。


 何故だろう。
 その時ネジには、聞こえるはずのない、あの壊れた風鈴が奏でた音色が聞こえた、ような気がした。


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 古いながらも、どこか温かさを感じられる家屋。
 その縁側で、口ばかりか床も服も真っ赤にしながら、満面の笑みを浮かべてスイカにかぶりついている少年。
 そしてその傍らで、息子の食欲に頼もしさを感じているのか、楽しそうに体を揺すっている父親。微笑む母親。


 リィ・・・ン・・・。


 彼らを見守るように、あのレトロな柄の風鈴が鳴らすのは、涼しげな音。



 何となく、想像がつく。
 あの暑苦しくも情に厚い上司が、さぞや両親に愛されて育ったのだろう、と言うことは。
 そして、その両親が亡くなった際は、さぞや人目をはばからず号泣したのだろう、と言うことも。

 かと思えばガイには、意外なくらい気持ちの切り替えが早いところもある。
 無論、変にこだわっていては、今日まで生き残って来られなかったに違いなく、彼がそれだけの修羅場と激戦を経験してきた、猛者の証だと分かってはいるのだが。

 その、ある意味でのそっけなさが、時々ネジを落ち着かない気分にさせる。

 人を責めろと言うのではない。
 もっと惜しんで涙したところで、誰も咎めも嘲笑もしないのに。
 あの男は『そういう奴』だと、皆が分かっているのだから。


 チリ・・・チリチリーン・・・。


 そんな折り。
 街に出ていたネジはたまたま、風鈴売りの行商を見かけた。
 道端で店を広げ、風鈴をぶら下げて見せている光景は、この時期の風物詩と言っていい。既に何人かは足を止め、商品を眺めている。

 それは一人でだったり、カップルであったり、はたまた親子であったりはするが、誰もが笑顔と共に。


 ───ガイの父親とやらも、こうやって風鈴を選んでいたりしたのだろうか。
 いやあるいは、息子が生まれる前に、夫婦で眺めていたのかもしれない。


 リ・・・リーーン・・・。


 風鈴の音色に誘われ、思わず店へと足を向けていたネジだったが。


「ネジじゃないですか。奇遇ですね」


 そこに立っていたマンセル仲間がにこやかに声をかけてきたので、反射的に回れ右をしたくなった。


「? どうしたんですか?」
「・・・いや」


 別に、リーが風鈴を眺めていて悪いわけではない。むしろ、修行馬鹿と揶揄されるこいつに、風流を愛でる感性があったことを喜んでやるべきであろう。
 そして、自分が風鈴を見に来たところで、何か支障があるわけでもない。

 ・・・が。


「ああ、ひょっとしてネジ、ガイ先生にこの間壊れた風鈴の代わりを、プレゼントしようとしてます?」


 ・・・こう言う事を何の臆面もなく口にする存在と一緒、という事実が、ネジに居心地の悪さを感じさせる。


 ───どうしてこいつは直球なんだ。あの日の、テンテンへの遠まわしな配慮は、どうして自分には発揮されないのか。


 もっとも、過日の出来事は仲間に罪悪感を残さないためであって、今日の場合はむしろ、先生を気遣う弟子の好意。
 それを隠す必要がどこにある、とリーは思っているに違いない。

 
「そ、そうじゃない。もうこんな季節なんだな、と思って・・・」
「良かったー。僕一人じゃ色々悩んじゃって」
「俺の話を聞け」
「良いのはあるんですが、あまり値の張るものだとかえって、先生に気を遣わせてしまうでしょう? ネジ、ここはひとつ二人で折半しませんか?」
「・・・・・・」


 かと思えば、ちゃんと同僚にも気を回すところもあって。
 ここで彼の誘いに乗れば、きっと一人で買うよりはずっと気恥ずかしくない。


「あー、何だ、二人とも来てたんだ。
ねえねえ、ガイ先生に風鈴、お金出し合って買わない?」


 そのうち、テンテンまでが風鈴の音色に誘われたのか現れて、ネジにこれ以上ない口実を作ってくれたのだった。


---------------


 三人で選んだ風鈴を、割れないようにきちんと梱包してもらい、ガイの家へ向かう。元々今日も食事会に呼ばれているので、その時に渡そうとの腹積もりだ。

 テンテンは包みを大事に、両手で抱えながらゆっくりと歩く。それを眺めつつやはり歩調を緩めていたネジだったが、ふと、視線の端に引っかかってくるものがあった。


 緑地の球体に、ギザギサな黒い線。
 水を張った水の中で、それは涼しげに浮いていて。


「・・・リー、テンテン、西瓜は好きか?」


 一応、同行者の好みを聞いてから。
 でないと、下手をすればあの上司と2人で黙々、と消費する羽目に陥りそうで、怖い。

 ネジの問いかけに、リーもテンテンもかなり驚いた表情になった。


「え、ネジもスイカ、好きなんですか? 僕は大好きですよ」
「あたしも好きだけど・・・珍しいわね、わざわざあんたが果物買って行くなんて」
「・・・西瓜は夏の風物詩だ。お前らと折半したおかげで、そのくらいの余裕はある」


 確かに嫌いなら、さすがに自分で買って行こうとはしなかっただろう。
 あの甘さと瑞々しさを好いていて、それを皆で分かち合うのも悪くない、と思う自分がいる。

 それに・・・。


「俺が食べるために買う場合は、どうしても小玉を選ぶしかないからな。
でも四人もいれば、それなりの大きさの西瓜を買うことが出来る。
・・・それがちょっと、嬉しい気がするんだ。子供の時以来、だから」





 ───今考えるに。
 自分の子供時代とやらは、父親が亡くなったあの日、既に終わりを遂げた───ネジはそう、無意識ながら思っていたらしい。
 それは紛れもない事実だ。少なくとも中忍ともなった己は、子供ではない。

 が、自らを律する余り、いつしか四季を楽しむ余裕すら、心の中から閉め出していた気がする。
 それは頑なな幼子と同じだ。口先や技術ばかりが先走り、精神の成長が止まってしまった、歪な子供。


 ガイは───あの、熱血と青春とやらを体現した男は、違う。
 良く笑い、良く泣き、あまりお目にはかからないけれど時々は、怒り。
 まるでいつまでも子供のような言動を繰り返しながらも、体と心をこつこつと鍛え上げ、まっすぐ伸びやかに育った大人、だ。

 そんな彼に何となく引きずられてか、体のどこか奥のところに忘れ去られていた何かが時々、ひょっこりと現れることがある。

 知り合った当初はともかく、今のネジはそれを、あまり不愉快だとは感じない。戸惑いはするけれど。


 ───父さん・・・。


 壊れたあの風鈴にガイが、思い入れがあったように。
 ネジにも、切なさが混ざった懐かしい夏の思い出が、ある。

 尊敬し、大好きだった父親と共に過ごした、幼少の頃。そんなにも長い年月は過ごしていないはずだが、その中の数少ない夏の日、大玉の西瓜を家族と食した楽しい記憶は、確かにあった。

 だから。
 幼きあの日のように、大玉の西瓜を皆で切り分けて食べるのが、素直に喜ばしいと思う。



 ちょっとだけ笑みを浮かべながらそう言うと、連れの二人は相当にびっくりしていた。


「・・・何だ? 俺がそう思うのはおかしいか?」
「え、いえいえ、そういうわけじゃありませんよ、ネジ。
ただ、なんて言うか、その・・・ネジが嬉しい、とかそういう言葉を使うのが、珍しい気がしちゃって・・・」
「え?」
「そうそう、あたしもそう思った。どっちかって言うとネジって、否定的な言葉使う傾向あるじゃない」
「ひ、否定的?」


 同僚からの鋭い指摘に、戸惑いを隠しきれないネジである。
 そして、リーとテンテンはこの時とばかり、無遠慮だ。・・・いつものことだが。


「俺はそんなに否定的な言葉ばかり、使っていたか?」
「ええ」
「うん。素直じゃないなー、って、いつも思ってた」
「・・・・・・・・。そんなつもりはなかったんだが・・・・・」


 無自覚な心の狭さにネジがショックを受けていると、しばらくの間ぽかん、としていたリーとテンテンはいきなり大笑いを始めた。


「ね、ね、リー。今のネジ、見た? 見た?」
「見ましたよ、テンテン。この目でしっかりと」
「何か、下忍の時より子供っぽい顔してなかった〜? 可愛い〜v」
「ええ。がーん、とか、ぼーぜん、とかの擬音が聞こえてきそうでした」
「そうそう。何かさ。いつもは『俺は何でも知ってる』って顔してるのにさ、実は自分のことも知らなかった、ってオチなのねー」

「・・・悪かったな・・・。
いつまでもそうやってろ。その代わり、スイカは買わないからな」


 大人げないと思いながらも、気恥ずかしさを怒りでごまかし、先を急ぐネジ。


「うわー。西瓜を人質にとるなんで、ネジ、ずる〜い!」
「待ってくださいよ〜。別に僕たち、ネジのこと馬鹿にしてるんじゃないのに〜」
「そうよ〜。それこそ嬉しいんだってば、あんたがあたしたちに心許してくれてるみたいでさ〜」


 それでも。
 残してきた仲間二人が、笑いながら追いかけてくるのを、ネジは決して疑わないのだった。



「あー、だが失敗したな。ひょっとしてガイも、自分で買って冷やしていると思わないか?」
「ありえますね。ガイ先生、好きそうですもん。かぶりますかね?」
「大丈夫よ。まだまだ暑いんだし、また明日もスイカ食べに、ガイ先生のところへ遊びに行けばいいじゃない」


◆終わり◆


残暑お見舞い申し上げます


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※こういう話書いておいてなんですが、今年の夏、まだスイカ食べてません。夏休み終わる前に、一度は食べたいなー。

 それにしても、ちゃんちゃん☆ はどうも、夏と西瓜、ってセットで考えるみたいですねー。ここには載せてないけど、以前書いたモン▲ーターンのSSでも、ジープに乗った蒲生さんが西瓜持って、榎木さん家に残暑見舞いに押しかける、ってのがあったから。

 実はこれ本当は、カカシと一緒にいる時にガイ本人が、連想するはずでした。縁側で、かつてのマイト父子が、スイカを食べてるシーン。が、その話を描く機会がないまま、ついネジ視点で書いてみたら思いもかけずハマったという・・・。ゴメン、カカシ。カカシの出番がなくなったのは、ち☆ の連想力のなさが原因だ★

 ちなみに当初、タイトルは「夏の音」でした。けどこれだと風鈴だけを指すこととなるからちょっとなあ、と「色」にしました。風には色がないけど、まあその辺はニュアンスで。「色」は「音色」の意味も込めてます。念のため。



業務? 連絡(サーチエンジン登録)
2014年08月16日(土)

よーやっと、いわゆるサーチエンジンに登録できました!
例の、I□のセキュリティ脆弱さに付け込んだウィルス? が怖くて、ここのところ他のブラウザ使ってましたが、それだと登録できないサーチエンジンあるんですよ(T_T)
今回登録したところは、とりあえず今使ってるブラウザでもOKでした。

ホント、I□じゃないと使えないサービスとか他にもいっぱいあるんで、ケッコー困ってます★

あ、むろん【鳴門】のガイで、登録したんですよ?


※後日加筆

 というワケで、一応バナー貼っておきます。

オー!NARUTOサーチ



少年ジャンプ総合サーチエンジン 少年ジャンプnavi


 あと、narusearch にも登録しました。あいにく直バナ出来ないので、テキストリンク貼っておきます。


narusearch


ながいともだち【鳴門】
2014年08月11日(月)

ネジ+綱手 お笑い 会話形式

※唐突に思いついたお笑い。タイトルが全てを物語ってます。ガイこそ登場しませんが、ネジと綱手が話しているのが他ならぬ、ガイのこと。口調でどちらがどちらかを、判断してください。
 尚、絵やら図やらを色々と想像して読めば、より楽しめます(^^;;;)

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「火影様。一体どうして、ガイをあのようなことに・・・」
「ん? お前は不満そうだな、ネジ」
「不満と言うより、納得できません。
ガイが任務か何かで失敗して、その咎(とが)で・・・と言うのならまだ分かります。
ですが、そのようなことは断じてない、と暗部の方からも聞き及んでいます。
俺、いや若輩者の私のような者が、火影様に意見するのもどうかと思うのですが、さすがに今回は説明が欲しい、と思いまして・・・」


「・・・ガイは何か、不満を言っているか?」
「いえ。三食昼寝付きですし、これも任務のひとつと思えば、と、逆に燃えてる始末で。密室でしか出来ないトレーニング、とやらをやっています」
「では、いいではないか」
「ちっともよくありません。リーの奴が、ガイの待遇に反感を持っています。
とりあえずテンテンと、ガイ本人の取り成しでおとなしくしていますが、下手をすれば任務放棄をしかねません」


「ふむ。自分が里外へ赴いている間に、師匠に害をなす───と言うのが、よくあるパターンではあるな。鋭い奴だ」
「火影様・・・・・・・・・・・☆」
「冗談だ。木ノ葉は別に、ガイをどうこうするつもりはない。むしろ、あやつを守ってやらねばと、色々画策している最中なのだ」
「守る、ですか。
・・・どうりでわざわざ、あのような頑丈な独房なぞに、ガイを閉じ込めているわけだ」


「分かるか?」
「それなりにややこしいことだ、という事は何となく。
ガイ本人がでしゃばると、かえって事態をこじらせかねないから、ですね?」
「ククク、お前も相当、師匠には手を焼いてると見えるな、ネジ」
「・・・。私のことはどうでもよろしいんです。
ここはきっちり、どうせなら納得の出来る説明を願えませんか」
「仕方がない。だが、今回の件がきちんと解決するまで、他言無用だぞ」
「無論です」
「では、まずはこれを見てくれ」


「・・・この男が、何か?(見覚えがある顔だな)」
「某国の大企業社長の御曹司だ」
「は? 御曹司、ですか? 兄弟、ではなく?
確かに、某国の社長の血筋と言われても頷けるほど、この男の容貌は似てはいますが」
「どうして兄弟だと思うのだ? 親子、ではなく」
「だってこの男、その、某国社長より、あの・・・」
「同年代か、下手をすれば老けて見える、か?」
「は、はあ・・・。
その、この某国の社長、と言う男は、私も新聞で何度か見たことがあります。外見も内面も特徴的な人物ですから、そうそう忘れようもありませんし」
「お前の師匠と負けず劣らず、か?」
「火影様・・・・・」
「スマン、つい茶々を入れずにはおれんのでな」


「・・・で、その御曹司が、何か?」
「実はガイたち上忍数名で、彼を護衛したことがあるのだ。つい数日前」
「数日前? ・・・そう言えばここ数日、ガイの姿が見えなかったな」
「状況説明は省くが、ガイが姿を対象者に見せた状態で、護衛せざるを得ない任務でな。むろん、その任務は成功に終わったんだ」
「でしょうね。隠密活動ならともかくも、人に見られても良いんなら、あの男の独壇場でしょう」
「で、その御曹司には子飼いのボディーガードが、数名いる」
「・・・ちょっと待ってください。
子飼いのボディーガードがいたのに、ガイは護衛の任務をさせられたのですか?」


「まあ、そうぼやくな。さすがにガイほどの手だれではないと不安だと、社長が依頼してきたんだ。その代わり、依頼料は法外だったぞ」
「そのせいで、要らぬ恨みを買って命を狙われるんじゃ、はっきり言って帳尻が合いませんよ」
「・・・・・全くだ。私も御曹司たち本人に、言ってやりたいセリフさ」」
「要するに、そのボディーガードは、ガイに役目を奪われたことで、いたくプライドを傷つけられた。で、報復しようとこちらへ向かっている。ハク付けの意味もあるか。
でも、ガイがそいつらを返り討ちにしても困る。打ち身程度の怪我で諦めて帰ってもらうよう、仕向けてる最中───と言ったところですか」
「それも理由のひとつではあるが・・・おしいな。80点と言ったところか」


「おしい、って・・・他にどんな理由があるって言うんですか?」
「さっき、御曹司の写真を見たな? 見てお前、何か感じなかったか?」
「え・・・ですから、社長の息子とは思えないと・・・」
「どうして、そう思ったんだ?」
「その・・・この男の・・・髪が、随分薄くてみすぼらしいから・・・って、あれ??」
「ちなみにこの男、ガイと同い年だぞ」
「同い年!? 本当ですか!?」
「こんなことで嘘を言ってどうなる?
そこまで情報提供すれば、分かるだろう? どうしてガイが、命を狙われたか」


「・・・おい、どうしたネジ。気分が悪くなったのか? 
だとしても、そんなところでうずくまってもらっては困るぞ」
「ば・・・馬鹿馬鹿しい・・・・・っ!」
「そう言うな。本人にとっては、切実な問題なのだろう」
「言いたくもなりますよ! ガイのことだ、暑苦しくも真面目に、護衛役をやってのけたんでしょう。なのに、こともあろうにその守ってやった相手から、命を狙われるなんて。
しかも理由が、単なる嫉妬じゃないですか!」
「ガイの黒髪は、くのいち達の間でも語り草になっているからなあ。
大した手入れをしている様子もないのに、どうしてあれだけツヤツヤのキューティクル状態を保っているのか、とな」


「くのいちですら羨ましがってるなんて、知りませんでしたよ・・・。
なら、薄毛で悩んでる男なら尚のこと、というわけなんですね」
「ネジ、お前はさっき、暑苦しくも真面目に護衛をしていた、と想像出来たんだろう? なら、護衛中ガイが、あのツヤツヤの黒髪をなびかせながら奮戦しているさまも、簡単に想像出来るんじゃないか?」
「あまり想像したくはありませんが・・・今まさに目に浮かぶようで怖いです」
「その様子を、護衛されながらも後ろから眺めるハメになった御曹司の葛藤も、分からなくはないんじゃないのか?」
「それとこれとは話は別です。
人間性に若干・・・いや、大いに問題のある師匠ではありますが、こんなしょうもない理由で命を狙われる謂れはありませんよ。
俺は正直、生涯初めてあの男の境遇に同情したくなる・・・!」


「おいネジ、お前、この件がお前にはまるで無関係だ、と思っていないか?」
「・・・・・は?」
「お前も、それはそれは美しい、長く黒い髪をしているだろう?」
「・・・いくらぼんくらの御曹司でも、これだけ年が離れた人間の髪に嫉妬するとは、思いたくないんですが」
「御曹司の件はさておいて、だな。お前の髪も、くのいちたちの羨望の的なんだぞ」
「それこそ俺の知ったことじゃないです」


「まあ、聞け。最近、美貌で有名な某・女優が、髪のつやがなくなったと悩んでいるのを知っているか?」
「火影ともあろう方が、一体どんな情報を集めてらっしゃるんですか・・・下世話ですよ」
「なかなか面白いんで、つい、な。
・・・まあともかく、万が一にもそう言う任務が回ってくることはないだろうが、お前とガイの二人は絶対、彼女の前には姿をさらしちゃいかんぞ。ただでさえ、世話係の髪の質に嫉妬して解雇した、なんて話題が伝わってくるほどだ」
「・・・・・・」
「髪に悩む連中に、背中から刺されないように、な?」
「・・・・・・ご助言、感謝いたします・・・」


◆おしまい◆

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※しょーもなっ!! イヤ、自分で書いたんですが。

 この間、とある情報番組で、薄毛になりやすい条件、というのをやっていて、遺伝等もなくはないけど、ストレスや暴飲暴食も理由になるんだそうで。

 ただそれだけなら「なるほどなるほど」で終わっていたんですが、すっかりガイにハマっていた ち☆ はつい彼のサラサラ髪を思い出し、「ガイはそんなものとは無縁だなあ」と考えて。逆にそういうのに無頓着だから、変な逆恨みを買ったりして・・・と、今回の話が出来た次第。ホント、アイデアの神様ってTPO関係なく舞い降りてくるよな☆


 いくらプロのボディーガードとは言え、隠れ里なんだからそう簡単に潜入できやせんだろ! と、ツッコミありまくりでしょうが、お笑いですんでその辺は大目に見てねv


 実はこの話、カカシやリーも出てくる予定でした。が、普通の小説形式だとストレス感じるだろうと会話形式にしたら、思い切り無駄をそぎ落とした挙句の果てに、登場人物がネジと綱手の2人だけ、という、ち☆ にとっては前代未聞の内容になってしまったとゆー。・・・いろんな意味で、意欲作です。(今まで100以上の話を書いてきたけど、独白小説を除いて、会話形式ですら最低3人は登場していた)

 ちなみにこの時期、ネジは既に上忍になってます。だからこそ、綱手に詰め寄ったりしてるんです。下忍・中忍時代は、色々と不満不平はあったとしても、一応は分をわきまえて意見などしませんて。ガイに対しての態度が、ケッコー辛辣ではあるものの以前から比べればかなり柔らかくなってるのも、そのせい。一緒に任務を沢山こなしたりするうちに、認めるところは認めるようになってます。

 ただ、綱手のところへ文句を言いに行くのを、勢いでネジにしたんですが、よくよく考えたら彼も、なかなか綺麗な長髪してますよね? 逆にその辺の意識が薄いんじゃないかと、妙なリアリティが出た気が。ラストに「背中から刺されないように」と書いたのは、無頓着だからこそ恨み買うんじゃ? と思ったから。妙なところで似てるよな、ガイとネジって。

 ところで。
 今回このままじゃ、問題が全然解決しとらんじゃないか、と思うので、ちょびっとオマケを書いておきます。でもやはり、ネジと綱手さましか登場しません。ただし、とある人物が暗躍してますが(^^;;;)やっぱり出さずにはいられないんだよなあ・・・。

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◆おまけ◆


「どうでもいいんですが、このままでは根本的な問題解決にはなっていませんよね?」
「このまま単に、刺客を気絶させて叩き出すだけでは、確かにな。
だが安心しろ。御曹司の薄毛を何とかすれば、一挙解決だ」
「・・・は? どうやって? 火影様お得意の医療で、薄毛を何とかする方法が、あるとでも?」
「当たりだ。あの御曹司はどうやら、毛が薄いことへの堂々巡りストレスと、暴飲暴食が理由での薄毛らしい。
つまり、それらを取り除くことが叶えば、薄毛も解消することとなる」


「簡単におっしゃいますね・・・御曹司、ということは、金と暇と権力が有り余ってる、ってことでしょう? そういう男から、どうやってストレス・・・はともかく、暴飲暴食をなくすんですか?」
「いくら根性なしでも、生命がかかっていれば話は違ってくるだろう」
「・・・・・・物騒なことを笑顔でおっしゃらないでください・・・」
「いや、本気で命をとるとか言うんじゃない。ちょっと脅して、ダイエットも兼ねてるんだ、と囁いてやれば、よほどのことがない限りは取り組むさ」
「そんな無茶な・・・」
「物は言いようさ。大体、よく思い起こしてみろ、ネジ。この木ノ葉の忍で、薄毛の奴は何人いる?」


「・・・・・。イビキさん以外、ほとんど思いつきませんね。第一彼の場合、むしろ薄毛じゃなくて必要性に迫られて、敢えて剃ってらっしゃるんでしょう?」
「まあな。それはともかく、忍は暴飲暴食はしない、そのおかげで髪は無事なんだ、と言ういい見本になるじゃないか」
「説得力はあるかもしれませんがね。そんな馬鹿馬鹿しい、御曹司の暴飲暴食を控えさせるなんて任務、受ける奴がいるものですか」
「いるさ。たとえ不満や文句があろうが、無理やり引き受けさせるんだ。私は火影だぞ?」


「俺は断固拒否します!」
「安心しろ。わざわざコンプレックスを刺激するような奴を、派遣したりはせん。逆効果だ。そういう意味では、ロック・リーも無理だな。見事なまでの『天使の輪』だし」
「あいつの場合、性格的な問題もあるでしょう。
しかし・・・一体誰が引き受けたんだ、こんな任務」
「とりあえず非番だった奴を当てたがな。さすがに他の任務と兼用、と言うわけにはいかんし」
「非番、って・・・ここ最近、木ノ葉は皆暇で、ほとんどの奴を里内で見かけてましたが。
忙しかったのは、さっきの護衛の任務とやらが入っていたガイ、と、彼とマンセルを組んでいた連中だけなんじゃ・・・」
「ほう、なかなか鋭いな。さすがは天才」


「・・・・・あの、火影様。さっき思い出したのですが」
「うん? 何をだ?」
「ガイと同じ時期に、確かカカシ・・・先生も里内で見かけなかったような・・・」
「ふふふふふふ」
「まさか・・・彼に押し付けたんですか、そんな任務。次期火影とも目されてる、あの人に」
「結果的には押し付けたがな。
第一、里に押しかけたボディーガードと面識があったから、真っ先に事情を把握したのは他ならぬ、カカシだぞ? あいつもガイと同じ任務に当たっていたからな、適任だろう」
「何て運の悪い・・・優秀なのも良し悪しだな」


「そうか? カカシは笑顔で、引き受けてくれたぞ?
『折角の非番にこのような任務、さっさと終わらせた方がお互いのためですね』とか言ってたな」
「・・・それって、にこやかだけど目が笑ってない、って奴じゃ・・・?」
「あいつにしては、珍しくやる気のある発言だったと思うが?」
「やる気、じゃなくて、殺気、の間違いでしょう。
あああああ・・・己の想像力が恨めしい・・・ぼんくら御曹司がひーひー泣いているそのそばで、カカシが研ぎ澄まされた殺気を辺りにバリバリ放電してる、そのさまが目に浮かぶ・・・」


「ふむ。しかしこれは案外、いい商売になりそうだ。
『意志の弱い人間でも1週間で食事節制が出来ます!』なんて広告、いけるかもな」
「お願いだからやめてください・・・。
暴飲暴食は直ったとしても、逆にストレス溜めまくるだけですって」


◆今度こそおしまい◆

------------------

※某・写輪眼がやる気を見せていたのは、ガイへの友情のためか、あまりにくだらない任務にキレかかってるか、どっちなんだろ???

 あ、イビキさんが髪を剃ってる、ってのは勝手な想像です。


 どーでもいいけど、おまけと本編の文章量、あんまり差がなかったよな★


みんなでごはんを食べようか 後書き【鳴門】
2014年08月04日(月)

 いつだったかネットサーフィンをしていた時、どこのサイトさんだったかど忘れしたんでアレですが(←罰当たり☆)、ガイ班のみんなでガイ手作りのカレーを食べてるコミックに遭遇しまして。「あのネジが何の文句も言わず食ってるなら、それなりに美味しいんだろうなー」と妙に納得したのを覚えているんです。

 で、自分の事を顧みて、子供の頃なんでカレーが好きだったのかな? 家でも週イチで作ってたよな、何でだ? と考えてて、今回の話が出来ました。
 幼い時は母親が専業主婦してたこともあってケッコー節約ムードで、けど社会人になった時他人の家庭料理なんかを聞くと、「お金はかけられないけど手間はかける」的な料理をたくさん作ってもらってたんだな〜、と痛感しました。だから、マイト親子のところもそうだったんじゃなかろか、と。

 ちなみに、国営放送でよく見てる、サラリーマンの昼飯だけに焦点を当てる番組で、たまたま先日はカレー特集でした。その中で、ものすごく熟成させたバナナ(つまり「エ■イカより愛をこめて」のジェームズ君の好物「腐りかけ」・・・?)を入れたら好評だった、てな話だったんで、今回冒頭に差し込んでみた次第。え? ウチのカレーですか? いえいえ、そこまで金、かけてませんて。(←威張れん☆)


 実は今回の話、テンポが良くなくて端折ったエピソードが2つばかり。

 1つは、カカシが「ダイのカレーを2回食べた」と言っているのに、「ダイとの夕食に誘われたのは1回きり」と付け加えている点。

 矛盾しているようでいて、そうでもないです。カカシがダイのカレーを2度目に食べたのが、ダイの死後だった、って意味でして。ガイが冷凍保存していたものを、カカシと一緒に食べたと言うわけ。
 いい加減食べないともったいないことになる、けど、自分一人ではいろんな意味でとても食べきれない。で、たまたま家を訪ねて来たカカシに付き合ってもらった、って設定。当然ガイはその際、号泣状態(T_T)

 エビスもゲンマも、その時は任務で里を離れてたんで、お相伴には預かれませんでした。

 で、これはあくまでも蛇足ですが、カカシはその時のカレーを美味しかった、と感じてて、ガイにもきちんと伝えてます。ある程度気持ちの落ち着いたガイは、そこで妙な対抗意識を父の味に抱いて、もっと美味しいカレーを作ってやる! と奮起してるってワケ。カレー作りに凝ってる理由は、それだけじゃないですが。

 でもカカシは、簡単には美味しいとは言ってあげません。だって言っちゃったら、それで終わっちゃうから。もちろん、ガイと辛さの好みが合わない、と言うのもウソじゃないです。


 もう1つは、「リー君は大丈夫だねー」とカカシがラストで言ってましたが、その具体例がネジたちの間でちゃんと実践されていた、と言う点です。
 書きたかったんだけど。こういう感じで。

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 ある日のこと。任務が無事終わり、木ノ葉の里に帰って来たガイ班が、まだそんなに遅い時間帯でもなく疲れてもいなかったので、揃って夕食を食べることにして。
 結構混んでる居酒屋に、4人で入って夕食をとってたら、カカシの言う「口さのない奴ら」が主にリーに対しての悪口を言ってるのを、ネジが耳にして。

 リーにもきちんと聞こえてるらしく(聞かせてる?)、箸の進み方が遅くなってて。

 いろんな意味でカッ! となったネジが、たまたま卓上にあったリーの好物が盛られていた器をつかんで、

「リー! お前の好物だろ、遠慮なく食べろ!」

と差し出そうとしたら、実はガイも同じことをしようとしたせいで、二人で大きくもないひとつの器をつかんでリーに差し出してる、てなおかしな図になって。

 そこで4人で大笑い。口さのない奴らは退散。リーの食欲も復活。

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 この話も『込み』だったから、タイトルが「みんなでごはんを食べようか」なんですよ。「みんなでカレーを食べないか」じゃなくて。今でもそのつもりなので、タイトルは変えません。

 ああ、それにつけても文才のなさが恨めしい。あるいは、イラスト書けたらこの風景、表現できたのになあ。



※後日修正あり。「みんなでごはんを食べないか」になってました(T_T)







みんなでごはんを食べようか 後編【鳴門】
2014年08月03日(日)

ガイ班+カカシ ネジ視点


※うっかりしてましたが、以前書いた「追憶」とは若干設定が違っています。それぞれが独立した世界観だと思ってください。

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「子供の頃、ちょっと不義理しちゃってたから。
それにカレーって、出来たら大勢でワイワイ食べた方が、楽しいじゃない」


 含みのある発言は、一瞬でリーたちの口を噤ませた。
 台所でカレーを温めているガイの、カチャカチャという食器の音だけが聞こえて来る。

 皆、目と目でせっつくクセに、誰も事情を聞く勇気が出ない。それを察し、あえて明るい声でカカシは口火を切った。


「・・・みんな、ガイの親父さんのこと、聞いてる?」
「え、ええ、まあ・・・」
「随分前に亡くなった、ってことだけは、以前に・・・でもそれ以上はちょっと」
「カカシ先生は面識があったのか?」
「あったよ。・・・まあ、想像はつくだろうけど、ガイをもーっと濃くしたような人でね」


 ───あのガイより、濃い人間がいたのか。


 声にならないつぶやきが聞こえたかのように、カカシの言葉はクスクス混じりだ。


「イヤ、ガイの親父さんが濃かったから、息子もああなった、って感じだよ。
でね、彼はガイとは違って、死ぬまで中忍にはなれなかった。いわゆる万年下忍、ってヤツ。
でも下忍って、ま、リー君たちもついこの間まではそうだったろうけど、稼ぎはあんまり良くなくって。独身とか、共稼ぎってならともかく、子供を養って行くにはケッコー厳しい環境なワケ」


 ガイがカレーに抱く思い───それが何となく分かり始めたネジたちに、頷いて見せるカカシ。


「そういう事だよ。カレーは冷凍させておけば保存が利くし、ちょっとぐらいはしなびた野菜を入れても、少し古いお米にかけても、それなりに美味しく出来て経済的デショ? 野菜もたくさんとれるしね。
だから、親父さんから受け継いだガイのカレーって、陳腐な言い方をすれば、出来うる限りせめてもの精一杯の愛情の味、ってこと」


 ま、あれだけ凝った上に辛くなったのは、単にあいつの趣味だろうけど、と付け加えて。


「何が俺の趣味だって?」


 ちょうどそこへガイが、カカシの分のカレー皿を持って現れた。


「サンキューv 
イヤ、お前のカレーが辛いのは、お前の凝り性のせいだろう、って話してたの。
だって、お前の親父さんが作ってくれたのって、そこまで辛くなかったデショ?」
「そうだったか?」
「そうだよー。・・・じゃ、いただきまーす」


 カカシは受け取った皿に早速スプーンを差し入れ、生卵をカレーと混ぜてから食べ始める。


「うわ、やっぱりちょっと辛い」
「文句を言うなら食うな」
「食べられないとまでは言ってないでしょ、返してよー」


 頭上でカレー皿がやり取りされるさまは、はっきり言って上忍同士のものと言うにはあまりにもおとなげない。
 そのうち、カカシが何とかカレーを取り戻し、再び食べながらあれこれと主張し始めた。



「・・・だってさ、俺が親父さんのカレー食べたの2回だけだったけど、ここまで辛くなかった覚えあるよ。ガイってば絶対、自分好みの辛さに慣れすぎて、親父さんの味おぼろげになってるんじゃないのー?」


 父親の味を忘れた、とまでは言わない辺り、ガイへのさりげない気遣いを感じるネジである。


「うーん、言われてみれば、材料も子供の頃よりいいものを使ってる、か。それに香辛料も最近は、色々なものが手に入るようになったから、つい試してみたくなるしな」
「・・・ちょっと。俺たちを実験台にしないでくれる?」


 そう文句をたれながらも、カカシはいつの間にか皿の中身を全部平らげていた。そしてそのまま空の器をガイに押し付け、無言のうちにお代わりを要求する。
 苦笑いのままそれを受け取ったガイは、部下たちの皿を一通り見て尋ねてくる。


「お前らは? お代わりはいるか?」
「僕はもうおなかいっぱいです」
「あたしもー。お水もらいますね」
「俺もいい。テンテン、俺にも水をくれ」
「はいはいー」


 弟子たちのやり取りに微笑ましさを覚えつつも、ガイはカカシの皿と共に台所へと消える。
 それを見計らって、今度はテンテンが小声でカカシに声をかけた。


「あの、カカシ先生、さっき不義理、って言われましたよね? それってどういう意味なんですか?」


 ちなみに、普通『不義理』というと、借金を踏み倒すことをさす、事もある。が、今のリーたちの歳にはとっくに上忍になっていたはずのカカシに、それはありえないだろう。色々な意味で。

 カカシはしばしためらった後、何故かネジをチラリ、と見てから話し始めた。


「よくある話だよ。俺はその頃、既に上忍で、マイト親子は下忍だった。だから立場が色々とややこしくてね。ガイの親父さんはそんなことは気にしてない風だったけど、口さのない連中は当時、結構いたんだ」


 今でもそう言う奴らって、どこにでもいるけどさ、と、カカシは疲れたような口調になる。


「・・・特に俺は、自分の両親に先立たれていたから、ソッチ方面の情に訴えて便宜を働かせようとしてるんじゃないかー、なんてね、無責任なことを噂してくれたワケ。
だからガイも、俺を親父さんとの夕食に誘ってくれたの、1回だけだったよ。よっぽどひどいコト言われたんじゃないのかな」


 あの、押しが強くて遠慮を知らない風のガイが、だよ? と半分おどけながら、カカシの話は続く。


「ま、俺としてもそれで助かった、って思った時期もあるけどね」
「! どうして?」
「だから俺、両親亡くしてるデショ? だから、仲良し親子を見てると、ケッコー辛かったのよ」


 ───馬鹿なことしてたなあ、あの頃の俺って。


 珍しく自嘲気味につぶやくカカシに、ここで辛らつなことを言えるのは一人しかいない。


「お前が馬鹿なのは、いつものことだろうが」


 ガイがカレーのお代わりを持って、カカシの向かい側へ座り込んだ。


「・・・ひどいね、何も本人の前で、直接言うことないデショ」
「俺は陰口は好かん。だから、本人に直接ぶつけられないことは口にせん、と決めとるんだ。逆にぶつけられるモンは、遠慮なくぶつけるしな。今みたいに。
もっとも・・・言いたくても言っちゃまずいこと、なんざ、世の中には山ほどあるが。
その辺を分かってない奴らが、今も昔も多くて困る、全く」
「そ、だね。今も昔も、ね」


 思い当たる節がありまくりのカカシは、少し肩をすくめたきり食事に専念した。


「気にするな。お前が来なかったおかげで、取り分が増えたって喜んでいた奴もいるんだ。給料日前のエビスとか、ゲンマとかがな」
「・・・出たよ、ポジティブ発言」
「え? ゲンマって、中忍試験の時審判してた、あの男か? 何であいつがガイのところに?」
「それにエビスって人も、確か木ノ葉丸くんの担当上忍してるあの人よね? ガイ先生、知り合いなの?」
「ガイ先生って、交流関係が広いんですねー」


 思いもよらない人名が飛び出し、ネジたちが再び混乱するのを目の当たりにしたカカシは、口の中のものを全部飲み込んでから、解説してやる。


「ゲンマもエビス先生も、ガイの元マンセル仲間だよ」
「・・・つまり、今のあたしたちみたいな関係、ってことですか?」
「ああ、なるほど」
「それにしては、随分タイプが違いますよね・・・とっても個性的、って言うか」
「リー、あんたが言わないで」
「リー、お前が言うな」
「ええーーーーー!?」
「テンテン、ネジ、お前らも人のことは言えんと思うぞ?」
「ガイ、その言葉、そのまんまお前に返したいよ」
「何をぅ?」


 類は友を呼ぶ、だったか?
 それともこれは、人のフリ見て我がフリ直せ・・・はどこか違うか。


 失笑を禁じえないまま、ネジは目の前の喧騒を何となく眺めていたのだが、不意に目が、カカシと合う。

 彼は、どこか痛みを伴った懐かしさと共に、ゆるい笑みを浮かべていた。


「・・・ま、この様子なら、リー君は大丈夫みたいだねー」


 馬鹿なことをしていた───そう自ら呟いた上忍は、ネジに己れを、そしてリーに自称・ライバルの姿を見ていたらしい。

 かたや天才、と呼ばれ、孤高を気取っていた少年と。
 そしてかたや、落ちこぼれだと周囲からあざ笑われながらも、懸命にあがいていた少年を───。


「・・・・・・・・。当たり前だ」


 まだまだカカシには及ばないものの、唇の形を精一杯、笑みの形にして見せたネジであった。





「む・・・スマンがネジ、また皿とスプーンを出してくれ。今度は2組だ」
「は?」
「2組って・・・」
「何かこのパターン、さっきあったわよね?」
「そう言えば今日って、月末に当たるんじゃないの〜?」
「「「ま、まさかそれって」」」
「カカシ、お前が妙な話を持ち出してくるからだ。噂をすれば影とやら、と言うだろう」
「あのねえ、言いがかりはよしてくれない? 完全に偶然だって」


「おーいガイ、今月懐が寂しいんだ。飯食わせてくれ」
「スミマセンが、今月は色々と物入りでして・・・元班員のよしみで、ご馳走してくれませんかね?」
「お前ら・・・なんで揃いも揃って・・・もうとっくにご飯は残ってないぞ!」
「あ、心配すンな。ちゃんと持ってきたから」
「そのくらいは、自分できちんと用意してきますよ」
「そこで胸を張るな! 全然威張れんぞ!! おまけに何だ、そのタッパのご飯の量は!!」


「・・・とか何とか言いながら、ちゃんと皿もスプーンも用意してあげるのよねー、ガイ先生」
「あ、ひょっとしてさっき、俺の時もそうだったの?」
「ええ、数秒前から来られるの、気づいてましたし」
「一応は牽制しておかないと、いつも当てにされても困るんだろう」



 苦味も、辛さも、ほんの少し混ざる甘やかさも。
 煮込んでしまえば皆、それはそれで程よいアクセントになって。



 ───俺が、お前らと一緒に、食べたかったんだよ。

 ───カレーって、出来たら大勢でワイワイ食べた方が、楽しいじゃない。



 だから。
 みんな揃ってご飯を食べようか。


◆終わり◆





みんなでごはんを食べようか 前編【鳴門】
2014年08月02日(土)

ガイ班+カカシ ネジ視点

※前回、ケッコー暗い話だったので、今回はほのぼのを。でも原作の現状考えると、解釈の仕方によればちょっと切ないかもなあ・・・・・。

※うっかりしてましたが、以前書いた「追憶」とは若干設定が違っています。それぞれが独立した世界観だと思ってください。

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「んーv この辛さがクセになりますね〜v」
「今回のには何が入ってるんだろ? ・・・え〜と、バナナ、かな? この間のリンゴの時とはちょっと、風味が違うわよね?」
「おお、よく分かったな、テンテン。それとネジ、お代わりならたくさんあるからな、遠慮なく食えよ」
「こら、勝手に人の皿によそうな。全部食べてからにしてくれ」


 ガイ班では時々、担当上忍・ガイ手作りのカレーを皆で食卓を囲んで食べる、イベントが行なわれる。
 むろん会場は、ガイの家だ。
 人目を気にせず、おなかが膨れるまで食べ、時々世間話や任務の話を挟みながら、それなりに楽しくワイワイと過ごす。


「どうだ? ネジ。今度の味は」
「前よりは後味がいいな。辛味がまろやかだし」
「そうか。じゃあ、次回はもっとその辺を工夫して作るぞーv」
「・・・お手柔らかに頼む・・・」


 最初のうち、ネジはこのような時間の使い方をするつもりは、毛頭なかった。ガイに心酔しているリーや、『付き合い』をコミュニケーションの一環としてある程度は大切にしているテンテンは、ともかくも。

 だから下忍時代、初めてガイの家へ半ば強引に、他の二人と共に連れて来られた時、これっきりの予定でいた。
 ただ、ガイの部屋が、勝手に描いた想像図より片付けられていたことに興味を持ったのと、もう1つ。台所から漂ってきたカレーの良い香りに思いもかけず、腹の虫が盛大に鳴り響き、帰るに帰れなくなってしまったのだ。


『カレーとか鍋とか言うのはな、たくさん作った方が美味しくなるんだ。遠慮なくじゃんじゃん食え食えv』


 ───結局、あれだけ乗り気ではなかったくせして、ちゃっかりお代わりまで平らげてしまい、ネジは相当複雑な気持ちだったのだが。

 帰路につこうとした部下3人に、ガイは玄関先で、口臭消し効果のあるガムを手渡しながら、こう言った。


『お前たち、こいつばかりを頼りにしないで、寝る前にちゃんと歯を磨くんだぞー』
『ハイ! 分かりました、ガイ先生!』
『ちょっと、そんなの当たり前でしょ? 大体、今日のカレーってニンニクとか利いてたから、ちゃんと磨きますよ』
『いや、そうじゃなくてな』
『・・・・・?』
『その、カレーの匂いってのは、結構残るんだ。極秘任務中にカレーの匂いで敵に気づかれる、なんて洒落にならないしな』


 ───ネジがガイを、つくづく忍らしからぬ男だ、と思うのはこんな時。


『んもーーっ! だったら、最初からカレーなんて食べさせないでくださいよー』
『そう言うなって。ちゃんとここしばらくは、里の外へ出る任務はないことを、事前に確認済みだ。・・・それに』
『それに?』
『俺が、お前らと一緒に、食べたかったんだよ。子供の頃からの俺の好物なんだ。
ま、上司権限乱用しまくっとるが、大目に見てくれ』


 そう言って浮かべる笑みは、いつもの豪快なものとは全然違っていて。
 この手作りカレーとやらに、よほどの思い入れか思い出があるのだろう、と察せずにはいられなかった。





 それからいくつかの月日が過ぎ去り、リーとテンテンは中忍に、そしてネジは上忍となった。
 さすがに経験こそ到底叶わないが、今やガイと対等な立場になったわけだ。現に、ネジだけ別のマンセルを組んだり、ガイとの共同任務(ツーマンセル)につかされる日すら、ある。

 だから、その辺を強調さえすれば、あるいは断ることは出来ただろう。
 でもネジは未だに、リーやテンテンと共に、このささやかなる習慣を受け入れ続けている。───特に理由などない。強いて言えば、美味しいカレーに罪はない、といったところか。

 ただ、ガイが自ら作るカレーにどんな思いを抱いているのか、あれからずっと知りそびれているのも事実だ。
 プライベートに深く根を下ろしているであろうことが明白なそれが気にならない、と言えば嘘になる。とはいえ、一番弟子を自称するリーですら、その辺はわきまえてか尋ねようとはしない。そんな彼を差し置いて、自分が聞くのもどんなものか。

 遠慮やら、気恥ずかしさやらが絡んで、今日も結局その辺の理由を聞き損ねるのだろう───そうネジは踏んでいたのだが。


「・・・ん?」


 今日はいつもと違っていた。

 自分たちと同じく、嬉しげにカレーに舌鼓を打っていたはずのガイが、唐突に手を止めたかと思うと、黙って両目を閉じる。・・・これは、何かの気配を探っている際の彼、独特の仕草だ。


「何であいつが・・・チッ、今日は里外じゃなかったのか?」
「え? どうなさったんですか? ガイ先生」
「ちょっとな。スマンがリー、テンテン。そこを開けておいてくれ」
「そこ、って・・・。あたしとリーの席の間、ですか?」
「ガイ、誰かが訪ねてくるのか?」
「そう言うことだ。それとネジ、そこの棚から、カレー皿とスプーンを1つずつ、出しておいてくれ」


 部下たちに次々と指示を出しつつも、ガイはやれやれ、と言わんばかりの表情を浮かべる。

 それからわずか、20秒後。


「こんばんわ〜。ガイー、お呼ばれに来たよ〜」


 顔下半分は口布で覆われ、写輪眼の左目は額当てで隠し、右目しかあらわになっていないにもかかわらず、笑顔でいるのがまる分かりの忍、はたけカカシが、チャイムと共に玄関先へ現れた。

 ただ訪ねて来た、だけならともかく、どうやら彼は夕食のお相伴に預かりに来たらしい。
 イヤ、今日の夕飯がカレーだ、と言うことは、近くまで来れば匂いで分かることではあるが。


「カカシ・・・お前、帰還は明日じゃなかったのか?」
「うん、まあね。実は予定よりサクサク進んじゃったもんだから、おなかペコペコでさあ。でも、自分で作るのは面倒くさいし、どこかの食堂とかで食べるのも気疲れするし。ガイのトコ今晩カレーなら、俺の分ぐらい楽にひねり出せるよね?」
「言っておくが、今晩は生卵は残っていないぞ」


 味にまろやかさを出すため、ネジたちはカレーに新鮮な卵を落として食べている。衛生上の問題から、いつも食べる直前に食べる分だけその筋の店で取り寄せていて、ガイはそのことを指して暗に『お前は呼んでない』とカカシに釘を刺したわけだったが。


「分かってるって。どうせそうだろうって思ってたから、ほら、ちゃんと生卵は持参済み〜v」


 ンなことで抜け目なさ発揮して、どーすんだ☆


 即座にツッこむ、ガイ班全員。

 カカシもさすがに、ちょっと辛目のガイ特製カレーは卵なしでは食べないのか。
 いや、そんな味覚嗜好より何より、最初から今日はカレーだと察した上で、カレーを食べる気満々で来たのか、この上忍は。


「いやーどーも。ネジ君にリー君にテンテンちゃん。ちょっとお邪魔するねー」


 どこから指摘すればいいのか混乱中のガイの部下たちをよそに、カカシは開けてもらった空間に上機嫌で座る。
 そのあまりの図々しさに、ガイはカカシを一瞥してからわざとらしくため息をついた。


「サクサク進んだ、と言った割には、こぎれいな格好だな、カカシ。さすがに人の家を訪ねる前に、風呂ぐらいは入ってきたと見える」
「ええー、だって以前、仕事帰りそのままで押しかけたら、ものすごく怒ったじゃない。俺にも学習能力はあるよ」


 いったいどんな格好で押しかけたと言うのか。ひょっとして、思い切り食欲減退するようなスプラッタ状態とか?

 この調子では、たまたま自分たちが今まで遭遇していなかっただけで、カカシはかなり頻繁にガイのところへ、夕食をせしめに来たことがあると見える。
 ネジはそれを悟って、エリートだのなんだのと言われている男の実態に、あきれ返るのだった。


「・・・。さすがに今晩は、お前は来ないと思っていたからな。残りのカレーは冷凍保存するつもりだったんだ。温め直してやるが、少し時間がかかる。おとなしく待っていろ」
「うん、よろしく〜v」


 もはや諦めがついたのか、苦笑しつつ台所へ姿を消すガイ。無論その手には、持ち込まれた新鮮な卵を持って。
 何とか夕食にありつけると安心したらしく、カカシが気の抜けた風体でボソリ、呟いたのは。


「だってさー、ガイのカレーって辛いけど、平和の象徴って感じじゃない。
あれ食べないと、木ノ葉に無事帰って来た気がしないよー」




 ───ネジにも覚えがある。

 上忍となってから初めて、ガイ班を離れ他の上忍と特別任務に出た時の話だ。小競り合いが少し長引いて、こちらが不利な状態になり、森の中で一時的に身を潜めざるをえなかったことがあった。
 気配を徹底的に消し、敵が油断するのをただひたすら、少しの恐怖感と共に待っていた時・・・スパイシーなガイのカレーを食べたのが随分前でよかった、と、不意に思ったのである。もし昨日にでも食べていたら、呼気や何かで即座に居場所を突きとめられていただろう、と。

 無論それは、お門違いの八つ当たりだ。ガイは部下の身を案じ、わざわざ里内の任務ばかりの期間を見計らって、ご馳走してくれたのだから。

 自らの考えの理不尽さを、即座に心の中で詫びたネジは、次いでこう、願った。


 ───この重要任務が無事終わったら、またガイのカレーが食べてみたい、かも。


 ガイにお手製カレーをおごってもらう、と言うことは、その前後に危険な任務がない証拠。だから、その安息の日を祈って・・・・・。


 結局、その特別任務は何とか無事に成し遂げ、ネジは木ノ葉に戻ることが出来た。
 そして、たまたま向こうも他の任務を終えたばかりらしく、ちょうどガイが帰ってくるところに出くわしたのだ。

 どうやらガイは、ネジが結構危ない目に遭っていた事を知っていたようで、「無事でよかったな」と肩を叩いてくれた。「これでお前も、名実共に上忍だ」とも。
 その声を聞いた途端。


 ───ああ、本当に帰って来ることが出来たんだ───。


 じんわり目の辺りが熱くなり、視界が若干ぼやけて見えたのは───絶対ガイには内緒である。





 この、自分たちよりはるかにベテランの男も、そんな風に感じたことがあるのだろうか。

 妙な共感を覚え、ついまじまじと見つめていたネジに気づいたらしく。
 カカシは一瞬驚いた顔を見せた後、不意にいたずらっぽい目を瞬かせた。


「それにしても、まさかネジ君までガイのカレーパーティに付き合ってるとは思わなかったな。あいつのカレー、マジで辛いデショ?」
「・・・最初の時文句を言った。ちゃんと次から、味を調節してもらっている」
「そうそう。生卵を入れる、って思いつかなかったら、食べられなかったわよねーアレ」
「そうですか? ヒリヒリはするけど、美味しかったですよ?」
「リー・・・お前確かあの時、これも修行だとか言ってなかったか?」
「あ、あれは、その、言葉のあやって言うか・・・」


 いつの間にか会話に割り込んできた中忍2人の不躾さを、怒りもせず。
 何だかんだでなじんでいる彼らの雰囲気に、カカシは思わず吹き出していた。

 もちろん、気まずさいっぱいで睨み返すネジに、手を振って宥めるのも忘れない。


「ゴメンゴメン。ちょっとネジ君たちが羨ましくてね。俺が辛い過ぎるだの何だの言っても、全然気遣ってなんかもらえなかったからさー」


 カカシの言い分に、リーが「え、ホントですか?」と驚きの相槌を打つ。


「ホントだよ。ちょっと辛すぎるんじゃないか、って文句言ったのに、ガイのヤツ開き直ってさあ。『ちょっとのカレーで、たくさんご飯を食べられるから経済的なんだ!』って。気持ちは分かるけどねえ」


 随分強引な上司の主張が、どんな表情と共に繰り出されたか目に浮かぶようだ。


「・・・なのに、また食べにこられたんですね、カカシ先生は」


 何となく嫌味っぽい言い方になり、ネジは我ながら驚いたが、今更撤回するつもりもない。
 が、てっきりいつものように飄々とした受け答えをすると思いきや、カカシは心持ち目を伏せた。


「うん・・・まあね。子供の頃、ちょっと不義理しちゃってたから。
それにカレーって、出来たら大勢でワイワイ食べた方が、楽しいじゃない」




◆つづく◆


※おかしい・・・ここまで長い話にならないと思ったのに。
小説書くの久しぶりだから、勘鈍ったかな?



このサイトにおける傾向【鳴門】
2014年08月01日(金)

 じつはこちらは、大元のサイト「来楽堂」の別館扱いでした。あちらで発表してもいいけど、気軽に投稿したいから・・・というつもりで、ずっと書いてきたんです。

 んが。色々事情があって、「来楽堂」の方をなかなか更新出来なくなって。それでも二次創作を発表したい、と言う時にこちらを利用する、と言う方角に、いつの間にか方向転換せざるを得なくなっています。

 まあ 全然発表出来ない環境よりは、マシでしょうけどねー。


 というわけで、「来楽堂」の方には当然、【鳴門】の二次創作傾向については全く記されていないので、不親切だと思い、ここに一応書いておこうと思います。


◆好きなキャラ・書きたいキャラ◆

 これは言わずもがな、マイト・ガイです。
 特に、他のキャラから見たガイ、と言う話を書きたくて仕方ないみたいです。

 で、ここからが重要。

 ちゃんちゃん☆ は一応原作重視ではあるのですが、彼の一番弟子・ロック・リーに関しては何故か、無理には書く必要性を感じていないみたいです。
 リーのことは好きなんだけど。礼儀正しいし、性格もいいし。C翼の沢田タケシが好きでしたから、昔ならタイプだったハズなんですが。事実、他の方の書くリーの二次創作は結構読みます。我リーとか、ネジリーとかも。のに、何でだろ? 出会うタイミングで師匠の方に関心が向いちゃったのか?


 じゃ、誰をガイと話の中で絡めるのか、と言うことですが、これはアニメの影響で、はたけカカシ氏です。声当ててらっしゃる井上和彦さんの、長年のファンなんですよーv
 事実、アニメはもちろんのこと、原作でも少なくとも単行本収録分では、ケッコー絡んでますよね? この二人。

 あとはどうしても、ガイ班でもガイと同じ上忍でもある、日向ネジだったりします。リーみたいに盲目的じゃなく、一歩引いてるところが書きやすいみたい。昔は苦手意識持ってた、ってところがまた面白く。

 ・・・だからねえ・・・これは原作乗り遅れ組の宿命なんだろうけど、現状が悲しいです。何とも認められません。だからせめて二次創作の中では、彼は当分健在、と言うことにしておいて下さい。



◆書く小説の傾向◆


 読みたい文章と、書きたい文章、書ける文章、と言うものは全く別物でして。
 思い切り笑えるコメディーを読みたいし、書いて見たい気持ちはあるのですが、こればかりはアイデアの神様のご降臨を待たないことにはどうしようもないです。
で、プライベートでイロイロあったりすると、シリアスな話を書きたくなってしょうがなくなったりもします。いつもじゃないですけど。

 実は「来楽堂」では、OPのサンウソサンとか、いわゆるや●いものも書いたりしてました。とってもゆるーくぬるーいものばかりですが。

 だから、鳴門でもガイ絡みのや●い・・・ぶっちゃけカカガイカカとか、思い切り妄想したりしてます。ええ、イロイロと!!
 だから当然、あちらこちらのサイトのカカガイカカ小説とか、ネットサーフィンして探しまくってます。少ないですねえ。(何でいつもいつもキワモノばかりに目が行くんだ、探すの苦労するってのに・・・ブツブツ☆)

 でも、文章として書こうとしても、今は無理みたいです。
 万が一書くとしても、多分こちらには書かないでしょう。一応こっちは、老若男女OKな文章を載せてるつもりではありますので。

 もちろん、カップリングじゃなく、コンビとしての二人も好物です。念のため。だからこそ、二次創作でもバンバン書く予定。
 ネット上を探していると何故か、カカイルサイトさんの小説で、ガイがカカシに絡んでくる話がケッコー楽しんで読めたりするのが不思議。無論、ガイがきちんと扱われてるのが原則ですが。(少なくともそう言うカカイルサイト、2つは知ってる☆)

 あとは、ガイネジガイも、読もうと思えば読めるみたいです・・・をいをい。

 でも、ガイリーガイはちょっと苦手。無理にすすめないでくださいねー。


◆その他の連絡事項◆


 ちなみに、こちら「エンピツ」のフォームメール機能は妙なことになっていて、まともに ち☆ の方にはメールが届かないようです(ーー;;;)

 ですんで、もし感想とかくださる場合は、サイト「来楽堂」の掲示板へお書きください。よろしくお願いします。


 ↓「来楽堂」掲示板へはこちら↓

http://6723.teacup.com/nopp/bbs


 ↓「ちゃんちゃん☆ のぐ〜だら日記」の2014年6月あたりに、ガイにハマった頃のボヤキがあります↓

http://ch2.syoyu.net/



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