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セキララな思考。
安井 文
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2010年06月21日(月)
男はつらいよ

6月19日(土)、広島のヲルガン座という音楽喫茶で体験したすごい音楽の話を続けよう。


最後に登場したのは、福岡からやってきたDuo Dialogus。

谷本仰(バイオリン)

フクヤマワタル( ウッドベース)

申し訳ないのだけど、ヴァイオリンの谷本さんを見たとき、"ええっ、この人がヴァイオリンを弾くの??"と正直思ってしまった。
あまりにも、"音楽人はこんな感じ"というのが私の中で固まりすぎなんだなあ。
ちょっくら反省しなくてはと思う今日この頃。

ベースのフクヤマさんのいでたちのせいだったのか、この人たちはカントリーかなあとなぜか思ってしまったのだった。
ところがどっこい、これがすごかったのです。

今まで、浅井健一さんのバックバンドで、ヴァイオリンの人がいるといったくらいの演奏くらいしか体験したことがなかったので、ここまでヴァイオリンが中心といったライブはとても新鮮かつ驚きだった。
しかも、谷本さんという人は、ヴァイオリンを弾くだけでなくたたくし、歌も歌っちゃうんです。
しかも踊ったりもするらしい・・・この日は残念ながらそれは見られなかったけどね。

もちろん歌っている間は、ヴァイオリンは弾かないんだけど、それでもちゃんとサウンドとして成り立っている。
これはひとえにフクヤマさんのベースがとてもすばらしいからなのだ。
リズムはゆるぎなく、大きすぎず小さすぎず・・・とても聞きやすくて気持ちいいリズムをずっと向こうのほうで奏でているような感じ。
フクヤマさんのベースはとっても歌いやすそうだったな。

この日体験した3つのユニットはどれも、独特の音楽世界で、カヴァー曲だってそのままカヴァーじゃない感じだったのだけど、この人たちは群を抜いてオリジナリティにあふれていた。

ノンジャンルというか、なんでもありというのが正しいのか。

映画音楽から始まってビートルズ、じゃぱにーずブルース、ラテン、タンゴ、シャンソン(?)・・・そのどれも中途半端なところがなく、完璧なのです。
たった2本の弦楽器がものすごくリズミカルで強弱も自然にはっきりつけていて、お客さんの心をうまくつかむのだ。
私もつかまれちゃって、今年初めてのどきどきだった。

とにかく選曲が渋い。
ブルースをやってほしいというリクエストにせっかくだから日本のブルースを・・・と言って「男はつらいよ」ですよ!
しかも、ヴァイオリンとウッドベースでです。

さらに!
高田ワタルさんの「値上げ」(なんて今にぴったり!)、「生活の柄」、「アイスクリーム」・・・なんてマニアックなんでしょう。
すご〜い!すご〜い!と心の中で連発の私だったのだ。

そしてその後はすごい技連発の難しい曲が続く(ああ、なんて陳腐な表現・・・涙)
「ベサメ・ムーチョ」(ラテンの超有名曲)、「La Cumparsita」(アルゼンチン・タンゴの超有名曲)
後もうひとつアルゼンチン・タンゴの曲を演奏してましたが、タイトルがわからない・・・。

ヴァイオリンの弓の押し引きで生まれる独特の節回しがものすごく私の心に響いて、ほんっと口の中で小さくわ〜わ〜と繰り返してしまった。
いでたちだけでカントリーの人たちと思ってしまった自分が恥ずかしい。
ジャンルにこだわらないと言いつつ、私が一番こだわっているのかもね。

とにかく!谷本さんとフクヤマさんが作り出す音の世界を私は一発で好きになってしまった。
ここ最近、いろんなことが煮詰まってるなあと思っていたので、一気に新しい世界に突き抜けた感じがする。
もっともっと、彼らの音楽を体験したいなあ。
CDを購入したかったのだけど、ライブのときはいつも金欠で・・・。
(でも、通信販売もあるようなので、ちょっと安心。)

谷本さんは7月にアルゼンチンタンゴのバンドで広島にこられるそうなので、行きたいっ!と思った私なのだった。

谷本さんのことをぐぐってみたら、実はすごい人だと言うことが判明。
大阪や東京でもその演奏を耳にする機会があるのではないかと思うので、名前にピンときたら、ぜひ行ってみてほしいな〜。

>>セットリスト<<

1.虹の彼方に
2.ビートルズの曲
3.男はつらいよ(!!)
4.値上げ(高田渡の曲)
5.生活の柄(高田渡の曲)
6.アイスクリーム(高田渡の曲)
7.私の青空
8.ベサメ・ムーチョ
9.La Cumparsita
10.アルゼンチンタンゴの曲
<アンコール>
11.オー・シャンゼリゼ

ヲルガン座の佇まいも私にはとても新鮮で心惹かれるものがあって、今もしも、広島在住なら、通いつめてしまいそう。
そして、友人がほくそえんだとおり、その妖しい魅力に取りつかれそうな私なのだった。

次回はぜひ、ゴトウイズミさんのライブを体験したいなあ。


「男はつらいよ」
WORDS BY 星野哲郎、MUSIC BY 山本直純、PLAY BY Duo Dialogus(オリジナルは渥美清)



2010年06月19日(土)
サーカス

6月19日(土)、広島のヲルガン座という音楽喫茶ですごいものを体験した。

梶山シュウさんという電気ベース弾きの人がライブをするというので、友人に誘われてふらふらっと行ってみたのである。

実は、ライブに行くのは今年これが初めてだった。
そしてそこで、目からうろこの演奏を目の当たりにしたので、久しぶりにむずむずとするので文章にしてみよう。



ヲルガン座というその音楽喫茶は、広島市内は平和公園のすぐ近くにある。
電車通りに面したにぎやかな通りのちょっとはずれのほう、趣のある面構えの古ぼけたビルの2階にその店はあった。
店の階段を上る前に友人は「店内にはたくさんの本が置いてあってね・・・とにかく妖しいから。」とほくそえんでいる。

いったいなんじゃいなと思いつつ、開け放たれた階段のドアを潜り抜けると、なじみのない音楽人の名前の入った味のあるポスターが階段いっぱいに張り巡らされている。
その瞬間から、いろいろな好奇心に支配される私なのであった。

しばし待たされ店内に入ると、なんというか・・・自分が今どこにいるのか忘れてしまうような別世界が広がっていて、ちょっとした退廃ムードが漂っている。
うまく表現できないので、ありきたりに言ってしまおう、つまり"アングラ"な匂いがぷんぷん漂っているわけだ。

ヲルガン座は、入り口すぐのところに狭い小さな階段がある。
そういえば、友人が2階席に行こうと言っていたことを思い出す。
ビルの2階なのに2階席とはこれ如何に・・・なんて寒いことは言うまい。
つまり、店の中にちょっとした桟敷席があるのだ。
まあ、昨今はこういう場所をロフトと呼んだほうがわかりやすいのかもしれないけど、このお店では桟敷席といったほうが似合っているだろう。
2階席は座敷で、座布団が無造作に並べられていた。
友人と私は一番窓際のちゃぶ台席に陣取った。
窓に背を向けて店内を向いて座るようになっているので、多分目の前がステージのはずなんだけど・・・店内いっぱいにお客が座っているので、音楽人たちはどこで演奏するんだろうと不思議に思った。

ちょっとした食事を楽しんで友人とぽつぽつ歓談していたら、今まで壁だと思っていたところの幕がするするっと開いて、その向こうにこじんまりした舞台が広がっていた。

ヴァイオリンを抱えたお姉さんが、一瞬構えてから芝居がかったしゃべりを始める。
この人が、ヲルガン座店主であるゴトウイズミさんであると友人が耳打ちしてくれた。
イズミさんは、自身もアコーディオンを抱えて歌う音楽人だそうだ。
オープニングでは、このイズミさんと大槻オサムさんという広島在住のパフォーマーの方がちょっとした小演劇(?)を披露。
以後ずっとこの2人が幕間のおしゃべりを担当した。

その夜のライブイベントのタイトルは『紳士淑女に送るヴァイオリンとベースの迷宮名曲集』という。
それは会場であるヲルガン座に到着してから知った。

ヴァイオリンとベース!
なんて素敵な取り合わせなのでしょう。
この2つの楽器だけのライブなんてなかなかないんじゃなかろうか。

しかも、説明はそれだけなので、どんな音楽が出てくるのかちっとも想像が付かない。
もっとも、ヴァイオリンとベースだと、私が想像出来たのは、せいぜいクラシックかジャズぐらいのもんだった。

実際は国籍不明、カヴァー曲だって原曲がなんだか途中までわからないアレンジがしてあったり、店主ゴトウイズミさんのオリジナル曲のカバーもあったりで、半分くらいしか曲名はわからなかった私である。

でもねえ、これがなかなか面白いのだ。

ヴァイオリンはほとんど弓を引いて音を奏でるので、押して引いてという独特のタイム感がある。
ウッドベースのほうも弓を使うと、2本の弓で奏でられる独特の波というのが生まれるんだよね。
もちろん、どちらの楽器も弓で押し引きするだけではなく、指ではじいたりとかいろいろな弾き方があるので、その組み合わせも入れると実に多彩な音の世界が生まれてくるってわけなのさ。

そして、私が体験したライブは、なぜかなつかしく、でも新しいし、何か思い出しそうな・・・そんな一種独特の音の世界だった。

出演は、最初のイズミさんとオサムさんを含めて4組。
それぞれが独特の世界を持っていて、私は圧倒されてしまった。

演奏の最初は、フミノなべ。竹内ふみの(バイオリン) +渡辺祐平( ウッドベース)

渡辺さんのベースは、以前何度かお耳にかかったことがある。
ただし、何のバンドだったのかは申し訳ないけれど覚えていない。
なぜ覚えているかというと、彼のベースを抱えたときのたたずまいと、そこから出てくる音を覚えているのだ。
ウッドベースで、へヴィメタ真っ青な早弾きを彼はするのだ。
私は大抵リズムをとりながら音楽を聴くんだけど、彼のベースは早すぎて時々ついていけないときがある。
あ、誤解のないように言っておくけれど、もちろんメロディアスなやわらかいフレーズもとても素敵なんだな。
そのスピードに竹内さんのゆったりしたヴァイオリンのメロディーが乗ると不思議な調和が生まれた!
彼らはジプシー・キングス、クラッシュ(!)の曲を披露した後、竹内さんオリジナルを演奏した。
渡辺さんは、印象とは違い意外と辛口なMCを繰り広げてくれた。
竹内さんは最後まで静かにヴァイオリンを演奏していた。

>>セットリスト<<

1.ジプシー・キングスの曲(聴いたことあるんだけどなあ^^;)
2.レベル・ワルツ(CRASHの曲)
3.この道
4.かわらぬ風景(竹内ふみのオリジナル曲)
5.デビット・サンボーンの曲

ちょっとの間をおいて、MI+SHU。MI(ヴァイオリン他) +梶山シュウ( 電気ベース)

梶山シュウさんは、ずっと昔、私がバンドをやっていた頃に始めてその演奏を聴いた。
見た目は、どこか仙人めいたところがあって、山奥でヨガの修行とかやってそうなんだけど、ひとたびベースを抱えるとすごいリズム感で静かにバンドを盛り立てるその演奏に圧倒された。
その後、ソロでベースを弾きつつ歌うところを目撃し、その技術と音楽性にまたや度肝を抜かれ、まだまだ私の知らない世界があることを教えてくれた音楽人なのである。
今回は、誘ってくれた友人の歌の師匠であるMIさんとのユニットで、この2人のユニットはなかなか見られないそうだ。
私は