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セキララな思考。
安井 文
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2008年06月30日(月)
Stamp!

6月28日(土)、Boogie Houseにベース職人2人のライブを聴きに行く。
世界で初(本人たちいわく無謀)のベース2本のみでのインストゥルメントユニットTWINのライブだ。

私はジャスベーシストだと思っているのだがいまいち正体不明の大物水野正敏氏と日本スラッピングベース(いわゆるチョッパーベース)界では知らぬ人のない江川ほーじん氏のユニット。



ベースって言うと"ギターと同じじゃないの?"などとしばしば質問されてしまうほどマイナーな楽器であるが、実は世の中のほとんどの音楽にはベースが入っていて、ドラムスと並んでリズムの要とも言われているほど重要な楽器。
バンドの底辺を支えるこの楽器が、この頃はさまざまなアプローチでひとり立ちしている。
ベースだけで歌う、クラシックの名曲をアレンジして弾くなどなど。
さて、この2人はどんな音世界を聴かせてくれるのだろう・・・・!

私はベースを弾くが、スラッピングはできない。
あれだけリズムを自分のものにして多種多様な音が出せればかっこいいし気持ちいいだろうなと思うけど、あんなこととてもできない。
2フィンガー(人差し指と中指)で弾くのが精一杯。
スラッピングはほぼ5本の指を駆使している(ように見える)体全体を使って演奏するほーじん氏のベースプレイは見ていて楽しいし、聴いていても楽しい。
休みなくリズムを繰り出し(しかもひとつの狂いもない!)、ミスタッチもほとんどしない。
あの粘りはすごいと思う。

ほーじん氏のスラッピングテクニックはそんな感じでもちろんすごかったのだけど、今回やはりこの人は正体不明だわ・・・と改めて感じたのは水野正敏氏。
ほーじん氏に比べると音も控えめで演奏も2フィンガーで弾いているので、ともするとほーじん氏ばかりに目が行ってしまいがちなのだけど、実はものすごく細かいフィンガリングで引き続けている。
やわらかいタッチで弦に触れているようにしか見えないけど、ほーじん氏の躍動感のある旋律に美しいメロディーを乗せている。
見た目はとても温和で、話し振りもほのぼのしているのだけど、水野氏が作曲した曲なんてとてつもなく難しく、本人さえ面倒くさい曲だなあと思いつつ弾いているらしい。
が、ほーじん氏が弾きこなしてしまうのでかろうじてやれてるなどと控えめなことを言っていらっしゃったが、とても楽しそうに演奏していたことを私は見逃さなかった!

2人の演奏を聴いていると、ドラムスなし(本当はほしいらしい)であれだけのリズムとテンポをキープしてなおかつちゃんと曲に聴こえるのだから、ベースという楽器が単に低音ラインを引くだけではもったいないことが分かってくる。
こういうのは普段歌しか耳に入らない人にはよく分からない世界なんだろうなということも重々承知している。しかし、音楽が歌以外の旋律の集まりでもあることを知って、もっといろんな角度で音楽を楽しめる人が増えたらいいなあといつも思っている私は、こういうものももっとたくさんの人が聴くといいのになと思うのだ。

20年位前、広島郵便貯金ホールで爆風スランプのライブを見たことがある。
ちょうど「RUNNER」が大ヒットしていてマイナーバンドのレッテルを貼られていた爆風スランプが一躍メジャーバンドにのし上がった頃である。
会場は黄色い声が飛び交っていて、広いステージの上ではベーシストの江川ほーじん氏が所狭しと走り回っていた。そして、その翌日、江川ほーじん脱退のニュースが流れた。

そんな感じに江川ほーじんというベーシストは私にとってはTVの向こうにいる人だったのだが、この日、私は、な、なんと・・・この江川ほーじん氏からまったく不意にハグされちゃったのだ〜!!!!

これまでに2度ほどBoogie Houseで江川ほーじん氏のライブを体験したが、ライブ後にお話しできる機会などついぞなかった。

1度目は大所帯のファンク系バンド、2度目はそれほどの人数ではないが、水野正敏氏の演奏を始めて体験したポートフォリオ(ベーシスト2人の為のユニット)だった。
ライブハウス内はファンも含め足の踏み場もないほどだったのだ。

今回は純粋に2人だけ・・・お客さんもかなりのマニアとこの界隈のベーシスト連中という地味なメンバーだったため、カウンターに陣取っている私の横で出演者がくつろいでいるというなんというか落ち着かない状況だったのだ。
ライブ終了後にCDを購入した際、サインをしてもらえたのだけど、ハグはまったく不意にそのときされたのだ。
あまりに突然のことに舞い上がってしまい、後は何をしゃべったかよく覚えてない・・・(それはいつものことだったり^^;)

しかし、10年位前まではそういうメジャーなミュージシャンの方と話したり触れ合ったりなんてこと想像もつかなかった。
すごいミュージシャンを引き寄せるBoogie Houseという素敵なライブハウスが私の地元にあってよかったなと改めて思った夜だった。

水野正敏氏のサイトでTwinの曲解説が読める!
MIZUNO・METHOD



2008.06.28(土)"Twin"CD発売記念年内100本組み手〜!!(at 周南Boogie House)
「Stamp!」
MUSIC & PLAY BY TWIN



2008年06月23日(月)
根性なし


今年試験勉強に突入する直前最後に映画館で見た映画は市原隼人主演の『ネガティブハッピーチェーンソーエッヂ』
これが早くもDVDとして発売され、私の手元にも届いた。
シュールでアホで一生懸命なこの映画、私はとても気に入っている。

この映画は今年頭に本屋でこれから公開される日本映画ばかりを集めた雑誌で知った。
チェーンソーを持った大男と美少女が戦うっていうあまりにもばかげた設定が目を引いたのだ。
ふと出演者を見ると、おっ、市原隼人じゃないか〜♪ということで、私の町での公開を胸の中で願っていたら、ちゃんとやってきた。

ふと思いついて、誰もいない週末の午前中、居間の大きなTVを占領して大音量で見ることにした。
普段家族がいるときは、私にチャンネル権がなく自室にある14型で映画を見ているので、こういう機会は見逃せない。
すわり心地のいいソファにすわり、大画面で見る映画はやっぱりいいなあ。



毎日適当に生きている山本(市原隼人)は、ある晩チェーンソーを持った大男と戦う美少女絵里(関めぐみ)と出会う。
寮でそのことを友人の渡辺(浅利陽介)に話すのだけど、頭から信じてもらえない。
山本と渡辺にはいつもつるんでいた能登(三浦春馬)という友人がいたが、彼はバイク事故で死んでしまった。"いつか能登を越えてやる!"と思いつつ日々を過ごしていた山本は、能登に置いて行かれてしまった・・・と感じていた。
"絵里ちゃんを守って死ねば、オレは能登を越えられるぜ!"という思い込みの元、山本は夜な夜な絵里とチェーンソー男の戦いに付き合う。
と言っても、絵里は山本なんかよりよっぽど強くて出来る事は戦いが終わった絵里にあったかいコーヒーを差し出すことぐらいしか出来ないのだが・・・。

もしかしたら誰でも(少なくとも私はそうだった)が、一度は感じるかもしれない孤独や不安や死に対する憧れや恐怖、悲しみ・・・などなど。
そういった感情や思いに身に覚えがあれば、この映画の中で起こるいろいろなシュールな表現の向こうにあるものを"感じる"んじゃないかと思う。
目の前で繰り広げられるシュールな世界を脳内変換できるかどうかは、生物学的な年齢とは関係がないと私は思う。

なぜ美少女がチェーンソー男と戦うのか・・・チェーンソー男って何?
という部分でひっかかってしまうとこの映画は楽しめない。
そこが非現実的でばかばかしいと思ったら、そこでこの映画を見るのはやめたほうがいい。
"チェーンソー男"はこの映画のミソではあるのだが、そこはあまり重要ではないから。

山本の目線で話は進んでいくけど、実は山本はいろいろ考えているようで実は何も考えていない。
いろいろ考えているのは彼を取り巻く周りの人たち。
その中にかつての自分や今の自分に似てるかも・・・という登場人物がいれば、この作品はもっと楽しめる。

私はDVDで2度目の鑑賞を終えたとき、なんかちょっと涙が落っこちそうになってしまった。
こんな若い青春映画でちょっとセンチになれるなんて、私もまだまだいけるかも・・・と思った・・・なんとなく。

この作品は、大ヒットしたライトノベルが原作。
作者は元引きこもりだそうだ。
今のところ、原作を読む気にはならないが、こういうシュールな作品はやっぱり内に篭らないと生まれないものなんだろうかとちょっとだけ思った。



「根性なし」
WORDS BY 能登 & MUSIC BY 渡辺 & PLAY BY 俺さまーズ[Vo&B:能登(三浦春馬)、G:山本(市原隼人)、K:渡辺(浅利陽介)]
(実際の作詞作曲は、今井千尋)



2008年06月08日(日)
Automatic

平日の夕方ラジオをつけると、10分くらいの番組なのだけど1曲だけ日本のヒット曲を流す番組をやっている。
ある日、宇多田ヒカルの「Automatic」が流れた。

その時に思い出したことがあるので書いておくことにした。



当時、彼女の歌唱スタイルがとても斬新だったので私もよく覚えている。
メロディーへの言葉ののせ方と区切りが独特だった。
でも、彼女の作り出すメロディー自体はとても日本的で懐かしい感じがするなと思っていた。

宇多田ヒカルのデビューアルバムを聴いたとき、彼女自身の歌は新しいのに曲のアレンジがとても古臭くて私は不ぞろいな感じを受けた。
どうせなら、プロデューサーももっと洗練された人を使えばもっと斬新になったんじゃないかと思った。
(確かプロデューサーは彼女の父親だったはず)

テレビで歌う彼女を見ていて、突然、"「Automatic」は小田和正さんが歌うといいかもしれない"なんて考えた。
漠然と彼の声に合うんじゃないかなあと思ったのだ。
宇多田ヒカルと小田和正の声の出し方って似てるんじゃないかなと。

そしたら、また数年後に小田さんのクリスマスライブで彼がこの曲を歌うのを聴いた。
ちょっと覚えるのに苦労したそうだが、私が想像したとおりこの曲は小田さんの声にぴったりだった。
その曲を歌おうと思った小田さんはなかなか洒落の効いた人だよなあ〜とうれしかった。

で、逆に「キラキラ」を宇多田ヒカルが歌うと・・・結構いいんじゃないかなってこの頃思ったりしている。



「Automatic」
WORDS & MUSIC & PLAY BY 宇多田ヒカル



2008年06月06日(金)
モルダウの流れ

オフコースのことを思い出して書いたコラムに感想メールをいただきました。
その中でこの曲に出会ってびっくりというお話があったので、お返事の代わりに私が出会ったときの話を書こうと思います。
(お返事出せなくて申し訳ないです。)

「モルダウの流れ」は確か中学生あたりで音楽の授業で習った気がする。
割と好きな曲調だったので覚えているのだけど、はっきり好きだと自覚するほどではなかった。



しかし、斉藤和義さんのライブでこの曲を聴いたことで、この曲が好きな曲として私の記憶にはインプットされた。
私が斉藤和義さんのライブに足繁く通うようになったのはまだここ数年の話で、行き始めはまだすべてのアルバムを持っていなかった。
この曲が収録されている『俺たちのロックンロール』というアルバムもその中の1枚だった。

そんなわけで何も知らずにライブでいきなり体験した斉藤和義版「モルダウの流れ」は、ちょっとしたカルチャーショックを私に与えた。
記憶にある"モルダウ"は先生の演奏する生ピアノの伴奏でクラスみんなで歌ったものとNHKの「名曲アルバム」で耳にしたオーケストラで演奏したものくらいだ。
印象的なアコースティックギターのメロディーから始まる斉藤和義版「モルダウの流れ」は水の流れが寄せて返すようなメロディーから始まり、単調なエレキベースのラインがそれに重なる。
斉藤和義の歌は相変わらずやる気があるのかないのか分からないゆるゆるな感じだけど、規則正しいロックのリズムと力強いけど繊細な斉藤和義さんのギターが不思議な調和をかもし出していてなんだかすごく崇高な感じだった。

終わってから彼の奏でるギターの音が頭からしばらく離れなかった。
ライブが終わってから、すぐに『俺たちのロックンロール』を手に入れたことは言うまでもない。

斉藤和義というミュージシャンは「歌うたいのバラッド」で"歌うたい"という位置づけを不動にした人だと思うけれど、実は生粋のギタリストでもある。
私も実はギタリスト斉藤和義を認知しておらず、初めて行った彼のライブでそのギタープレイの美しさを目の当たりにしてすっかりギタリスト斉藤和義のファンになってしまった。
アルバムを聴いても彼の歌にばかり気をとられていたけれど、最近はギターの音に聞き惚れているくらいだ。
「みゅーじん」という音楽番組で彼のちょっとしたドキュメンタリーを見たけれど、その中のインタビューでギターは60本所有していると話していた。
四六時中ギターをいじっているらしく番組内で以前から行ってみたかったというアコースティックギターばかり扱っているお店に行って目をきらきらさせながら何本もてにとって音を出している姿が少年のようでほほえましかった。

『赤盤』というアルバムでは、サザンの「真夏の果実」や原田真二の「キャンディ」などをカバーしている。どんな曲でも自分の曲にしてしまう彼の音楽センスをぜひ体験してほしいところである。
そんな斉藤和義さんは今年デビュー15周年だという。



「モルダウの流れ」
WORDS BY 平井多美子、MUSIC BY Bedrich Smetana、PLAY BY 斉藤和義