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セキララな思考。
安井 文
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2007年12月17日(月)
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12月14日に「『ブレードランナー』製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション」が発売された。
私も嬉々として予約購入。
週末に誰もいないのを見計らってうちで一番大きなTVで鑑賞。



「ブレードランナー」は、1982年に劇場公開されたSF映画。
斬新な映像とテーマでマニアなファンを要するSF映画の金字塔と呼べる作品。
劇場公開されて25年の間に2回編集がやり直され"完全版"、"最終版"と3作品が世に生まれているのだけど、今回再度監督による編集・デジタル修正が行われ、"ファイナル・カット"が世に生まれた。
"製作25周年記念 アルティメット・コレクターズ・エディション"には、この4作品に加え、劇場公開前のリサーチ試写で使用されたオリジナル本編『ブレードランナー』ワークプリント(これは最も監督の意図する仕上がりになっているといわれている)も収録されており、全部で5バージョンの作品が収録されている上に200分を超えるメイキングフィルム、関連する画像、原作者フィリップ・K・ディックのインタビュー(日本語訳本が付属している)音源を含む音源ファイルなど大盤振る舞いの特典だらけ。

原作はフィリップ・K・ディックの「アンドロイドは電気羊の夢を見るか」
私はフィリップ・K・ディックが苦手で読んでいないのだけど、今回のコレクターズ・エディションに収録されているメイキングによると、刑事がアンドロイドを追跡するという設定のみを借りていて、あとは原作者不在で脚本が何度となく練り直されたようなので、原作としての位置づけはあまり重要ではないのかもしれない。

この作品を始めてみたのはおそらく高校生のときだと思うが、友人宅でレンタルビデオで見たような気がする。
その辺記憶が定かではないが、始めてみたときの記憶は頭にこびりついていて離れない。

私にとってすべての映画体験の中で映画好きになるきっかけになった作品は中学生のとき映画館で見た「スター・ウォーズ 帝国の逆襲」なのだけど、SF好きの方向性に影響を与えた作品をあげるなら「ブレードランナー」と言ってしまう。
この映画を見た数年後にウィリアム・ギブスンの「ニューロマンサー」を読むことになるのだけど、この小説の冒頭で描写されるチバシティはまさに「ブレードランナー」のオープニングを飾るあの都市にようだった。そういえば、ウィリアム・ギブスンが「ブレードランナー」の冒頭を見てあまりに似ているので驚き、途中で帰ってきてしまったという話を読んだことがある。

この2つの作品は違うテーマを扱っているけど、描かれる未来世界がよく似ている。
決して明るいものではなく技術は進歩し続けているが、微妙に荒廃している世界。

簡単なあらすじ。
2019年、きわめて人間に容姿が似ていてしかも人間をもしのぐ能力を持つ"レプリカント"(アンドロイド)が反乱を起こし4体が地球に逃げ込んでくる。
"レプリカント"は長く生きると感情も芽生えることから、摩擦を避けるために4年で活動停止するようにあらかじめプログラムされており、反乱を起こした"レプリカント"たちは生き続けるための方法を探しに地球にやってくるのだ。
"レプリカント"の処理は、"ブレードランナー"と呼ばれるレプリカント特捜班に任されるが、主人公デッカードに彼らを捉え始末するように命令が下る。

"ファイナル・カット"はこれの前に見た"最終版"とストーリー展開では同じ。
細かいところまではよくわからないが、明らかに見たことのないシーンがあった。
全体的に画像と音がクリアで美しく感じる。
この映画を始めてみたときと今の私の情報量と考え方が違うせいもあるだろうが、今まで見た中で一番わかりやすく感じたし、一番楽しめた。
マニアの間で議論されていたデッカードの正体も私なりにすんなり想像できた。
それについては物語の中でははっきりと描写されないので、一番最初に見たときはあまり深く考えなかったが、"ファイナルカット"では相変わらずはっきりと描写はされないものの流れとしてそう考えがいたりやすい表現になっているように感じる。あくまでも個人的な感じ方だけど。

デッカードを演じるのは、ハリソン・フォード。
「インディ・ジョーンズ」の第1作目の後くらいだろうか。
まだ若かりし頃。
彼が演じた役の中では、「スター・ウォーズ」のハン・ソロの次にこのデッカードが好きだ。
今のようにお偉いさんの役をこなすような俳優になるとは思わなかった。
彼と恋に落ちるレプリカント、レーチェルはまだ10代だったショーン・ヤング。
前半と後半ではイメージがかなり変わる。
どちらもセクシーだが、より人間らしく感じる後半の彼女が可愛い。
デッカードと対決するレプリカントのリーダーは、まだやせていて美しいという表現がぴったりのルトガー・ハウアー。
人間のように感情をあらわにしつつ、人間ではないと感じさせる彼の演技は空恐ろしい。
悲しみを全身にまとっている。
兵士慰安用レプリカントとして製造されたレプリカント、プリスをダリル・ハンナ。
とてもキュートで可愛いのだけど、人間味がない。(そりゃそうだ。)
にっこり笑いながら、すごい力で人を殺せる。

音楽は前回のサッカーワールドカップの音楽を手がけたヴァンゲリス。
エンドクレジットで流れる「メイン・タイトル」は秀逸。

さて、先日TVの中でお茶を配るASIMOをみた。
すごいなと思いつつ、若干の不快感を覚えた。
ASIMOに"レプリカント"の影が見えるからかもしれない。



「Main Titles」
MUSIC BY Vangelis