よさこいって言葉を最近よく耳にする。 話を拾い聞きしてなんとなく、大勢の人が揃って踊るものらしいというくらいの知識は持っていた。
高知県のお祭りによさこい踊りと言うのがある。 毎年、芸能人が何人もそれに参加していて、ワイドショーなんかでも紹介されるので私も知っていた。どうも、その踊りが日本全国に広まっているようだ。
日本中でブレイクするきっかけになったのは、北海道の札幌で開かれたよさこいのイベントだったらしい。 山口県でも去年、きらら博という県主催の博覧会があり、その時に4つのよさこいチームが出来たと言う。
友人であるスーパーギタリストにしてコンポーザーを生業にしている田川ヒロアキくんは、ここ数年、よさこいの曲を何曲も手がけている。 それは知っていたけど、よさこい自体に興味がなかったので、ふむ、忙しいことはいいことだね〜程度にしか思っていなかった。
機会あって山口県内のよさこいチームが集まって競う大会を見に行った。
去年、博覧会に足繁く通っていた両親が、よさこいが面白いとエキサイトしていたんだけど、なるほど納得。 一緒に行っていた田川くんも自然、よさこいの説明に熱が入っていた。
鳴り子と呼ばれる楽器(?)を両手に持ってそれを打ち鳴らしながら、決まった法則を持つ踊りを10人〜50人くらいの単位の人数が揃って踊る。(高知では150人が上限らしい。)
20人以上の人間がそろいの衣装を着て、揃って踊る様は圧巻。 広い芝生のフィールドに風が吹きすぎる中、彼らの衣装のすそが、袖が、そよぐ様はとてもすばらしいと思った。 老若男女が同じように踊っていること自体が不思議な気分にさせた。
一番驚いたのは、20代前半、10代後半の若者がたくさん参加していたことだ。 みんなと一体になって楽しもうとするその姿は、とても美しいなあと思った。 みんな気持ちよさそうだった。
曲は、まったくの創作から既成曲をアレンジしたもの、民謡をアレンジしたものなどがある。高知のよさこい祭りでは、規定があるようだけど今回体験したよさこい踊りにはあまり細かい規定はない様だった。 ラップ調、プログレ調、ハードロック調、それから忘れちゃならない、民謡調。 田川くんは数年前からよさこいの曲をアレンジする仕事をたくさんしてる。 今回も彼が手がけた曲を使うチームがいくつか出場していた。 彼の創るよさこいは、ギターがフューチャリングされていていかにも彼らしいかっこいい曲だった。
人が集まって一つの表現をするというスタイルが最近増えている。 ゴスペル、アカペラ(私にはこの二つを分ける理由が見当たらない。)、ダンスなどなど。 それはいいことなんじゃないかと私は思う。
もっとも、その中に”和”的なものが見当たらないのは少々寂しい限りだなあと、私は少し思っていた。
だけど、思いっきりプログレ調の音楽に合わせ、鳴り子を打ち鳴らし踊る人々を見ながら、そんな風に思っていた自分に苦笑いしてしまったのだ。
楽しければ、スタイルなんてどうでもよくなるんだよ。
200人はいただろう総踊りは、本当に圧巻。
山口県の民謡「男なら」をアレンジしたのも、田川くんだ。 この曲は、著作権関係なく山口県内でよさこいを踊ろうと思う人ならだれでも、無条件で踊って下さいという県指定の曲になるそうだ。
踊る阿呆に見る阿呆(う〜ん、これは阿波踊りか・・・苦笑)とは、よく言ったもんだと、踊り狂う人たちを見ながら思った。
「男なら」 WORDS & MUSIC BY (--sorry unknown--)、ARRENGED & PLAY BY 田川ヒロアキ
なんとも不思議な曲が売れている。
「浮舟」
ぱっと聴きは、椎名林檎の「歌舞伎町の女王」を彷彿とさせる。 だけど、全編通して聴くとド演歌をパンクでやっているような感じにも思える。
歌っているのは、GO!GO!7188(ゴー・ゴー・ナナ・イチ・ハチ・ハチ)。 3ピースのバンドでギターとベースが女の子、ドラムスが男の子。 2年くらい前に彼らのことを知ったんだけど、当初からなかなか”和”な感じのパンクではあるなあと感じていた。
メロディーとコード進行がその最大の理由のような気がする。
この夏に『虎の穴』と言うカバーアルバムを発売してTVメディアにも結構取り上げられたので、知名度急上昇中。 『虎の穴』は、昔ヒットした歌謡曲を彼らがアレンジして演奏しているアルバムで、「ペッパー警部」(ピンクレディー)が結構あちこちで流れてましたな。
このカバーアルバムの曲ばっかりやるツアーが夏にあって、私は行きたかったんですが、チケット取れませんでした。残念。
「浮舟」は新しい曲ではあるけど、何処かなつかしい。 昔聴いたことがあるような調べ(!)がそこかしこに顔を出しているんだな。 それをパンクでやっちゃったところがカッコええと私は感じてる。
最近、そういう感じを思い起こさせるバンドがいくつかある。 氣士團だとかガガガSPだとか・・・。
昔、とあるプロミュージシャンの人にどんな音楽を聴いてるんですかと月並みな質問をしたことがある。その人は洋楽が多いと答えた。 重ねて日本の音楽は聴かないんですかとたずねたら、だって日本の音楽は面白くないもんと答えた。
実を言うとその時その回答を聞いて、あーだから日本の音楽は面白くならないんだと思ってしまいました。それで、プロの人達はあんまり日本の音楽聴かないんだと言う先入観を持つようになってしまった。
でも、その後、プロアマ問わずいろんなミュージシャンと話をしてみて、皆さん結構歌謡曲なんか好きだったりすることを知って、安心した覚えがある。
GO!GO!7188みたいなサウンドがもうちょっとみんなに受け入れられると面白いなあと思う。NHKの歌謡ホールなんかに出るとなったら、私は涙を流して喜んじゃうんだけどなあ〜。
「浮舟」 WORDS BY 浜田亜紀子、MUSIC BY 中島優美、PLAY BY GO!GO!7188
人と話をする時には、なるべく何も考えずにいた方がいい。
何も考えないというのは語弊があるか。 相手の人を見て何か思うようなことをしない方がいいって言う意味です。
この人、気難しそうだとか、気が合いそうにないなあとか。 そういう先入観を持ってしまうから会話にならないのかもしれない。
会話にならないことが怖いので、私はなにか喋ろうとしてうまく行かない。 それでいろんな精神分析の本なんか読んでみたりもしたけど、これはあんまりよくないね。 頭でっかちになるばっかりだ。
音楽を聴いている時、ぼんやりと思考してて(ほとんどが言葉になっていないけど。)ある時突然いい考えが浮かんだりする。 人と話している時もそう出来ればいいのかもしれないな。 いや、そうなればいいなあ。
見たもの聴いたものをそのまま受け止めて感じる。 簡単なことなんだろうけど。 簡単にこなすには、まだまだ余計なことを考えすぎてしまう。
「美しいこと」 WORDS & MUSIC BY 浅井健一、PLAY BY AJICO
ぱぴよんさんから今週の週刊文春に近田春夫さんがJUDEのことを書いているよと連絡を貰ったので立ち読みに行く。
近田さんはミュージシャンでプロデューサーで音楽評論家で・・・ほかにもなんか肩書きがあるようだ。 私が小学生の頃、明星という雑誌の付録に付いていた歌本にその時々のヒット曲を毒舌で語っているコーナーがあって、私はそれがお気に入りだった。
私の持つ彼のイメージは、見た目は梅図かずおさん。喋るイメージはピーコさん。 もう何年も彼の写真を見たことがないので、今はどんな感じなのか想像も付かない。
立ち読みしたそのコラムには、AJICOが結構お気に入りだったようなことが書いてあった。 浅井健一さん対して好意的だったのがなんだかうれしかった。
というわけで。
週明けから『AJICO SHOW』を引っ張り出して聴いている。 空気が冷たくなるこの時期、不思議に彼らのひんやりした音が合うななんて思う。 彼らはライブをするたびによくなって行ったバンドだった。 だから私は、レコーディング音源よりもライブ盤の方が好きだ。
ベンジー(浅井健一)はJUDEでもそうだけど、AJICOでもBLANKEY JET CITYの曲をやった。 まあそれについては、今もファンの間では賛否両論。 私はそういう試みは面白いと思う。
BLANKEY JET CITYのライブでは結局1度もライブでやらなかったし、ベストアルバムにも入らなかったけどファンの間では人気がある「PEPIN(ペピン)」をUAが歌った時、私は鳥肌が立った。彼女のために書かれた歌のようだったんだ。
途中、ベンジーが彼女の歌を引き継ぎ、その後、彼女の声と絡んで行くんだけど、そのコントラストが不思議な温かさを生む。
ベンジーの声は乾いていて冷たい。 UAの声は湿っていて生暖かい。
ベンジーがメロディーを歌いUAがコーラスを付ける時、二人の声が交じり合うことはなく分離したままなんだけど、不思議な調和を醸し出している。
PEPINという女の子が、いなくなった恋人のことを呟いているこの曲は、UAが歌うと生々しくなりベンジーが歌うと急に無表情になる。 恋人のことを考えながら、夕日が気になってるPEPINの上の空な気持ちを現実的に感じられる。 二人が一緒に歌うと恋人を思う生々しい気持ちと、でも、心のどこかで他人事のように感じている気持ちが複雑に入れ替わっているんだなって感じる。
ま、これは私の想像に過ぎないけど、でも、感情って言葉に出来ない部分もあるから、そういうのもありではないだろうかなんて思うわけなのさ。
どれもこれもイメージに過ぎない。 だから、自分で想像する。 結構楽しいと思うんだよね。
そんなわけで。 「PEPIN」を繰り返し聴いて、アドレナリンの放出を促すのであった。
「PEPIN」 WORDS & MUSIC BY 浅井健一、PLAY BY AJICO
何もしたくない時は何もしない。 無理矢理何かしようとしても面白くないから。 そういう時は気分に任せるのが一番だ。
だけど、何にもない毎日を送っていると刺激が少ないせいか何の感動も生まれてこない。そういう状態に段々飽きてくるんだな。
こういう時はある意味チャンスでもある。
買ったまま置きっぱなしの音楽、映画、本なんかに手を伸ばしてみる。 ちょっとばかり無理矢理にね。 間違ってもTVのバラエティーショウを見てはだめだ。 こんな時、あれはよくない。 ますますぼんやりしてくるから。
フラットな状態の精神に、それまで埃を被っていた音楽がすとんとはまって、なんだか妙な感動が生まれたりする。 置きっぱなしの映画で、涙を流したり笑ったり、新しい考えを手に入れたりする。
それで覚醒できれば、ちょっと気分がいい。
それから、外へ出て誰かと飲んで騒ぐ。 楽しく飲めたら最高やね。
「進め なまけもの」 WORDS & MUSIC & PLAY BY 斉藤和義
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