乾いたギターがかき鳴らされる音が好き。 乾いたスネアドラムのリズムも。 それに重なる輪郭があやふやなベースが何かを掻き立てる。 美しいキーボードの音さえ・・・。
そのリズムを聴いただけで、何もかもどうでもよくなってしまうんだ。
何を言いたいのかわかる必要を感じない。 流れてくる音だけが真実だから。
ああ、何も考えずこの音に埋もれてしまいたい。 今このときだけ、この中にある行き場のない感情をさらけ出せればそれでいいんだ。
理解も分析もする必要はない。 これはただの”音”なんだから。
それを聴いたからって私が否定されるわけじゃない。 もちろん、肯定してくれるわけでもない。
でも、私はここにいるし、この音はここにある。 この生々しさは本当のものだ。
乾いたギターがかき鳴らされる音が好き。 乾いたスネアドラムのリズムも。 それに重なる輪郭があやふやなベースが何かを掻き立てる。 美しいキーボードの音さえ・・・。
なによりも、なにも浮かばずぽっかり穴のあいた私の心がこの音をほしがってる。
「38Special」 MUSIC & WORDS BY 浅井健一、PLAY BY SHERBETS
小学五年生の冬、私はこの曲に出会った。 それまでは歌謡曲ばかり聴いていたので、初めて聞いたときの衝撃は忘れられない。
生意気にも行き付けのレコード店など持っていた私は、なけなしのお小遣いを握り締めてどきどきしながらこの曲のシングルレコードを手に取った。 もちろん、そのレコードは今も私の手元にあるんだけど。
父の立派なステレオの電源を入れ、レコードをセットして初めて針を下ろす瞬間は、いつもどきどきしていた。イントロが始まる直前のノイズがなぜか快かったものだ。 今もCDをはじめてかける瞬間は息を止めてそれを待ってしまう。
流れてきたのはとてもすんだピアノ。 悲しげなメロディーに心が締めつけられる。 小田さんの第一声は、びっくりするくらいきれいで女の人かと思うくらいのハイトーン。 透明な声が語る言葉は、とてもせつなくて哀しい。 まだ子供の私でもその情景を想像できるくらい単純なものだ。
それからすぐ私は彼らの音楽のとりこになって、短大に入るまで彼らの音楽との付き合いは続いた。多分、ふきのとうの次に私に大きな影響を与えたのが、彼らの音楽だったと思う。
オフコースの歌を歌いたくて私はギターを覚えて、途中でやめたピアノの練習もしてみた。いつか、私も・・・。なんて夢を持ってたんだな。 いやはや、幼い日の思い出ってやつだね。
今は、あまりこの曲が好きではない。 だって、すごく哀しい歌じゃない? こんな寒い夜に聞くのはちょっとつらいと思うんだ。
「さよなら」 MUSIC & WORDS BY 小田和正、PLAY BY オフコース
第一声を聴いてどきりとした。 こんな澄んだまっすぐな声は久しぶりに聴いた気がしたから。
TVドラマの主題歌で小田さんの声を聴くのはずいぶん久しぶりだ。
ああ、お久しぶりです。元気でしたか?
な〜んて、TVに向かって挨拶している自分がいてちょっと恥ずかしかったな。 この人の声は変わらないなあ。 もちろん、年を経てトーンは多少低くなっているけれど、まっすぐで迷いがない感じは変わらないと思うんだ。 この声を聴いていると、なんだかとてもつらくなることがある。 あまりにもまっすぐで、今の自分をまっすぐ見ることの出来ない自分自身をつきつけられているみたいなんだ。 もちろん、そんなことは気のせいにすぎない。
彼の音楽は、もう20年くらい前によく聴いていたけど、久しぶりに聴いてもやっぱり新鮮だ。私にとってはバイブルみたいなものなのかもしれない。
50歳をすぎても変わらない思いを持ちつづけている小田さんをかっこいいと思う。 私もそうなりたい。
「キラキラ」 MUSIC & WORDS & PLAY BY 小田和正
お向かいにケンという犬が住んでいる。 そこん家の息子が名づけたらしい。 犬だからケンなんだって。 なんともはやはや・・・。
ケンはいつも困った顔をしている。 困った顔をして私をじっと見つめてるんだよ。 私は彼と仲良しになりたいと毎日思う。 じっと見ている彼の気持ちも多分同じだと思うんだけどなあ。
でも、彼と私のあいだには道があって塀があってなかなか距離は縮まらない。 う〜ん、もどかしい・・・。
側まで行って手を伸ばせば、きっとケンは私の手のひらをくんくん匂ったあとにぺろりとなめるだろう。その顔はきっとうれしい顔をしていると思うんだ。 それはもうずっと、想像していることなんだけど、お隣の塀まで近寄るのは、やっぱりちょっとできずにいる。
ああ、もっと仲良くなりたいね。
ケンと私はそんなこと思いながら、今朝も見詰め合っていたんだ。
「犬とフリスビー」 MUSIC & WORDS BY 馬場俊英
大江光さんという作曲家の音楽を知った。 クラシックの作曲家で、みずからもピアノを弾くそうだ。
昔から慣れ親しんでいる西洋製のクラシックとはどこか違う感じがする。 演奏しているのも日本の演奏家で、多分、クラシックに詳しい人なら知っているような人たちなのかもしれないが、私はこの方面にはとんと暗いのでわからない。
時々、言葉が耳についてうるさくて、それでも何か音楽がほしいときには、歌の入っていない音楽を聴く。 最近お気に入りは、NHK-FMで夜8時からやっているらしいベスト・オブ・クラシックという番組だ。
クラシックは、癒し系の音楽だと言う人もいる。 私はへそ曲がりなので、どれが誰を癒すかなんて人が決めるもんじゃないだろう。と言うのが持論なんだけど、最近、それもあながちうそではないななんて思ったりしている。
大江さんの音楽は、とてもやさしくて暖かい光のようだ。 彼が生活の中で見たり聴いたり感じたりしたことをまるで日記のように楽譜に書くのだという。 作曲上の複雑な技巧はあまりないように感じる。 心の中にある音を出来るだけ忠実に表現することによろこびを感じているようなそんな音楽なのです。 ん?そういえば、LOVE PSYCHEDELICOのギターの人が同じこと言ってたな。
またひとつ、気持ちのいいやさしい音楽にであった。 これで私はまたささやかな幸せを感じることが出来るのだ。
そうそう。 大江光さんは、最近私が傾倒している大江健三郎さんの「静かな生活」の登場人物のモデルになっているんだよ。
「ジャニー・ボーイ」 MUSIC BY 大江光、PLAY BY 小泉浩 & 荘村清志
2002年02月06日(水) |
デリケートにキスして |
やられたっ!
ひさびさに音楽チャンネルを付けっぱなしにしてうだうだしていたら、とんでもないものに遭遇してしまった。
乾いた太鼓の音に、ジャズべのちょっと輪郭があやふやなシンプルなベースラインにテレキャスターのギターがこれまた乾いたいい音でかき鳴らされてる。 ちょっとハスキーで高いけどちょっとトーン低めの声がナンかわめいてる。 おおおっ!典型的なロックンロールバンドだぜっ。 ツインボーカルだけどさ。
ちょっとわくわくしてTVを振りかえったね、わたしはっ。 が、しかし!!しかしだね〜。
そこで演奏していたやつらは・・・・。
時代錯誤としか思えない長いガクランにどえらいぶっとい学生ズボン。 サングラスはでっかいたれ目で茶色い。 極め付けは、これまたどえらいストロングなリーゼント(カツラか??)
しかも、ボーカルの男、2人とも鮮やかにステップを踏んでいるのだ。
はっきりいって、ぼーぜん。
まじっすか?
そういういかにもネラった類のものは、どちらかと言うと苦手な私なんだけど、こいつら、実にいい音を出すのよ〜!! テクはあるね、うんっ。 音がめちゃめちゃかっこええ〜♪
ずばり、こいつら絶対BLANKEY JET CITYファンだよ。
ふっとした音の作りがねえ〜。 もう絶対BLANKEY JET CITYの音だっ!!
正当な方法で、BLANKEY JET CITYの真似してもただ単に比較されて、フンっとか鼻で笑われてハイ終わりっ。 なにせBLANKEY JET CITYファンはそう言うことにはうるさい人がそろってるからねえ〜。
もしも、こいつらが本当に彼らの音楽のファンだとしたら、これはなかなか考えたと思う。 はっきり言ってビデオクリップのいでたちだけ見てたらそっちに気をとられてしまうもんね。
格好の割(失礼っ)にいい音をしっかり出してるんだよ〜。
ぜーったいそうだと思いながら見ていたら、ボーカルの男がこんなせりふを言ってしまった!
"オレのこのナイフにキスしてくれないか?"
おいおいおいおいおーーーーーーーーーっいっ!!
ぜーーーーーーーーーーーーったい、ファンだよね????ねねねね?? (もしも、これを読んでいるBLANKEY JET CITYファンがいたら、このせりふがナンなのか思い出してみよう。)
こいつらの名前は氣志團と言うらしい。 おいら、アルバム買っちゃおうっかな〜。
あっ、ちなみにレコード会社はあの東芝EMIだった。 やはり、こいつら・・・。
( ̄ー ̄)
「デリケートにキスして」 MUSIC & WORDS BY (--sorry unknown--)、PLAY BY 氣志團
見てきた。
「地獄の黙示録 特別完全版」
別にオリジナルを死ぬほど愛しているわけでも、コッポラ監督の熱烈なファンでもないんだけどね。 もちろん私はこのオリジナルを映画館で見たわけではなく、TVの映画番組かビデオで見たのが最初だったんだ。
わかりにくい映画なんだよね〜。 それで、何度見ても納得がいかなかったので、今この時期に特別完全版と銘打ってやるくらいだから、私の中の納得行かないことに何か答えが出るかもしれないねなんて軽い気持ちで映画館に行って見た。
今回は入場料がこの映画だけ一律2000円。 何時行ってもこの値段だってさ。
えええええっ?まじ?
そう思ったけど、ならなおさら行ってみようかねと思ってしまうのが私だったりする・・・。 初日の第1回上映に間に合った。 入場者はそれほど多くなく、入り口で切符切りのお姉さんが、ポストカードのセットを手渡してくれた。 あー、そう言えば、先着150名くらいにはそう言うのくれるって書いてあったねえ〜。
らっき〜♪
いつもならそんなこと気にもしないんだけど、その日は、入場者をまじまじと観察してしまった。 女一人で行ってるのは、私一人。 カップルでやってきた女性があと6人ばかりいて、のこりは20人くらいで40代〜50代くらいのおじさんが中心。みんな一人で来ている人ばっかり。
まあ、そんなもんだよね〜。
実は、私はTHE DOORSのファンである。 この映画を見ようと思った直接のきっかけは、彼らの曲「THE END」が効果的に使われていると知ったからだった。映画で扱われているテーマがテーマだけに、「THE END」の詩が詩だけに、それはかなりの好奇心を駆り立てたんだな。
で、オリジナルは、納得がいかなかったわけ。
じゃあ今回の特別完全版は、どうだったかってことだけど・・・。
泣きました・・・。
ベトナム戦争下の狂った軍人が何人も出てくる。いや、軍人だけじゃなく狂った西洋人も。 オリジナル版ではなかった3つのエピソードが付け加えられていて53分拡大。って話は知っていたけど、はじめからなんか違うんだな。 だけど、どこがどう違うのかはっきりしないんだよ。
ナンか違うのよ。
で、なんでかなあ〜?と思いながら見ていた。 あとで、オリジナル版見ようかなあ。 なんて思いながら。
後半になると、オリジナルとの違いはよりいっそうはっきりしてくる。 いつもなら、とっくにだれて見る気が失せてしまう頃になっても真剣に見てしまっている自分がいた。
で、最後まで見終わって私は納得した。 うん、「地獄の黙示録 特別完全版」は名作です。
何が違うのか?それが気になって、最近は買わなくなったパンフレットなんて物まで買ってしまったよ。800円もするんだけどさ。
コッポラ監督は、自分の作品、特にこの作品に感してはすごく詳しくいろいろなエピソードを語っている。いろんなところでね。パンフレットにもこの完全特別版を作ろうと思った理由とか、どういうことにポイントを置いたとか詳しく本人の弁が乗ってる。 私が見ながら感じた”なんか違う”点についてもね。
まあ、今ここでこと細かく書いてもいいんだけど。 それはあまり意味のないことだと思うのでやめる。
「THE END」は、べつにこの映画のために作られた曲ではない。 この映画が作られた頃、ジム・モリスンはとっくに死んでいたし、ドアーズもなかったといってもいい。 コッポラ監督は、これがいいと思って使っただけだそうだ。(音楽の監督も彼がやってるんだってさ。)その選択は正しいと思うね。まるであつらえたようにぴったりはまっているから。
やはやジム・モリスンの詩は文学性が高いと思ったし、ドアーズってバンドの音楽性もやはり高かったなと思った。デジタル処理されてよりクリーンになった「THE END」は、ものすごい迫力をのっけから持っていた。鳥肌が立つくらいにね。 劇場でそれを聞けるとは思いもよらなかったけどさ。
まあ、興味がある人は高くても行ってみる価値はあるだろう。 まったくCGが使われていない戦場シーンの迫力のすごさとか、脚本のすごさとかそういうものを肌で感じると思うよ。 そう、CGがまったくないってとこがこの映画の最大の魅力だと思う。 奇麗事はまったくない。
そうそう。 この映画、日本だけが全国拡大上映なんだそうだ。 それにどういう意味があるのかも私にはわからないけどさ。
見る気になった人に一言。 トイレには必ず行こうね。飲み物なんて飲みながら見ちゃだめだよ。 なんてったって、長丁場だからさ。
「THE END」 MUSIC & WORDS BY Jim Morrison、PLAY BY THE DOORS
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