夕暮塔...夕暮

 

 

妹の彼 - 2003年06月28日(土)

ええと、ええと、誰かに似ていると思うんだけど。

妹の彼の顔を見ながら静かに考える。妹とその恋人、私と母とで銀座のニッサンショールームの前で待ち合わせ、おいしくて混まないという中華料理屋さんに向かった。妹はちょっと前衛的な模様のスカートを履いて、前に会った時よりずっとスレンダーになっている。「すっごく痩せたね」と私が驚くと、「株主総会の準備で、ここ二ヶ月くらい夕ご飯を食べなかったらこうなった」と笑って「でも気付かないの、この人、ね」と言いながら彼の背中あたりをつつく。痩せろとか忠告するような神経の細かい人よりはずっと素敵だけれど、こんなに変わってもわからないものなのだろうか。おおらかというか、不思議な感性だと思う。どういう所に女性の身体的美点を見出すんだろう。
彼に是非とも競馬の話をして欲しいのに、妹は「その話は、お母さんの前ではしてほしくないみたい…」と私をこっそり止める。残念、彼が一番いきいきする話題をふってみたいのだけど。別れた後、母は「可愛かったわね、目がくりっとして。でもわりと大人しい人?」と言う。母の評価はそんなに悪くないようだ、それはそうだろう、だって野淵さんはやっぱり見た感じがどことなく父に似ていると思う。父親の呪縛にとらわれるのは長女だと言うけれど、うちでは多分次女もそうなのだ。母と2人きりになった地下鉄の中でうとうとと考える、…ああわかった、ズームインサタデーのアナウンサー。くっきりした眉、彫りの深い美形。あの人に、よく、似ている。


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約束の - 2003年06月24日(火)

そういえばうちはお米を切らしているのだった。梅雨バテでしばらく素麺と冷麺ばかり食べていたから忘れてしまいそうだったのだけれど、ようやく実家に伝えて安心した。ああ危ない、明日あたりまでに母に伝えておかないと間に合わなくなるところだった。妹の彼に会う為に、母が金曜から泊まりに来る。母はきっともの凄く楽しみにしている、ずっと前からその人に会いたいと言っていたけれど、彼のほうが乗り気でないために実現しないままでここまで来た。私も写真でしか知らない、田舎の人間がびっくりするような経歴の人、顔立ちが父に似ていて、実は妹の初恋の人と同じファーストネーム。
だけど多分母は知らない、妹は今、恋人を親に引き合わせる計画をしつつ、内心では結婚相談所に登録する事を真剣に考えている。三年越しの彼をあっさり捨てて、左の薬指に新しい約束の指輪をあてがう事を。




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約束のない指輪ならがらくたと同じこと ごめん 今わたしには






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夕刻の鐘 - 2003年06月20日(金)

人多き街の真ん中に鐘は鳴る 懐かしくぬるき夜を過ごせと


夕刻の鐘鳴りて水無月の晴れ間 銀座にも虹の雲は輝く



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梅雨バテ - 2003年06月13日(金)

雨が上がって、眩しいくらいの十三夜。もう夜なのに食欲がわかない。毎年恒例の梅雨バテ、この時期は本当にしんどい。具無しの冷やし中華か冷麺ならなんとか食べられそうな気もするけど、もの凄く栄養のない食事だと思うともうげんなりしてくる。明日は友達にタイカレーをご馳走する約束をしているのに、この胃腸の弱り方であんな辛いものを消化しきれるかなあ。


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辛いニュース - 2003年06月11日(水)

「きよのさん、入院だって。結石が大きくなりすぎて、手術するって…」
「………うわ、とうとう、か…」
その後の言葉が見あたらない感じがして、複雑な顔になって黙り込んだ。
事態が悪い方に進めばこんな風になる、そんな曖昧な予期なら充分にあった、おそらくは誰の胸にも。だけど誰もがこんな事にならないように願っていた筈だった。あのプロジェクトが忙しくなれば彼女にしわ寄せが一気に来るだろう事は明白で、そうならないように周囲もかなりの注意を払っているように見えた。でもやっぱり結果はこうなのか。あんまりにストレートな展開過ぎて、私までじわじわとどこか痛くなってくる。彼女に全く非がないとは言えない、だけどそれはもう特定の行動というよりは、彼女自身の性質のレベルだ。「性格は変えられない、変わらないよ、でも、努力する事はできる」 彼女の言葉を思い出す、切ない、多分今はひたすらに自分を責めているんだろう。性格は変え難い、それは確かに正しい。だけどわかっていたって人はいつも繰り返し後悔したり苛立ったりするばかりで、その言葉に救われることはない。だからいつもこうやって傷つく。ずっと時間の過ぎたあと、残るのは傷跡だけじゃないと思いたいけど。






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あの雲が - 2003年06月07日(土)

きらきらとまたたくみたいにあの雲が笑うからもう少し歩こう



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夏椿 - 2003年06月06日(金)

職場に新しい白衣が届いて、さっそく荷をほどいて各自着てみる。しまった、やっぱりなんだかしっくりこない。思ったよりずっとくっきりしたピンク色、この色合いが難しいのだと思う。白衣って、ピンク色だったら白衣とは呼ばないんじゃないだろうか、いやそんな事はどうでもいいのだけど、この青みのピンクが私にはもともと合わないのだ。ピンクだったら少し黄味の入った色、桃色に近くて淡い色がいいと自覚していたけれど、本当にその通りだったらしい。仕事の時は眼鏡をかけてマスカラは控えめにしている、その感じがますますこの色を遠ざける。
「なんか、本当に”ピンク”だったねえ…少し色のトーン落としたいよね。漂白したらどうかな。まだらになっちゃうか」 「そうかもしれないですね………」 私は少し困ってしまう、我が儘を通しても、白か水色にすべきだったかもしれない。




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夏椿揺れている月の坂道を何千回目に過ぎる夕風


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朝方の夢 - 2003年06月03日(火)

パソコンの画面とにらめっこして、琉球ガラスの壁掛け時計を買おうかどうか真剣に悩む。問題点はいくつかあるけれど、お皿に針がついただけのデザインゆえに正確な時間がわからないというのが一番ひっかかる。これって、本当に単なる飾りみたいなものだなあ。だけど、すごく涼しげできれい。白い壁にきっとよく映える。うーん。値段がこの半分だったらひょいっと買ってしまうのだけど。まだもう少し考えよう。




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朝方の残酷な夢をこの胸に閉じこめて荒れるままに任せた



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テーマが冷たくてどこにも救いのない夢をみたら、親密な人に話したくなる。そうする事で不安が体内から出ていくような気がするのだと思う。
伝えたい衝動を押し込めて、この不協和音を内側に留めてみたらどうなるだろうか。


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