Distortion


--冷たい部屋 温い温度--


目の前で他の色と混ざって
そのまま果てるのを見た
目の前に私が居ると知って
どうして止めなかったの

記憶を片付けずに
鍵を置いて逃げましょう
もう戻れないぐらい遠くへ

思い出は消えていくけれど
体に染み着いた全ては変わらない
どうしてこんなものに捕らわれて
毎晩苦しんでいるのだろう

「ここはもう一つのおうち」
疑いもせず信じ込んでいたけれど
優しく頭を撫でるその素顔は
ただの生き物だったのでしょう

もしそれが交差しない感情でも
ごまかして保っていた
探しても存在しない喜びで
満ち溢れていた部屋

自分を欺いて見た夢
笑っていたのは私じゃなかった
どうしてあんなものに捕らわれて
毎晩苦しんでいたのだろう



2006年12月31日(日)



--檻の中--


夢の渦に落ちて甘い声を知った
惑わす響きはこびり付いたまま

心が見た幻 進む時を止めて
冷たい手でずっと今に繋ぎとめる

覚めてしまえば裏切られることぐらいわかっている

あなただけ見ていたい 影でも良いから
いっそ沈めてしまって 戻れないところへ
閉じ込められたら 
身動きもとれず 途方に暮れて
夢の国で暮らしてあなたを愛でる


言葉の無い場所でどうしたら伝わる
その温度だけが私に流れ込む

夢を見ていてもにせものだってことはわかっている

あなただけ見ていたい 騙されてもいいから
いっそ捨ててしまって 忘れてくれていい 
誤魔化されたら
空っぽのまま 途方に暮れて
闇の中で泣いてはあなたと遊ぶ

いっそいかせて欲しい あなたが好きなように 
掻き乱されたら
私に残る温度を抱いて
鏡の向こう側 あなたの虜



2006年12月30日(土)



--夕闇どおり--


何を探していたの
何が要らなかったの
いつも手探りのままで
何一つ解らなかった

あの日から時が止まって
私だけ歩いている

遠く離れて
姿が霞みだした

枯れるほどに涙を流して
明けない夜を消し去っても
やってきた明日に形がなくて
気づいたときにまた泣いた


2006年12月29日(金)


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