始まる前、秋ドラマの中ではこれを一番楽しみにしていました。 そりゃあもう、山崎豊子原作!唐沢寿明主演!とくれば期待しないわけにはまいりません。 脇キャストも豪華だし、内容も質が高そう。 『白い巨塔』の感動よ、再び〜!と放送開始を待ち構えていたのですが。
が。 なぜか、今のところわたしの中であまり盛り上がっておりません…。
なんでだろう? 話はおもしろい。…と思う。 シベリア抑留時代の悲惨さ、帰国後の慣れない商社での苦労、競合・東京商事との息を呑む争い。 見応えあるシーンの連続なんですが。 なーんかあまり心が動かない。
理由を考えてみたのですが、わたしの場合、どーにも主人公・壱岐の人物像がつかみきれていないのが原因らしい。 時代や状況が変われば壱岐自身も変わっていくのは当然なのですが、視聴者としてそれに上手くついて行けてないかんじです。
戦中、陸軍にいた頃〜近畿商事入社前までは清廉潔白ですごく実直な人柄でしたよね。 終戦時、自分が乗って帰国するはずだった輸送機に負傷した兵士を乗せてやったり、シベリア抑留中はソ連看守に意見して仲間をかばったり。 むしろ少々おキレイ主人公過ぎ?とすら感じたのですが。
それが、近畿商事に入った頃から壱岐の違う面が見えてきた。 航空機部門に移り、防衛庁の戦闘機をめぐって競合の東京商事と丁々発止でやり合うわけだが。 ここで展開されるのは、政治家先生に「手土産」持ってお願いに上がったり、不利な新聞記事を権力でもみ消すような、クリーンとは言いがたいビジネス活動。 そして警察沙汰になればトカゲの尻尾切りで部下を見捨てる。 東京商事側も不祥事まがいのことはやっていますし、そこまでやらなければならない戦いを描くという点では、主人公側だけが正義を営んでる話より真実味が増しますが。 しかし、この汚れ環境への適応が異様にスムーズ。ほとんど抵抗感を見せなかった。 この柔軟性が、頑固に清廉潔白を貫いたシベリア時代の壱岐とうまくリンクしなくて。 これが財前のような立身出世のために何でもできる人物なら「やりかねない」という説得力は充分なんですが。 若い負傷兵に帰国を譲って11年間シベリア抑留に耐えた壱岐がどうして?
なんかこう、今までの清く正しいやり方で取り返しの付かない失敗をしたとか、でなきゃ心から信頼していた人物に裏切られたとか…見て判りやすい契機があったのなら理解できるんですけど‥‥。 現実の生活では、ショッキングなきっかけがなくても日常の中で人間は変化していきますが、ドラマとしては視聴者に伝達するのは難しいと思います。
あと惜しい感じがするのは、脇を固める豪華キャストです。 最初は「主役級の男優・女優が目白押しじゃん!」と単純に喜んでいましたが。 なんかそのきらびやかな手駒をあんまり生かしきれてないような‥‥。 三谷幸喜映画みたいにチョイ役にサプライズ的に有名人を使うとか、1話完結もののゲストに有名俳優を呼ぶとかなら楽しみなんですけど、連ドラの中の「脇役」として使うと予想外につまらないものですね。 ネームバリューでは劣っても実力ある俳優さんはたくさんいる。 適材適所で使うのがやっぱり良いのではないかしらと思える今日このごろ。
同じ山崎豊子原作だったら、TBSの『華麗なる一族』の方がハマれたなーー。 昭和40年代の衣装もセットもいい加減でしたが、脚本はすごく魅力ありました。 木村拓哉の主演が丁と出るか半と出るかも難しいところでしたが、彼はいい仕事してたと思います。 『白い巨塔』も今思うと唐沢寿明と江口洋介のツートップが相乗効果だったのかもしれないなー。
なんか、不満ばかり書いてしまいましたがー。 実はこの文章書いたのは4話目まで見た時点だったんです。 ほったらかしてたら時間が経ってしまい、現在6話を見たところですが、今度は中東情勢の絡んだ船舶商戦。 4話までの戦闘機の話よりだいぶ面白い内容になってると感じています。 まあ、これからも面白くなっていくもしれないし、しばらくは見守りたいと思います。
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