年の瀬も押し迫った大晦日、今日なら映画館もすいてるだろうということで、『LAST SAMURAI』見てまいりました。渡辺謙、よかったです。でもって、トム・クルーズもカッコよかったです。昔『トップガン』など見て「なんつーかっこよさだ」とあの顔の良さに深い感銘を受けたミーハー精神を思い出しました。正統派美形男が好きらしいです、わたしは。 まーなんというか。ある種、日本人側が危惧(期待?)する「誤解した日本」はここでは見ることができませんでした。「見なれた時代劇とちょっと違うような」と思った箇所もありましたが、考えてみればそれも時代劇の刷り込みという形で作られたイメージで、実際の明治初期を見たことははないし本格的に調べたこともない。むしろハリウッド大作映画のこと、風俗に関してはヘタなTV時代劇よりはよぼど正確に時代考証してあるのかも知れないですね。視覚効果の都合を無視して、必要以上のリアルを追求されても困るしね(小雪がお歯黒したりとか…)。文明開化の明治に戦国時代の鎧兜っつーのはいくらなんでも古すぎる気もしたが、その方が絵的にサムライらしく覇気もあるからいいのか。それに衣装としてトムに似合っていたのでオッケーとする(結局それ)。カッコよくなきゃ話に酔えない。話に酔えなきゃ感動できない。感動できなきゃ映画じゃない。だからいいのだ! 脚本的にはまったく架空の話なんですね、これは。明治維新の時代が舞台だけど、「薩摩」とか「旧幕府」とか日本史でお馴染みの団体名(?)は出てこないし。年号は西南戦争と同じですが、維新当時の士族の反乱軍のイメージとはずいぶん異なりますよね。実際の保守派は、軍備や服装は近代式(西洋式)のものを取り入れてたはずだし、サムライの美学より実質的な勝ちを目指していただろう。それ以前に、あの勝元(渡辺謙)率いるサムライ集団はどのへんをイメージしたものなのか? というか、根っからの架空であってモデルらしいモデルはないのだろうな。一応、士族階級は数年前までは徳川を頂点とする日本の主たる階級だったのだから、映画にあったような山里に住む部族集団というのは…やっぱ、映画用に分かりやすく設定された「反乱勢力」ですね。 この映画では、物語に必要な時代背景としては「旧時代を切り捨て、近代化をはかろうとする国家」という部分だけがあって、あとは史実の干渉が入ることなく、滅びゆくサムライの美学をひたすら体現する物語になっている。まーな、日本人だけが見るわけじゃないからな、日本史を知らなくても「滅びゆく武士道」を堪能できなきゃならぬしな。それだけに「武士道」という言葉から連想されるストイックさと切なさと桜のように散る美しさは、わかりやすーくダイレクトに描かれていた(そこが大衆の友・ハリウッドのいいところ)。外国の人が日本史の下地なしに楽しめるラインと、日本人が架空にしても最低限許容できるライン、この兼ね合いからこの設定になったということだろう。 そんなわけで、日本人から見るとちょっぴりパラレルワールドな明治初期なんですが。しかし、そのへんはハッキリ言って問題ない。史実がどーとか、そのようなことは全く気にならずに引き込まれる力を持った作品でしたから。役者的にもたいへん満足しておりますし。渡辺謙もトム・クルーズもいっぱい見られたし。ソテツの生えるトロピカルな森だったにもかかわらず神々しかった勝元登場シーンとか。和服のトム・クルーズもエエ男だったのう。アメリカ人に着物はあんまり似合わないんじゃ…と思っていたが、着こなす人はカッコよく着こなすもんなのだな。やっぱトップスターだからよね、と思ったが、じゃあ、他のハリウッドトップスターにあの鎧を着せたらどうなのかと、いろいろ他のハンサム男優の顔をはめこんで想像してみたんだが…(キアヌとかブラピとかデカプリとか)…。やっぱトムでいいです。ハイ…。それと、小雪がけっこう良かったです。これまで特には意識したことのない女優さんでしたが、凛として清楚で理想の日本女性像(ほぼ絶滅しているが)。和服は、凛々しい男らしさと女らしさが端的にあらわれるので、やっぱ見ていてうっとりしますね。もちろん、着るだけじゃダメですね。所作がきちっとしてないと。 なんにせよ。ハリウッドの大きさをしみじみ感じた作品でした。ハリウッドが真摯な敬意をもって(それと巨額の資金を持って)日本を描けば、このような邦画にもないような「日本」の映画ができるのですね…。そうですね、これまでの変な日本モノとの一番の大きな違いは、何よりも敬意の有無かもしれません。美しい映画です。話も映像も。 映画はたまにしか見ない方なんですが、たまに見ると(たまにだからか)1週間くらいじーっとそのことを考えてたりする。つーわけで、2004年の年明けも元旦から七草粥を食べる頃まで、じーっと鎧装束のトム・クルーズのことを考える年始となることでしょう。2003年、なかなかよい大晦日でございました。
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