みかんのつぶつぶ
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2003年10月20日(月)



毎日出かける道々で揺れる草花たちに、
背中を押されているような気になる。


いってらっしゃい
いってらっしゃい


今日も一日、
今日の一日、
毎日変化することのないこの日こそが、
シアワセなこと


もういない
どこにもいない
あのひともこのひとも
どんなにかこの一日を、
過ごしていたいと心奥深く願い過ごしていたことでしょう。


だから、
勇気をだして、
いってらっしゃい
帰り道では、
よくがんばったね、


いい子だね
いい子だね・・・


さびしいよ。とってもとっても。
あの時期、私の子ども達はどんな表情でこの道を歩いていたのだろうかと振り返る。下校する中学生の姿に、2年前の子ども達の姿を重ね合わせる。


秋は、深まるばかりで。





2003年10月18日(土)



ふいに悲しくなる夕暮れ。
太陽の落ちる早さにも泣きたくなる時間。


手に持つ買い物袋の重ささえも忘れるほど、
心が重く重くなる。


街灯に浮かび上がる自分の顔は、
きっと歪んでいるのだろうけれど、
いまは、
そっとそんな自分自身を見つめるときなのだろう。


帰りたい
帰りたい
そういった彼の言葉を、
繰り返し繰り返し噛み締めて家路に。





2003年10月17日(金)



お昼、気分転換に屋上へ。
見下ろす街、秋の陽射し。


私はね、
赤ん坊のときにこの町に暮らしていたんだ。
私の記憶にはないけれど、
父と、
私を産んだ母が、
憶えていること。


お父さん、
もっとたくさんたくさんお喋りしたかったよ。
みんなでもっともっと、
いっぱい笑っていたかった。


どこにもいないって、
思うことがとってもとっても悲しくなったお昼間でした。





2003年10月15日(水)




2003年10月09日(木)



そう今、そっと一日は終わろうとしている
そして夜の闇がそっと見守っている
ノクターン


真っ暗な闇は今となりに横たわっている
でも新しい明日のために
そっと道をあけてくれるでしょう


by: Secret Garden / Nocturne


2003年10月06日(月) 季節の香りに



アイロンをかけると思い出す。
いつ着られるかわからないけど・・・、と、
二度目の入院の前日に、
彼がアイロンを動かしていた白い白いコック服。
糊をパリっときかせて力強くアイロンを押し当てて。
棺に横たわる彼の身体の上で、
白く白く・・・


柔らかいビニールボールを見ると思い出す。
リハビリ室で先生を待っているとき、
左手に乗せて握る練習をしようねと、手のひらに乗せた時、
もう、ダメだから・・・、と、
左手にボールを乗せたまま動かない指先と、そう呟く彼の口元を。



悲しく悲しくなるばかりで、
この先へと動くことを全て放棄したくなる私が、時々いる。



2003年10月05日(日) 金木犀の下で





花は、
散るために咲くのだろうか
濡れた路面に落ちるその姿が愛しくて。



そっと、手のひらに乗せて数える。



ひとつ
ふたつ
みっつ
・・・



心地よい香りをありがとう
秋の日の別れがまたひとつ。





2003年10月04日(土) ゴメンね



悲しくてね。つらくってね。
連れて帰れるものならば、ってね。

ゴメン、一緒に帰れないんだよって、
その理由を話すのももう・・・

楽しそうなテレビの番組をさがして、
その画面に見入っている顔を確認して、
どうかこのまま眠りについてくれればと願い、
もう一度、帰るよ、と、声をかける。

うん。って頷く顔に安心して病室をあとにする。

チャンネルをかえたくなったり、
喉が渇いたり、
頭が痛くなったり、
寂しくなったり、
そんなことがないように、
どうか朝までぐっすりと眠れますように。

いつもいつもね、
そんな気持ちを抱えながらの帰り道だったんだ。

私も、つらかったんだよ。
ごめんね。




2003年10月02日(木) 散歩道にて


何でも無いような事が 幸せだったと思う

何でも無い夜のこと 二度とは戻れない夜



娘が検診を受けろという。
きっとガンがあるはずだからと。
保健体育の時間に聞きかじってきたという。
薬を飲む私を不安そうに眺めている視線を感じる。

出勤する仕度を済ませて洗濯機に向かう私の背中に、
飯を作る時間はあるのかとたずねる息子。
そんな気遣いに胸が熱くなる。

かわいそうに。私の子ども達。

揺れるススキの穂が、
私の頭をそっと撫でた彼の手の優しさを思い出させた。


2003年10月01日(水) 帰宅途中


夜道でホッとする灯り。
やり場のない気持ちで投げやりに小銭をさがしてコーヒーを買う。
そしておもむろに煙草に火をつける。誰が見てたって咎められたってそんなの屁だ。女性の歩き煙草は最低だという精神を全て消し去っての行為。
そんな風にとっても自分を傷めつけたい気分の帰り道だった。

冷えた空気に漂う金木犀の香りを、もっともっと感じていたいと思いながら遠回りして、ゆっくりゆっくり歩いてみる。手に持つ缶コーヒーは、これはなかなか美味しいよ、と、遠い日に彼が教えてくれた銘柄。

コーヒーの香りと煙草の煙りで供養する。そんな気持ちで。



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