Sun Set Days
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2004年10月19日(火) note.1

 趣味で小説を書いているのだけれど、いまは少し長いやつを時間をつくりながら愉しみながら書いている。
 仮タイトルは『Wonderful World』といって、たくさんの登場人物が出てくる群像劇のような物語だ。
 このサイトを見に来てくれる人にわかりやすく説明すると、江國香織の『薔薇の木枇杷の木檸檬の木』のようにたくさんの登場人物たちが出てきて、お互いが少しずつ関係していてというような感じ。あるいは映画で言うのなら、アルトマンの『ショート・カッツ』のような。また、最近で言うのなら『ラブ・アクチュアリー』のような。前からそういう群像劇が好きで、いつか自分でもつたないなりに書いてみたいなと思っていたのだ。
 短い断章のような、短いエピソードがランダムな順番で語られていく。一見関係のない人たちが、実はどこかで繋がっていることがわかっていく。あるいはどこでも繋がっていないのだけれど、同じような思いを共有していることがわかっていく。あるいは同じ雨の中に、雪の中に、同じホームに立っている。
 物語はひどくゆっくりと、けれども少しずつ確実に進んでいく。

 メインとなるストーリーは9つあって、それぞれにコードネームをつけている。たくさんのエピソードが出てくるので混乱せずに区別するためにそうしている。
 簡単に触れてみると、


 Landscape Photographer:風景しか撮らなかった余命一年の写真家葉山隆志と、彼が最後に撮ることを決めた写真集『Wonderful World』のモデルの少女紗枝の旅を描いた物語。写真家は世界の美しさをファインダーにおさめるために、残された時間を日本中の様々な風景を撮るために使う。各地で撮り続けた写真を雑誌に連載するかわりに取材費を得て、2人は白いプリウスに乗って旅を続ける。有名な観光地でもなんでもないいくつもの風景と、同じ風景に映る少女の写真。雑誌での連載はモノクロだったりカラーだったりする何枚もの写真が様々な構図で並べられ、そこに写真家とモデルが書く短い文章が加わっている。その雑誌連載は写真の美しさや悲劇的なバックグラウンドによってブームとなっていく。基本的には3人称の小説なのだけれど、この2人が連載で書く短い文章(1人称)が、各章の最後に挿入される。

 My Lost Memories:交通事故で夫についての記憶だけを失ってしまった妻。唯一の肉親である祖母の暮らす家に戻った妻は、一年間だけ毎週夫と会う約束をする。けれども一年経ってももし記憶が戻らなければ、離婚をすることになっている。交わしたたくさんの言葉も、春になって雪が溶けて消えてしまうように、妻の中から消えてしまった。残された時間の中で夫はもう一度妻と近付いていくのだが……

 Child Garden:父子家庭でもたくましく生きる小学六年生のゆず。ゆずは毎日の中の「他愛のないけれどたのしいこと」や「うれしいこと」を大切にしている。ある日駅のホームで発作で倒れたゲイを助けたことで、年齢の離れた新しい友人ができる。

 Wild Flower:ゲイの花ちゃんは、駅ビルの大きな書店のアルバイトである大学生の関谷君に恋をしている。彼に会うために、週に何度か本を買いに行く。クールで何事にも動じない関谷君はふとしたきっかけから花ちゃんと知り合うようになる。花ちゃんとゆずと関谷君の風変わりなトリオのエピソード。

 Over:大学生の透は、コンビニのアルバイトで知り合った今日子と不倫をしている。透は、心の中にぽっかりと大きな穴が開いているように見える今日子にどんどん惹かれていく。

 Spica:会社員の修一と、イラストレーターの妻の瑠璃。一見穏やかな、低温火傷のような2人の日々。

 Sirius(あるいは「ニコタマの奇跡」):恋人を事故で失ったOLの亜希子。彼女の足には消えない傷が残った。しかし消えないのは傷だけではなく……

 Ivory:女子高生カオルと高校教師アラタの物語。シリアスな物語のなかで、コミカルなエピソード。

 Rhythm of Selenade:隆志と紗枝の旅の記録である雑誌連載『Wonderful World』の担当編集者である塔子の物語。離婚についてのエピソード。


 すでに結構な分量を書いているのだけれど、仕事から帰ってきてからとか、休日にといった感じの書き方なのでなかなか進まなかったりする。
 けれども愉しみなので、マイペースで書き続けている。趣味でやっていることで期限はないので、ゆっくりと書いていこうという感じなのだけれど。
 ときどきは自分の中で整理するために、こうやってnote.という形でこっちのDaysの方に抜粋とかを書いていくかもしれない。

 ちなみに、【Fragments】などがベースになっているエピソードもあって(設定は違うのだけれど)、上の抜粋を読んだだけでText Sun SetのTextを読んでくれている人はだいたいどんなトーンの作品なのかがわかるかもしれない。


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 お知らせ

 せつなくて、でも明るい場所に繋がっているような、そんな群像劇を目指しているわけです。


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