今、息を止めただろうと指摘したらそいつはにやりと笑った。

一瞬の戸惑いと迷い。
その末に、決断。


それはおまえの仕事なのかと問い掛けた言葉を飲み込む。

責任の所在は何処にあるのか。




俺が。














呪うのは己だけでいい。
柄にもなく、そんな事を想う程。

起きてはいけない
起こしてはいけない

今はそれが暗黙の了解



……なのに、ドアを叩くんじゃない。
この馬鹿が。



幸い、件は分別のつかない赤ん坊ではない。
起きてはいない振りが出来る程度には。



だから、扉をたたくなと。
それが善いことなのかはわからない。
だが、今はどうか、苦しめないでやってくれ。


今でなくてもいいことだ。
今でなくてもいいことだ。




……早く起きるに越したことはないなんてことは識っている。
それを知ってなお


今は起こしてくれるなと。
今は覆らせない。





背中を押してほしいなら
いつでも其れに従おう。
しかし迷いがあるうちは
鍵を掛けてでも閉じ込める。


Don't worry.
「絶対」だ。





キィを叩く音。
キィを叩く音。

起きたくなったら起きればいい。
この先ずっと寝たままでもいい。



どちらを選んでも最善を尽くすよ。
不安定で不安定な青の為に。

葉月れい [MAIL] [HOMEPAGE]

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