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2001年12月31日(月) 年賀状

今更ながらだけど

年賀状を書いてる。

毎年、もう年の瀬も押し迫った頃から

元旦には間にあわない年賀状を書く。

今に始まったことじゃないので

受け取る側もあまり気にしない…と思う。


出すのが遅いくせに

一人一人必ず長めのコメントを入れるから

なかなか筆が進まない。

これも、今までと変わらない。



一人で実家の居間に座り込んで書く。

今年はいつにも増して筆の進みが遅れてる。


職場の人以外には

「3月に退職します」のコメントを入れた。

「6月頃には新しい生活が始まります」とも。

そう書けるようになったのはすごくうれしい。

だけどそう書いてる自分が、

客観的に見て気恥ずかしい気がする。





新しい一年がもうすぐやってくる。


みなさま


よいお年を!


2001年12月26日(水) 「おう」

やすくんが帰っていった。

雪の中。

冬に私の部屋に来てくれたときはいつも

早起きして

車に積もった雪を

きれいに落としてくれる。


「滑るから車の運転気をつけなよ」


頭を雪で真っ白にしながら

部屋に戻ってきたやすくんは

いつもそう言う。


私の方が雪道の運転慣れてるのに。


体が温まるように

ココアを作って部屋で待つ私。


これもいつもと一緒。


「雪道危ないから、今日は駅まで歩いていくよ」


と言うやすくんを無理矢理車に乗せて、

つかの間のドライブ。





「白浜、頑張ってね」


「おう」





そういって、私たちは別れた。









この生活の終わりが見えてきた朝。



あと半年したら、


こうやって別れることもなくなる。


2001年12月25日(火) ベリーメリークリスマス。

私は仕事。

やすくんは私の部屋でゆっくり寝てる。



もうすぐ仕事が終わると言うときに、

やすくんからメールが届いた。


「今日、ききのうちに行かないか?」


突然のことにびっくりする。

これまでにも何度か日記に書いたけど、

これまでうちの両親と私たちが会ったのは2回。

その両方とも、結局私と両親の喧嘩で終わってしまっていた。

「今日は辞めておこうよ。とうさんもきっと今日帰りが遅いだろうから」

消極的な私のメールに、やすくんからの返事はない。



部屋に戻り、

「ねえ、今度にしようよ。いきなり行くのはかえって逆効果だよ」

という私の言葉に、にっこり笑って

「もうすぐ白浜に行くんだし、その前に一度顔出しておこうと思ってさ。

 大丈夫。今日は俺が話をするから。」

やすくんがこたえた。

「…母さん?私。今晩ちょっとそっちに行きたいんだけど。
 ○○さん(やすくんの名字)がね、白浜に行く前に一度顔を見せたいって。
 …ううん。そんなに長居はしないつもり。…夕飯もたべていくからいい」

「…父さん?あのね、今日帰り遅い?○○さんがうちに行きたいって。
 母さんが父さんの所へ一度電話しなさいっていうから。
 仕事が忙しかったら、無理に帰ってこなくていいから。」


私の電話はこうやって思い返してみると

ものすごく消極的だった。


実家に帰る道すがら、

夕飯を食べるため、小さな中華料理屋さんに入る。

「いつもみたいに、ビールは頼まないの?」

と聞くと、

「さすがに今日はまずいでしょ」

とやすくん。


…飲ませて、今日はあきらめさせようと思っていた自分がいた。



実家に帰って、

いつの間にか用意していたおみやげをうちの両親に渡し、

コーヒーを飲みながら、みんなでテレビを見る。

長居はしない、って言ったのに、

時計を見るとすでに10時をまわっていた。






















そこからの話は内緒。






話せることは、




話を終えて2人で帰るときに、

やすくんが

顔を上気させて

「なあ、お祝いしよう」

って、言ったこと。


コンビニで

小さなケーキと

ビールと

それに、チョコレートを買って

2人でクリスマスのお祝いをしたこと。


もう夜遅くて大変だったのに、

やすくんが

「興奮してるから、眠れないよ」

と、眠い(笑)私を相手に

ずっと話をしながらビールを飲んでたこと。


ようやくベッドに入って眠りにつこうとしたときに、

息ができないくらい強く抱きしめられたこと。


「これから、忙しくなるね」

って、2人で笑い合ったこと。




すごいクリスマスになった。


一生忘れられない、

ステキな

クリスマスプレゼント。





ありがとう。


2001年12月24日(月) 2人で。

早朝のみの仕事を終えたやすくんと

11:00過ぎの新幹線で東京へ向かう。

Maxやまびこの1階席からは外の景色はほとんど見えないけど、

もらったミカンがおいしくなかったけど、

2人で車内の売店まで遅い朝御飯を買いに行ったり、

車内誌を見たりするのが

楽しくて嬉しくて、幸せ。


東京で私の叔父夫婦と会う。


小さな頃から家族同然のつきあいのある叔父夫婦だから、

私も覚えていないような子どもの頃の話を

やすくんにしてる。

やすくんは話を聞きながら時々私の方を見て、

小さな笑顔を見せてくれた。



車で高速バス乗り場まで送ってもらい、

一緒に私の住む街に向かう。




朝からの移動に、少し疲れてしまったみたいで、

うとうとしてしまった。

気づいたら

やすくんの肩に頭をもたれかけてた。

バスに揺られながら

この上なく幸せな時間を過ごした。





幸せです。


2001年12月23日(日) 新婚気分。

昨日の夕方、やすくんの住む街に着いた。

本当は、新幹線の駅からやすくんの街まで

在来線に乗り換えて1人で移動する予定だったんだけど、

思いがけずやすくんの仕事が早く終わったので、

新幹線の駅まで迎えに来てくれた。

伊豆にいた時は、よく

熱海まで迎えに来てくれていたから、

何だかその時に戻ったみたいで嬉しかった。



「ちょっとさ、買い物に行っていい?」


車に乗り込んですぐ、やすくんがそう言った。

もうすぐ長期出張に出かけるから、

そのための生活用品を買いたいらしい。

近くのショッピングモールに向かった。

スーパーには何回か2人で行ったことがあるんだけど、

シャンプーとか、歯ブラシとか

それに、トイレットペーパーとか(笑)

生活雑貨を2人で買うのは、初めて。

なんだか、くすぐったいような気分になる。



「こっちの方が10円安いじゃん。こっちにしようよ」


って言うのはやすくんの方。

あれもこれもほしい、って駄々をこねるのが

私。



やすくんと一緒に、

ああでもない、こうでもないといいながら過ごすこの時間。






今、私は幸せ。




ただ一つ残念なことがあった。

そのショッピングモールの中の眼鏡屋さんで

やすくんの眼鏡の趣味をリサーチしようと思ったら、

「俺、眼鏡って似合わないんだよね」

って言われてしまった。


残念。


どうもクリスマスプレゼント計画失敗しそう。










2001年12月22日(土) キリギリス。

さて。

バスの旅だ。

今度帰ってくるときは、

やすくんも一緒だ。

最高のクリスマスプレゼント!






って、

この部屋に



やすくん入れたら、



嫌われないかな?




そう思った昨夜。



十時就寝。


やれるだけやって寝れば?って

もう一人の私が言うけど、

どうせ今やったって家を出る頃に

「途中で寝ないできちんとやればよかった」

って思うんだし。




というわけで、起床時間は午前四時。

資料や雑誌を片づけ、

トイレや台所をチェック

…する前に

日記をチェックしてしまった私。



とことん
キリギリス暮らしなのかも


2001年12月19日(水) クリスマスプレゼント。

クリスマス。

2回目のクリスマス。

でも、一緒にいられる初めてのクリスマス。

やすくんが伊豆のホテルに勤めてる頃は、

イブから年が明けて10日くらいまでは

1年の中で最も忙しい時期。

当然、クリスマスなんて関係のない世界。

今年は、年末から長期出張に出かける関係もあって

24日から4日間お休みがもらえた、って。

私は22日から24日までお休み。

と、いうことは。

22日に向こうへ行って、

24日に一緒にこっちに戻ってきて

仕事もあるので26日までやすくんがこっちにいてくれたら・・・



素晴らしいクリスマスプレゼントです。


かみさま、ありがとう。






さて、やすくんへのクリスマスプレゼントで

思いっきり頭を悩ませている私。

仕事上、スーツはほとんど着ないし、

タバコも吸わないやすくん。

ついでに替えたばっかりのお財布を使っている。

ネクタイ、ライター、

財布、靴。

全部ボツ。

洋服にしよう!

と思っていたけど、

やすくんの服の趣味って、ちょっと独特。

ごく普通なんだけど、

微妙なニュアンスにこだわりがあるから。

はあ・・・


これでも、結構プレゼント選び上手(というかなんというか)で

評判の私だったのに。



策がない。





今のところ、部屋に帰ったときによく使っている





眼鏡





を、考えています。

一人では選べないモノだから、

せっかく一緒にいるクリスマスに

探しに行ってみようと思っています。



喜んでくれると嬉しいなあ。


2001年12月15日(土) 吐き出す。+++超私信も含む+++

今日、私がマイエンピツに登録している

ある人の日記を読んで、

アノヒトのことを日記に書こうと思った。



「どうしてこんなにアノヒトのことが引っかかるのかなあ」

って、考えた。



以前にも書いたことがあるかもしれないけど

やすくんが伊豆に住んでた頃は

一人でやすくんの部屋で過ごす時間が長かった。

だからこそ気づく、

アノヒトの跡。

茶碗が二つ。お椀が二つ。

料理の仕事をするくせに

家ではほとんど何も作らないやすくんの部屋に

たくさんのお鍋が残ってた。

細かい話だけど、

トイレのカバーが何組もあった。

元彼女の存在、とかそういうのではなくって、

ここで、生活してたんだなっていうのが

リアルに伝わってくるたくさんのものが

小さなトゲになって心に突き刺さった。

「実はまだ一緒に住んでるの?」

なんて、疑いそうになったときもあった。

でも、このころはまだ全然平気だった。

決定的だったのは、

この部屋で

2人でうつっている写真。

それと一緒に置いてあった

アノヒトから、友達へ宛てたFAX。

アノヒトが出ていってからも

そのままになっていたらしい引き出しに

一緒に住むようになった頃からのものが

いくつも書き貯めてとってあった。

「私が仕事を辞めて、実家の伊豆に帰ることになったのと
 ほとんど同じくらいに、彼の仕事が伊豆に決まって
 これから一緒に住むことになったの」

「お正月なのに、彼は仕事で大忙し。
 一人で部屋にいるのは淋しいよ〜
 早く帰ってきて〜」

「今日、彼初めて寝坊して大急ぎで出ていったよ。
 これって、半分は私の責任だよね。
 一緒に住んでるんだし、これからは私も頑張って早起きするんだ」


やすくんへ宛てたものだったら

こんなにショックを受けなかったかも。

彼女の、やすくんを思う気持ちが

いじらしくて可愛い、って素直に思った。

そして、悲しかった。

終わった話だって事は分かってる。

過去の話。

でも、それだけでは片づけられない何かが

その時からずっと心の中にどんより漂ってる。

やすくんが伊豆から今のところに異動が決まったとき、

更に離れてしまうのは辛かったけど、

これからは、もう私とだけの思い出が作れるなあ

って嬉しかったのも事実。

やすくんから

別れてからもつながりを持ち続けざるを得ない理由を

この前聞いて、

また少しフクザツになって、

自分も一緒に背負っていこうと思った先週。


今日、そらさんの日記(○空模様○)←コチラを読んで、じーんとした。

これまでの私の気持ちを

心に引っかかってて

すっと立ち止まってるところを

たった一言で表現してた。


そっか。

そう言うことだったんだ。


アノヒトとやすくんのこと。

想いがあるないに関わらず、

2人の間になにかしらのつながりがある間は

やすくんの何パーセントかは

アノヒトのもの。



そう思ったら、

心の暗い部分に光が射し込んできたような気がした。

本当はメールでお礼を言いたかったんだけど、

それができないようなので

日記上でお知らせします。


ありがとう。

私も頑張ります。




2001年12月14日(金) 素直になれる瞬間。

大学生の時

学内の本屋に毎日通ってた時期があった。

何だか無性に本を読みたくて

でも、何を読んでいいのか

自分がどんな本を読みたいと思っているのかが

分からなくて

いろんなジャンルの本に手を伸ばしては

数ページめくって

「ちがうなあ」とまた元に戻してた。



学生の頃は、特に

あまりお金を持ってなかったから、

気になった本は

少し立ち読みして、

でもその日は買わないで

何日かしてまだ心に残っている本を

迷うことなく見つけられたら買う、って

ちょっと面倒くさいことをしていた。

そうやって出会った本は実はそう何冊もないのだけど

今でも私の本棚のすぐ手が届くところに置いてあって、

何度も読み返してる。



ある時、偶然手にした、文庫本の詩集。

写真の美しさと

言葉の一つ一つが体にしみこんでいくようだった。

その日に買わない、って言うルールを破って

思わず買ってしまった。

教室に行ってからも、ずーっと読み続けた。

何度も何度も読み返した。

今でもそう。

おもしろいことに

その時の気分や状況で、

引っかかるというか、心に残る詩が違う。




++++++++++++++++++++++++++++++++++

     「君のそばで会おう」        銀色夏生

終わってしまった恋がある

これから始まる恋がある

だけど

僕たちの恋は決して終りはしない

なぜなら

終わらせないと僕が決めたから


自信をもって言えることは

この気持ちが本当だということ


いろんなところへ行ってきて

いろんな夢を見ておいで

そして最後に

君のそばで会おう


++++++++++++++++++++++++++++++++++


悲しいときは悲しい詩を


淋しいときは淋しい詩を


幸せなときは幸せな詩を


私の心はきちんと選んでる。


素直になれる瞬間。



最後に戻る場所に、

君のそばに

早くいきたいよ。

会いたいです。


2001年12月13日(木) 日記を書くということ。

きゃたつさんの日記(大腸菌とデート日記@エンピツ)を

何かのきっかけから読むようになって

myエンピツに登録した。

しばらくしたらメールが届いて、

マイエンピツリンクの紹介、と言うことで

私の日記を紹介して下さるとのこと。

今日、妙にカウンタまわってると思ったら、

きゃたつさんが紹介して下さってた。

ちょっとビックリしたので、

コメントを無断でご紹介。(ダメだったら、連絡下さい>きゃたつさん)

+++++++++++++++++++++++++++++

ワタシノココロ

遠距離恋愛中、ききさんの日記です。
日記は、恋愛日記なのですが、なんとも寂しい文体からか、
続きが気になってしょうがなくなります。一気に読んでしまいます。
彼氏の元彼女に対する感情がとても心に刺さります。遠距離恋愛中の人はぜひ。

+++++++++++++++++++++++++++++

淋しいのかあ…

たしかに、めちゃくちゃ明るい文章ではないけど。

淋しい=暗い って言われてる気がして、

ちょっと反省した朝だった。









仕事が終わってから、

公私ともにお世話になっているセンセイに

ここ最近の自分の気持ちを全部ぶつけた。

職場では、いまだに退職することを公表していない。

でも、カウンセラーでもあるセンセイには

辞めると決める前から全部話してきていたから、

話が前後したり、立ち止まったり

笑いながら、時には泣きながら

素直に話すことができる。

唯一、弱い部分も打算的な部分も関係なく、

人の気持ちを考えない自己中心的な自分の思いを

吐き出せる人。



「私はこういう人間だ、って決めつけなくてもいいのよ。

 人の気持ちはゆらゆらしてて当たり前なんだから。

 周りにどう思われてるか、とか

 自分がどういう人間なのか、なんて

 全然関係ないの。

 その時自分が感じた気持ちが

 その時のあなた自身なの。

 いつもと違う想いが出てきたからって

 そう感じた自分を否定しなくてもいいんだよ」



肩肘張って、

一人で頑張ってる自分。

知らず知らずのうちに

見えない網を周りに張り巡らせていた。

元気な自分でいるために。

明るい、自分でいるために。


きゃたつさんの「淋しい」は、

きっと私の本音の一部分。

周りに出せない私の弱い部分。

ここで吐き出してるから、

いつも職場では元気でいられるのかもしれない。


日記を書き始めた頃、

これでもBBSをつけてみようか、とか

たくさんの人に読んでもらうために

おもしろおかしい内容にデフォルメしちゃおうかとか、

思っていて結局できなかったことがある。

今になって思えば、

せっかく本当の自分の姿をさらけだせるこの場所でまで

他人にこびる必要はない、って

直感的に思ったからかもしれない。


2001年12月12日(水) また、一人。



昨日の日記、パスの中から携帯で送ったのですが、
書きかけで寝てしまっていたようで
書き直しました。ごめんなさい。


++++++++++++++++++++++++++++++++++


昨晩、私たちはたくさん話をして

少しの喧嘩をして、

たくさん抱きしめ合って

一緒に眠った。



深夜、

やすくんが寝づらいだろうと、

腕枕してくれってた右手を

そっと元に戻そうとしたら、


やすくんが眠ったまま

抱きしめてきた。


なんど腕をほどいても

やすくんは眠ったまま

何度も何度も抱きしめてきた。



幸せ  と感じるよりも先に

もう何時間か後には

この腕も

大きな体も

匂いも

暖かさも


私のそばにはないんだなあって思って、

淋しくなった。






早朝。

午前6時になる少し前。

私たちは部屋を出た。



新幹線の駅に向かうときはいつも

ほとんど話すことなく過ぎる。

言葉を口にしたら

そこから一気に寂しさが外に飛び出しそうだから。

今日は違う。

お互い話をしないのは一緒だけど

声を出したら、

その分、涙がこぼれそうでイヤだった。


涙を流すのは絶対イヤ。


いつもは駅前で車を降りるのは1人で、

やすくんを見送ったら気持ちに区切りがついたんだけど、

今日は2人で新幹線を待つ。

車を降りると

ものすごい風と寒さで涙は引っ込んでしまったけれど、

淋しさは冷たい風で倍増する。



新幹線が来るまで、

できるだけ笑顔で

他愛のない話をしながら

並んで立ってた。

限界が来たら

今度は黙って新幹線を待つ。


たくさん話をしたかったし

たくさん笑っていたかったのに

今日は

とっても淋しくて

淋しさにつぶされたくなくて

だから、

新幹線がホームに入ってきたときも

振り返りもしないで乗った。




意地を張らずに涙を流せばよかったのかもしれない




ホームから見送るやすくんが

涙で滲んで見えないのに

それを気づかれたくなくて、

笑って、手を振った。
















2001年12月11日(火) ニモツ

昨日の夜

やすくんに顔を見られないように、

背中に抱きついたまま

大切な話をした。






こんどやすくんの所に行ったら、

絶対話そう、って

ずっと決めてたこと。




ねえ、やすくん


受け取ってほしいものがあるの。




やすくんは、最初訳がわからなかったらしく

私の言葉がいつになく暗かったから

「何かわからないうちは受け取れないよ」って

少し怖い声で、そう言った。



紙の袋を一つやすくんの前に差し出す。









  やすくんが抱えてる

  大きな荷物を

  私がひとつ下ろしてあげる。  

  新しい荷物を背負うことになるけど

  今度は二人で背負っていこう。








   そうしないと

   私が前にすすめないんだもの。

   心の一部分が

   引っかかってるあの人が

   いつまでも消えてくれないから









私が差し出した紙袋の中身を見て

やすくんはビックリして

後ろを振り返ろうとした。

だけど

やすくんの表情を見たくなくて

私の表情を見られたくなくて、

背中にしがみついた手に力を込めた。



やすくんは

しばらく黙って

黙って

そして、

頷いてくれた。

黙ったまま、俯いて動かなくなった。





向かい合って、話をしなくて良かった。

きっとお互い今までで一番辛い顔をしてる。





背中にしがみついたまま

何も考えられずにいた。

やすくんも俯いたまま

ほんの少しも動かなかった。




一体どのくらいの時間が過ぎたのだろう





「なあ」


やすくんがつぶやいた。

本当につぶやいたのかは分からないけれど、

でも、そんな気がした。



「 …………………… ん? 」


言葉になるかならないかの返事をした気がする。





「ありがとな。心配書けちゃってたな。


 ごめんな。」





やすくんが俯いたままつぶやいた言葉が

確かに聞こえた。










もっとすっきりすると思ったのに、

これであの人のことを忘れられるような気がしてたのに

やすくんのつぶやいた声で

一人で背負っていた物が想像以上に重かったことに気づいて



それだけ、あの人とのことが大きかったことが分かって

涙が止まらなくなった。




わたしのしたことは正しかったのだろうか。

出しゃばりすぎたんじゃないだろうか。







2001年12月10日(月) 気持ち

やすくんの家ももう三日目。

楽しい時間はどうしてこんなに

早くすぎるのかなあ。

今日は四月から働けるかもしれないところで

午前中に面談。やすくんに車を貸してもらう。

はっきり言って現実は厳しい。

そもそも今の仕事を続けたいっていう

私の気持ちが少なすぎる。



一人で外食する気にならなかったから、

部屋に帰って軽い昼食をとる。

急に何かしたいと思って

洗濯と贈テ除をすることにした。





ホントウハ ナニガ シタイノ?





頭の中で誰かの声がしたような気がした。


2001年12月08日(土) 冬の朝。

今朝はすごくさむかった。

耳が切れるかと思うほど。

久々に指先がジンジンする。

息の白さがいつも以上に広がる。

まだ空は暗い。



やすくんに会いに行く。





やっと、会える。


荷物を持つ手は冷たいけど

心もなんだかお疲れモードだけど、



少しずつ



私が一番いたい場所に

近づいてる。


2001年12月04日(火) にっき。



仕事がどんなにしんどくても、

泣きたいくらい辛いことがあっても、

家に帰ってきたらまずPCを立ち上げて、

日記を読む。


毎日が、新しい発見。


同じ様なことを感じ、 考え、

同じモノを見てる人がいる。

正反対のことを感じ、 考え、

私の知らない世界でいきる人もいる。




今日、仕事で辛いことが2つあった。

自分自身に対してまず1つ。

私のことを思って、意見してくれた人に

失礼なことを言ってしまった。

自己嫌悪。

もう1つ。

人の一番どろどろしてる本音の部分を

まざまざと見せつけられてる。

今回の仕事では、

そこに向かって行かなくちゃいけない。

本音の部分に向かっていくことがイヤなのじゃなくて、

仕事の内容上

あまりオープンにもできなくて

でも、ストレートにぶつかってくるものが

あまりにも強烈で、

なんか、ノックアウト寸前って感じ。




それでも、

毎日日記を読んで、

いろんな人のいろんな世界を垣間見て、

ストレスを中和してるようなかんじ。






本当は、

すべて投げ捨てて

一番安心できる場所で

ゆっくり眠ればいいんだけどさ。


2001年12月03日(月) 灯油。

仕事が終わって、

ここのところ毎日の頭痛を抱えながら、

部屋に帰る。

アパートの手前の角を曲がるときに、

ふと

部屋の灯油が切れていることに気づく。


  … きっと 明日まで もたないなあ …


ぼんやりそんなことを考えて、

本当はすぐに部屋で横になりたかったけど、

灯油のポリタンクを車の助手席に積む。


安く灯油を打ってるホームセンターに向かう。

ここは、チケットを店の中で買って、

駐車場のハズレにある給油所に

そのチケットとポリタンクを持っていけば

店員さんが決まった量だけ入れてくれるというシステム。

結構面倒。

でも、安さには勝てない。

チケットを買って、一旦車に戻ってタンクをおろし、

給油所に向かう。

店員さんが入れてくれる間。

お互い灯油がどれだけ入ったかを示す表示を

黙ってみるのが気まずい。


ここは結構安くて有名だから

次から次へタンクを持った人がやってくる。

気づけば、


私以外


いろんな年代の男女がやってきた。

初老の夫婦。

赤ちゃんを抱いたお母さんとその旦那さん。

大学生くらいかな、と思える若い2人。












  
  … 私だけ、一人か …









見れば、どの人達もタンクを持ってる人は男の人で

女の人はチケットを買いに店に走ってる。




   … いいなあ …





なんか、私だけひとりぼっちみたいじゃん。

灯油の入ったポリタンク重いのに。

私は一人で車まで運ぶ。

これで暖かい部屋で眠れる。

でも、この人達はもっと暖かい家に帰れるんだなあ。

いいなあ。










     なんて思っている間に

     
      灯油が満タンになり、



        よいしょ って



            ひとり

 

           タンクを



            片手に



        車に乗り込んだ。



さみしい。


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