気まぐれ日記
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2003年11月30日(日) ひさしぶりの日曜の休み

 なので、続きを書くの休みにしようと思ったけど、やっぱり書いているのが楽しいので書いてます。でも、忙しいのでここに来て書いたら即電源を切ってしまうのが日課に。せっかくいろいろな場所にいけるのにね。(泣)

 「ああ、やっぱり、あんたか」
 ブロードはため息混じりに言った。整った顔の軍人らしき男は、彼の顔を見るなり首をかしげた。
 「どこかで見た顔だな」
 「どうせ、野郎の顔は覚えねねえだろ、あんたは」
 「よくわかったな」
 「ふん、俺がナンパしようとするとすぐ邪魔しやがって」
 「いや、違う。彼女たちが決めてくれるのが私だからだ。お前はただ単に断られた、ということだ」
 「それは、あんたがしゃしゃり出てくるからだろうに!」
 「その辺にしよう、グオン」
 そうつぶやいたのはイーリスだった。
 「話がすすまねえぜ。そういえば、ヘネシーは?」
 「王女なら、アンギルスに行っている。そういえば、久しぶりだな、ヒーガル」
 「おう」
 「リュレイミア嬢も、久しぶりですね」
 「そうね。おばあちゃんから貴方のことを聞いたわ」
 「そうですか」
 グオンがメイドになにかを頼んだ。すぐにメイドが出て行く。
 「さ、座って」
 イーリスがソファーをさした。
 「そうだ、先に国王に用があるんだ」
 「親父に?」
 「そうだ。ちょっとな」
 「いいよ」
 「悪いな」
 ちょっと、そこで待っててくれと、バルクは他の皆に言った。
 「そういえば、この間着たとき、国王になんか会わなかったのう」
 「そうね」
 アニムが自然とグオンに目をやる。グオンがため息をついた。
 「国王は足が悪くてな。あまりお歩きにならない」
 ヒーガルとは友人関係だ、と付け足す。他にも何かいいたげだが、言わない。その代わりに戻ってきたメイドに更に何かを頼んだ。
 「紅茶とクッキーです」
 メイドはそれを置くと、すぐ出て行く。
 「どうせ、イーリスは泊めるつもりだから、ゆっくりするといい。リュレイミア嬢、もしどこかご覧になりたい場所があれば、案内します」
 「そう、そうねえ。あ、巫女ってどこにいるの?」


2003年11月29日(土) フェイントついてみました。

 いや、いいんですけど。これでフレクアが旅立つことで、新たな『ウォンテッダー』の物語が始まります。こうやって、どんどか話が増えていきます。つまり、自分の首を絞めるのと同じ……。

 フォーランズには三日で着いた。順調で何事もない船旅だった。まあ、それでいいのだが。船を降りると、止まっていた馬車から、少年が降りてきた。赤毛の十六、七の少年。イーリスだった。
 「よう、イーリス」
 「ビアソーイダ王から手紙がきたから……」
 「それで、俺たちを迎えに来たってわけか」
 イーリスがうなずいた。
 「あの馬車に……」
 「サンキュー。助かるぜ。おい、お迎えだってよ」
 バルクたちが馬車に乗り込む。イーリスも最後に乗った。
 「久しぶりね、イーリス」
 「うん」
 「相変わらずらしいのう」
 「うん」
 イーリスは、酷く無口だった。
 彼は、五年ほど前魔族に取りつかれ、声を出すことで完全にその魔族に支配される、というものだった。しかし、その魔族をアニムが排除したため、彼は口を聞くことができるようになった。もともとが無口ゆえか五年も口をきかなかったゆえか、彼の言語が著しく低下し、何かを聞かれても「なにを言ってよいかわからない」という状態である、らしい。ただ、単にしゃべる言葉を選ぶのが面倒、ということもあるらしいが。
 「ヘネシーは元気か?」
 「うん」
 「そうか、そりゃそうだよな」
 「あのなあ、会話、よく成立するな」
 と、ブロード。イーリスの返答はあいまいでブロードにはよくわからないらしい。
 「気にするな。イーリスは極度の無口なんだ」
 「無口ねえ」
 「あ、そっちの人は?」
 「そうだった。知らなえよな。こいつはブロード。棺桶で六百年くらい寝てたんだと」
 「棺桶?」
 「誤解すんなよ。ただちょっと仮死状態になってただけだからな」
 「……不死者?」
 「そうだ、不死者だ……って、わかるのか?」
 「一人、いるから」
 「まさか……」
 ブロードが絶望的な顔をする。
 「あ、グオン元気?」
 と、ルイの明るい声。
 「うん、まあ」
 「そうよね」
 ルイが話を続ける。その横でブロードは、あの女性至上主義者を思い出していた。


2003年11月28日(金) 『フレクアがいなくなった。多分旅に出たと思う。

 お前の手は煩わせたくないが、見つけ次第戻るように伝えてくれ』
 
 手紙を開いたバルクは読んで固まった。
 「どうした、バルク」
 アニムが聞く。
 「フレクアが……」
 そこで言葉が止まる。ブロードが手紙を引ったくり、声に出して読んだ。そして、大爆笑。
 「フレクアちゃん、やるー!」
 「ばかやろっ! まだ十四の小娘が一人旅なんて……」
 再びバルクの言葉は止まった。ビアソーイダ王家では珍しい行動ではない。返って今まで城にいた方が不思議だ。
 「……しょうがねえなあ、もう」
 「どうする? このままとどまるか?」
 「いや行こうぜ、フォーランズ。もうどこに行っちまったのかわかんねえしよ。兄貴らに捕まらない限り、そのうち会えると思うぜ」
 こうして、一行はフォーランズへ向かった。

 「えーと、コンファイアに行くには……」
 港で少女が一人、さまよっていた。
 フレクアはおととい朝早く城を出た。バルクたちが出るずっと前に。一人、なにを思ってか彼女はフォーランズに向かうことにした。しかし、彼女が行き着いた場所はバルクたちが向かった港ではなく、反対方向にあるビアソーイダ北の港だった。
 「あれ、ないや」
 ここから出港するのは、北のランタルナ、西のコンファイア、東のアンギルスである。したがって、南のフォーランズへ行く船はない。
 「どうしようかなあ……」
 そうだ、遠回りなるけど、一度コンファイアに行ってそれからフォーランズへ行こう。
 彼女はすぐに船券の手続きをしたが、話を聞いて宿をとった。通常、船券は二日前に取っておくのが常識だった。とりあえず、コンファイア行きのチケットを取り、そして、今日その船を捜していた。
 出港時間が迫っている。今日は少し寝坊をしたためだった。
 「あ、あれね」
 ご乗船方はお急ぎください、と乗員が叫んでいる。フレクアは急いで乗り込んだ。
 北のランタルナ行きに。


2003年11月27日(木) さっさとやりますか

 レトはまだいやいやしている。が、家に帰るためには仕方ない。先にクレンム行きが出発するので、バルクたちはレトとリトを見送った。
 「これをやろう。ないよりはましだ」
 アニムが紙に包んだ薬を渡した。強力な酔い止めの薬。
 「酔いが酷い場合に一粒噛み砕くといい。ただし、症状が軽い場合や飲みすぎたりせぬように」
 「わかった」
 すでに青ざめているレトはうなずいた。それで受け取ったのはリトだった。
 「頼むな」
 「うん。ありがと」
 「じゃあ、気をつけてな」
 「じゃあね、リト」
 「うん、お姉ちゃんもおにいちゃんたちも。ありがと。本当にありがと」
 リトは船に乗り込むと手を振った。レトも一礼して軽く手を振る。
 「さて、俺たちも行こうぜ」
 バルクが振り向くと、ビアソーイダ兵がいた。
 「なんだあ?」
 「国王から、手紙です」
 兵士は、あわてて言った。そして、手紙を渡すと、忙しいからと言ってすぐに去ってしまった。


2003年11月26日(水) アニメ版鋼の錬金術師

 先週のを見て、三年後の土台を作ろうが何だろうがかまわないんですが、エドがなんか違う。個人的なイメージがあるせいかもしれないけど……。悪いとは言わないけどそれでも、やっぱりなんか違うよー!

 「次はフォーランズだって?」
 アニムが聞き返した。
 「ああ、兄貴にお使いを頼まれたからな」
 「ならば、いかないとな……」
 ビアソーイダ国王には何から何まで良くしてくれたのだ。断ることも無視するわけにもいかなかい。礼儀に反する。
 「フォーランズ。カルミアに会えるかな」
 「イーリスに頼めば何とかなるだろ。王家と神殿はつながっているようなものだ」
 「昔は、神教国家とも言われたからのう。今でもおおっぴろにはやらないが、王家も神事に参加していたのだ」
 「へえ」
 ルイは感嘆しながら聞いたが、ブロードはつまらなそうにしている。
 「俺には神教とかなかったからなあ」
 彼の出身地である『妖精主の大陸』では、昔々神教はまったくなかった。代わりに妖精たちを、崇めて恐れてたたえていたのである。
 「そうだな、俺たちにも神々なんてなかった」
 と、レト。
 「でも、今は神様に感謝するお祝いを形だけやっているわね」
 リトは楽しそうに言う。
 一行が港に着くころには、疲れておしゃべりはやんでいた。港についてすぐ、船の手続きを取る。
 「クレンムまで二人。フォーランズまでが……」
 バルクがブロードを見た。ブロードが気づいて言う。
 「俺も、フォーランズに行く」
 「フォーランズまで四人だ」
 船賃を払い、出航があさっての朝と聞く。
 「い、いやだ。また船に乗るのいやだ……」
 「なに言っているの、お兄ちゃん。そんなこと言ったら帰れないでしょ」
 「でも、考えただけで吐き気が……」
 「楽しいじゃない。私なんかすっごい楽しみ」
 「お前、酔わなかったのか?」
 「ずっと、寝ていたから」
 「……ああ、いやだ!」
 獣人の兄弟は、そんな会話をしていた。
 それから、宿で二日泊まり一行はそれぞれの地に向かった。  


2003年11月25日(火) 漫画かい!

 今日、ホーマックにて、キュウバンはどこにありますか、とたずねたら、店員さんが、救バン(絆創膏)のところに案内してくれた。違うのよ、私が求めていたのは、「吸盤」なんだよー! その後、ちゃんとそこに案内してくれました。(笑)

 「じゃあな、兄貴」
 バルクは城の出口の前まで見送る国王に言った。
 「ああ。放蕩に馬車などはいらないのだな」
 「レトが酔うからな。フレクアは?」
 「夕べから部屋に閉じこもっていてな。何、そのうち出てくる。気をつけてな」
 「ああ」
 「あ、そうだ。フォーランズに行くんだってな。これを頼む」
 国王が小さな箱を差し出した。バルクが受け取る。中から宝石が出てきた。
 「こりゃ、『神の瞳』じゃねえか」
 ザックのオークションにて登場した代物。フォーランズの真の国宝。
 「まさか、これを返しに行け、と」
 「そうだ。私はここから出られん」
 「わかったよ」
 バルクは新調した鞄に箱を閉まった。
 「じゃあな、兄貴」
 「いってきます、だろ」
 「おう、行ってくるぜ」
 「他の奴ら(兄弟)にあったらよろしくな」
 「おう」
 バルクたちが城を出て行くと、国王はやれやれと肩をならし、自室に向かった。その前にフレクアの部屋に寄る。
 「フレクア。ヒーガルは行ったぞ」
 ドアは鍵がかかっていなかった。開けると、そこは、ものけのからだった。
 「あ、あいつ、まさか!」
 ビアソーイダ国王は、なんだかとても脱力した。そして、深いため息をついた。


2003年11月24日(月) 銃を持つ美少女

 って、いないなあ。草の小説には。でも銃をもつ王子様ならいるわ。
 って、なんの話をしているのやら……。

 バルクは目的に向かい、剣を突きつけた。
 「こういう反応をされると思っていた」
 突き出された剣をつまんで避ける。バルクは剣を収めた。
 「ったく、甘やかすのもいい加減にしろ」
 「しかし、フレクアだけだ。この城にとどまってくれているのは……。俺の子なんか、早いのは十歳で旅立ってしまった」
 「それは兄貴の育て方に問題がある。ぜったいに」
 「それは、冗談として」
 「勝手に冗談にするな。ともかく、フレクアにはきちんと剣術を仕込んでやれ。あいつにはそれが必要だ」
 「わかった」
 「それと、あんな重い剣ももたせるな。ヘネシーと違うんだ」
 「ああ」
 「それと……」
 「まだ何かあるのか?」
 「もし、フレクアが旅に出たいといったら、喜んで出してやれ」
 「……」
 バルクはため息をついた。子供を手放したい親はいない。国王には厳しい注文だろう。
 「わかった。そうする」
 「わるいな、無理言って」
 「そうだな、お前も早く嫁さんもらえよ」
 「そのうちな」
 バルクはそこから去ろうとした。が、国王が呼び止める。
 「そうだ、明日また出るんだろう。今夜は馳走だ」
 「気を使わせて悪いな」
 「気にするな。たまにしかないことだ」
 「そういえば、フレクアより下の兄弟は? 確かいただろ」
 「ああ、今遊びに行っている。コンファイアのパドライ兄貴のところにな」
 「へえ、そのうち俺も行ってみるかな」
 「おう、喜ぶぜ。きっと」
 国王が笑った。
   


2003年11月23日(日) そういえば

 最近日曜日だからと言って雑談することもなく、ひたすら話を進めてますね(笑) まあ、いいよね、気まぐれ日記だし。(友人に、どこが気まぐれなんだと言われたけど) ちなみにホームページのほうに、「草の根ノート」にて、田中学院が復活してるの知ってるだろうか?(友人に教えない自分もなんだが)

 バルクは、機嫌が悪い。アニムはそれを彼の背中を見て思った。背中からですら感じ取ることができた。
 「おい、なんであのおっさん……」
 と、ブロード。おまけにレトもついてきている。
 「それは、部屋で説明しような。奴のことは手に取るようにわかる。それより、ルイは?」
 「ああ、なんか町に出てケーキ屋に行くってフレクアちゃんとリトちゃんを連れて行ったぜ」
 「そうか。それなら良い。小生らは事が終わるまで部屋にいよう」
 三人は部屋に向かう。それを待っていたかのようにラナが現れ、何か飲み物でも運びましょうか、と尋ねてくる。
 「あ、じゃあ俺、紅茶とイチゴショート」
 ブロードの我が儘な注文も、承知しましたと言い、更にアニムたちにも、同じものよろしいですか? と聞いている。
 「用意ができるのであれば、頼む」
 アニムが言い、レトもうなずいた。それで、やっとラナは去った。部屋に着くと、彼らはソファーに座る。
 「つまりだ。バルクはな、思ったよりフレクアが弱かった。それなのに手加減するなと言うビアソーイダ国王に対して怒っておるのだ。なぜ、ちゃんと訓練させないとな」
 「フレクアちゃん、気が強そうに見えて芯は弱そうだからなあ……。でもよ、こういうのもなんだが確かに危険なんだよな」
 おとといのことを思い出す。彼女が剣をはじかれてドアに突き刺さった時のことを。怪我がなかったことは幸いだが、もし、それで誰かが死んだら彼女は立ち直ることができるだろうか……。その前に、みっちりと訓練するなり、すっぱり剣術をやめたほうがいい。
 「その点は、まあ大丈夫だろう。バルクが国王に言うだろう。どっちにしろ、他人である小生らが決めることではない」
 ブロードの言いたいことを察してアニムが言う。
 「失礼します」
 ラナが入ってきた。
 「紅茶とショートケーキです」
 三つずつ、きちんと並べる。
 「よく、ショートケーキなんてあったなあ」
 「カルストラ様から聞きしました。イチゴのショートケーキがお好きだって。だからあなた様が来た時に取り寄せてもらったのです。でも、かわいいですね、ショートケーキがお好きなんて」
 「ああ、そうさ。ショートケーキは芸術品だ」
 「芸術品って……」
 アニムが何か言いたげにしたが、言葉を飲み込む。ブロードがそれを三口くらいで平らげる。レトが自分のを差し出した。
 「俺、甘いの駄目」
 「じゃあ、遠慮なく」
 と、いいつつアニムの方を見る。
 「小生は甘いのが好きだ。やらん」
 「あ、そう」
 残念そうにしてからレトのケーキを受け取る。それも三口半で食べた。
 
 


2003年11月22日(土) 甘いもの

 好きですよ。スナッフルズのケーキはうまいです。甘さ控えめ、食べやすい、ボリュームありで、九百円でケーキどれでも二個、コーヒーor紅茶です。お得。

 「そんでね、お姉ちゃん、私、悔しいよ。だって、だって」
 フレクアが言うことには、自分はそれなりに強かった。バルクには勝てなくとも少しは長く相手できると思った。しかし、勝負は一瞬でついた。それが、悔しい。自分自身に怒りを感じた。
 「えーと、このチョコレートケーキも食べる?」
 ルイが尋ねると、フレクアはうなずいた。
 「じゃあ、これと、リトは?」
 「私はチョコレートパフェ」
 「すいません、チョコパフェ二つにチョコケーキ一つ」
 すでに空になった器や皿を下げに来たウェイトレスの笑顔が引きつる。
 「か、かしこまりました」
 ウェイトレスがそそくさと引っ込む。
 「でも、フレクア。バルクは……」
 「叔父様をうらむのはお門違いなのはわかっているの。叔父様は父様に言われた通りの事をしただけ。父様は私に教えるためにしたことだって、わかっているの」
 「そう、じゃあ……。今日は甘いもの食べて明日からまたがんばろう」
 「お姉ちゃん」
 「ほらほら、もう泣かないで。もうすぐチョコケーキ来るからね」
 「うん」
 なんだかよくわかないルイの励ましにフレクアは励まされた。彼女が好きなケーキの力もあるが……。


2003年11月21日(金) うーん

 ブロードは初登場(7年くらい前に書いたもの)、弟の記憶だけにしか出なかったんですが、続編や書き直しなどで着々と形成されたキャラです。どういうわけか、最初からショートケーキが好きだったりします。最初は軽い女好きの兄ちゃんだったんですが、だんだん深いキャラに、なったなあ。

 「叔父様が、お相手くれるの?」
 フレクアがうれしそうに言った。
 「ああ、ヒーガルには手加減するな、と言ってある」
 「やったあ。父様は手加減するから相手にならないんだもの」
 「そうか、では、フレクア」
 「何?」
 「負けても泣くなよ」
 「?」
 国王は優しく言った。バルクたちは明日、ビアソーイダを出るというのでバルクは今日、フレクアの敬子の手合わせをするといった。
 「まったく、もう少しゆっくりしていけばいいものの」
 昨日の夜ザックを捕まえて、その翌々日に出るのだからあわただしい。しかし、バルクは国王の引き止めを聞かなかった。
 「仕方ないことだな。一箇所にとどまっていられるような奴じゃない」
 「ねえ、父様。叔父様はなんで、バルクって呼ばれてるの?」
 「ああ、バルクはミドルネームだ。奴はミドルネームのほうがいいらしい」
 「ふうん」
 「さ、行っておいで。ヒーガルが待ってるだろう」
 「うん」
 フレクアは、長い三つ編みを揺らして練習場に向かった。城の中庭は剣の練習場、そして、毎年行われる剣術大会に使用している。
 「よう、待ってたぜ」
 バルクがフレクアを迎える。
 「お願いします。叔父様」
 周りには他の兵士や、アニムとルイ、ブロードまでもそこにいた。
 「おねえちゃん、がんばってー」
 先ほど仲良くなったばかりのリトが、応援をする。彼らも明日、クレンムに帰るという。
 「なぜ、叔父様は剣を抜かないの?」
 「ああ、必要になったら抜くさ」
 バルクは柄に手をかけている。フレクアはもう、すでに剣を抜いていた。なのに、彼女は自分が何か遅れているような感じがした。
 「さ、どっからでもいいぜ」
 と、バルク。剣を振り上げフレクアが走り出す。ぶんっと剣がうなるがバルクはさっとよけた。そして拳でフレクアの腕を叩く。耐え切れずフレクアが剣を落とす。そこで、バルクが初めて剣を抜いてそれを喉元に当てる。
 それだけだった。すべて一瞬の出来事。
 「体のわりにずいぶん重いの使っているんだな」
 まだ固まっているフレクアから離れ、バルクは彼女の剣を拾った。
 「あまり、重いの使っていると腕に負担がかかるぜ」
 フレクアはその場に座り込んだ。バルクはバツの悪そうな顔をして、黙ってその場を去った。それを見て、アニムはルイに何かを頼んでバルクの後を追いかける。
 「嬢ちゃん、相手に手加減もしねえのか」
 ブロードがつぶやく。しかし、彼も何か覚えがあるのかそれ以上何も言わない。
 「泣かないで、おねえちゃん」
 フレクアが声を殺して泣いている。ルイが頭をなぜてやると、フレクアが抱きついた。
 「バルクはね、フレクアに強くなって欲しいから手加減しなかったと思うわ」
 「うん」
 それでも、まだ泣いているフレクア。ブロードは、泣く子は苦手だと言ってその場を離れる。レトも同じだろうか、やっぱりその場を離れた。
 「後で、何か甘いものでも食べに行こうか、昨日ウォンテッドしてもらったお金あるし、ね」
 


2003年11月20日(木) バトル中

 頼むから、とまんないでくれ。頼むから……(泣)

 ビアソーイダ城についた時、夜は更けていた。それでも寝ずに待っていた国王は夜勤の兵士を何人か呼んで、ことの始末を頼んだ。とは言っても、全員を牢屋にぶち込むだけだが。
 「ご苦労だったな、バルク」
 「いいってことよ。それが仕事見たなもんだしな」
 「魔族を捕まえたんだが……」
 アニムガ尋ねる。
 「ザックの奴、魔族も使っていたのか?」 
 「そうだ。もう一人は消滅した」
 「そうか。魔族を封じてるのは、君か?」
 アニムがうなずく。
 「明日の朝までそのままで頼む。今もう寝ているからな」
 ある程度封じ込められた魔族を永遠に封印する魔術師が一国に一人はいる。ウォンテッドされた魔族はこのように封じることにより、賞金が得られる。消滅しては証拠が残らないので賞金は得られない。これは、どの国でも定められている。
 「わかった」
 「それでは、ゆっくり休むといい」
 自分も寝ると言って、国王は自室に戻った。ラナが部屋まで案内する。でなければ、この城の中で迷ってしまうからだ。
 「ブロード様」
 バルクたちが与えられた部屋に戻り、ブロード一人になるとラナが尋ねた。
 「魔力は見つかりました?」
 「あんたも一枚かんでいるのか?」
 「ええ、私にも見えるので」
 「そうか……。ザックとかいう奴のとこのメイドから見つけたよ。いや、あのメイドを幽霊になってまで動かしていたのは、あの魔力だな。メイドを消す時に気づいた」
 「そうですか。その魔力を預かるように、カルストラ様から言われています」
 「ふうん」
 「これにお入れください」
 ラナが小瓶を渡した。ブロードが受け取り、小瓶の口に唇を当てた。ふっと息を吹き付ける。そして急いで瓶の栓をした。
 「あなたの魔力が暴れたのは、この魔力のせいじゃないのですか?」
 「そうかもな」
 ブロードがラナに瓶を渡す。
 「気分が悪くするのでしたら、この魔力を体で封じるのはやめてくださいね。少しならこの瓶をお分けできますし」
 「そうだな、そうする」
 ブロードはラナにお休みと言って、部屋に入った。
 


2003年11月19日(水) ほどよい疲れ

 昨日まで三日連休でした。今日はもうだらだらな状態で仕事行きました。が、仕事後は少しすがすがしい、すっきりしてます。人間、適度な仕事が必要なんすね、やっぱ。

 「まったく、やるんなら不機嫌になるなよな」
 バルクは小声で言う。ブロードは仏頂面で無口になった。このわがまま男は前もそうだったと記憶している。
 「もったいないのう……」
 アニムがつぶやく。殺すことは簡単(魔族にもよる)だが捕まえるのは難しい。あの魔族をとっ捕まえたら、いくらもらえるかと考えたらきりがなかった。
 とにかく、アニムやバルクのつぶやきでブロードがますます不機嫌になる。悪口はいやでも耳に入ってくるものだから。
 「ところで……」
 ザックが口を開く。その後ろにはずらっとオークション参加者が列を作っている。このまま歩いて城へ入り、裁判にかけられるまで牢屋に入ってもらう。
 「うちのメイドはどうした?」
 「ああ、成仏したと思うぜ」
 と、ブロード。
 「なんだって幽霊をメイドにしてんだ?」
 「君にはわかったのだね。そうさ、あのメイドは私が殺した。だが、どうゆうわけか幽霊となっても私に慕っていたからな」
 「……あんたを呪い殺そうとしてたんだぜ、あれは」
 ブロードが八つ当たりにザックを蹴飛ばした。
 「感謝しろよ、あんたは命が助かったんだからな」
 ブロードがますます機嫌が悪くなる。
 バルクはため息をついた。
 


2003年11月18日(火) SO3を久しぶりに進める

 カナンにて、中ボス戦でフリーズが起き、やる気をなくして中断。それが、今回とまらなかったためアルベルまで仲間にできました。できれば、このまま止まらずにすすめたいです。

 「俺が相手になるよ」
 ブロードが二人を押しのけた。
 「何? 坊やが相手?」
 魔族が笑う。けらけらと、乾いた笑いだった。
 「もったいないなあ、そこのエルフなら十年くらい吸ってもどうってことなさそうなのに。あなたから十年取ったら、そこのオジサン見たくなっちゃうわね」
 「ああ、そうだな。でも……」
 「でも?」
 「そんなヘマ、しない」
 「大丈夫? 坊や? あなたになにができるの? 魔力もないのに?」
 「ああ、お姉さんには見えないんだ。なるほどね」
 彼は魔王が探せなかった理由が、少しわかった気がした。
 「多分、俺の思っている魔力と魔王が言っている魔力は違うのかもしれない。いや、魔力は皆違うから、結局当たり前のこと考えてたんだな」
 「何わかんないわ?」
 「いいよ、お姉さん、これで見える?」
 少し魔力の質を変える。
 「何これ!」
 「うん、見えるみたいだね。お姉さん、俺、女の人は手加減すんだけど、魔族にはできないから」
 「いや、やめて……」
 「ごめんね」
 「きゃああーー!」
 その魔族は、消滅した。人間で言えば死んだということだ。
 「なにをしたんだ?」
 バルクが聞いた。アニムもルイも、その場にいたもの皆が彼を見た。
 「ああ、魔力で刺したんだ。人間を剣で突くように、ね」
 彼は、面白くなさそうに言う。明らかに不機嫌な顔でザックを見た。
 「悪いな、手ごま殺しちまってよ。おとなしく縄にかかれや」
 ザックは彼言うとおり、黙ってつかまった。
 「ブロード、あなたまさか……」
 ルイは何か言いたげに、彼に話しかける。
 「魔力のコントロール、できてないんじゃない?」
 とがめるような言い方ではなかったが、彼は口元をへの字にする。そして、言い訳をした。
 「そうだな、六百年も寝てたんだ。一年たった今でもたまってた魔力が抜け切れなくて抑え切れないことがある」
 「やっぱり、そういうことだったんだ」
 「やなもん見せちまって、悪かったな」
 ブロードはため息をついた。 
 


2003年11月17日(月) 高級料理

 食いました。目の前でステーキ焼いてくれました。美味かったです。

 「む、ムカツク人間め!」
 魔族がほえる。が、二人は身じろぎもしない。
 「お主、なにを糧にしている?」
 と、アニム。友人にでも質問するように聞いた。
 「俺は、人間の心臓が好物だな。取り立てで動いているのがいい」
 「そうか、では」
 「負けたらくれるのか?」
 バルクが飛び上がる。
 「いいや、ぜってえやらねえ!」
 「こっちから取ってやるさ!」
 魔族が指を伸ばす。バルクがそれを剣で払い、魔族の原を貫いた。
 「何……俺が、消滅する?」
 「いいや、それでは金にならん。吸収させてもらおう」
 動きが止まった魔族に、アニムは近寄り手にしていたカードを差し込むように魔族の胸に押し込んだ。
 「!」
 声も上げることなく魔族は一度塵となり、カードに吸い込まれた。何か、絵柄が浮き上がりアニムの足元に落ちた。逆さに。
 「『魔術師』の逆位置。ペテン師。お主にぴったりだの」
 アニムがにやりと笑った。カードに閉じ込めた魔族を維持するにはアニムが魔力をカードに送り続けなkればならない。それは、大変なことだが、それでも魔族を捕まえたことで多額の賞金が入るので、割が合う。
 「仕方がないです。三流魔族を用意した私の負けですね」
 ザックは手を上げた。しかし、まだ余裕がある。
 「なんだよ、観念するのか?」
 「ええ、ただし、この魔族を倒してからな」
 ザックが再び指を鳴らす。
 「呼んだかしら」
 金髪の赤いドレスの魔族だった。アニムがぞくりとする。バルクがとっさに剣を構えなおす。ブロードがぼうっと眺めていた。
 「ああ、大変だな」
 のんきな口調だった。
 「人間が手におえる代物じゃねーじゃないか?」
 ザックとその魔族が何かやりとりをしている。そして、ザックが一瞬で十歳ほど年を取ったように老けた。
 「若さを食ったな、あの魔族」
 「そうだな。一番相手にしたくないぜ」
 「そうだな、バルク。ジャンプ力落ちたようだのう」
 「うるせー。最近運動不足なんだ」
 アニムとバルクが魔族から目を逸らさずに会話する。
 「お二人さん? どっちが年を取るか決まったのかしら」
 魔族が再び、今度はあまり相手にしたくない魔族がアニムとバルクの前にいる。  


2003年11月16日(日) 今日は

 マジでいろいろあり大変で楽しい一日でした。もう、一日の終わりまでありました。(笑)

 「ちょっと、待った」
 アニムの値段が決まる前、待ったを掛ける声が飛び込んだ。ブロードである。ザックが驚いた顔をした。
 「どうやって出てきた?」
 「俺が、じょっぺんも開けられねえ男だと思ってるのか? それよりも、そのエルフより俺のほうが価値あるぜ。なんせ六百年以上も前の魔法使いだからな」
 ブロードはそう言って笑った。
 「どこに言っていたかと思えば……」
 アニムも笑った。そして、すでにバルクたちが入り込んでいる。
 「ウォンテッダーか……」
 「お主、立派なターゲットだ。悪いがやらせてもらう」
 「手はちゃんと打っている」
 「ああ、どうせ魔族の一人でも手なづけてるんだろ」
 「その通りだ」
 ザックが指を鳴らす。
 「呼んだか?」
 床からぬっと現れる魔族。特に驚きはしない。逃げるのは客のみだった。そんな客たちもルイの魔力によって骨抜きにされてしまう。
 「ちょっと強すぎたかな?」
 「ルイちゃん、それ、どんな魔法?」
 「わかりやすく言うと、色仕掛け」
 「なーる」
 ブロードは納得する。そのとき、壁がぶち破れた。リトが蹴りを入れたようだ。
 「なっ!」
 突然のことで驚くブロードをよそに、兄妹は再会を喜んだ。
 「リト!」
 「お兄ちゃん!」
 「お前、においを追ってここに入ってきたんだな」
 「うん。お兄ちゃんのにおいがしたから、ここを破ればあえると思ったの」
 「あんた、壁だぜ?」
 「俺ら獣人だぜ、特に俺たちの足は瞬発力があるからこれくらい軽い」
 「さいですか」
 レトの説明に、またも彼は納得した。
 「それよりも、あの二人、どうすんだ?」
 「大丈夫でしょ。たいした魔族じゃないから」
 と、ルイ。客を一箇所に集めながら説明する。
 「凄腕ウォンテッダーだし」
 バルクはまだ剣を抜いていない。アニムは魔術用の何もかかれていないカードを手にしている。
 「どう見ても、三流だな」
 「そうだのう」
 「でもよ、こんなところで魔族にお目にかかるとは」
 「賞金は期待しても良いと言うことだ」
 魔族は、捕獲することでかなりの大金になる。賞金稼ぎのウォンテッダーは魔族をやれと言われるが、そのためである。ただし、魔族とやり合える「なにか」があればの話だが。


2003年11月15日(土) では、おやすみ

 風呂はいって寝ます。

 屋敷内の一番大きい部屋で、オークションは開かれる。バルクはそっと覗いた。声は聞こえないが、時折拍手が沸き起こる。
 「あれは、やべえな」
 ちょうど競り出させる宝石を遠目で見て、バルクはつぶやいた。
 「十年前からフォーランズで行方知れずになっている『神の瞳』だぜ。国宝級だ。なんだってこんなところに……」
 「よく見えるね」
 と、ルイ。
 「きれいな石ね」
 「おう、何しろ光の屈折で色が変わるらしいからな、先々代の国王が愛してやまない王妃に贈ったんだとよ」
 「へえ」
 「それにしても、ブロードの奴、どこに行ったんだ?」
 「あ、アニムよ」
 「そろそろ、だな」
 バルクが剣の柄を握る。オークションの壇上にはアニムが立っていた。彼は演技派らしく、うなだれて暗い顔をしていた。
 「さて、今日は運良くお客さんが来まして、このエルフを置いていきました。エルフの子供。それも男の子です。そうですね」
 「……」
 ザックに話しかけられてもアニムは答えなかった。代わりに更にうつむいた。
 


2003年11月14日(金) あさって、札幌へ

 行ってきます。何しに?って聞かない約束ですよ。

 袋からのっそりとアニムはでてきた。
 「ふいー」
 緩めてあった袋口から手探りで縛ってある紐を引いてあけたのである。
 「さて、レトの妹はどこにいるかのう」
 獣人の妹はすぐに見つけることができた。ストレートの髪の少女である。 「お主、レトの妹の……」
 「お兄ちゃんを知っているの? 私、リトっていいます。人間に捕まってここにいるんですが、私、どうなっちゃんうんですか?」
 「このままだと、売られる。小生たちはお主を助けに来たのだ」
 「そうですけ。でも駄目です」
 「何故?」
 「おなかがすいて……」
 きゅるるるる、と小さな腹の虫がないた。リトのおなかから。アニムはなんだか情けなくなって、懐を探った。紙に包んだ乾パンがでてきた。
 「これでもよかったら。と、いうか食ってくれ。おぬしが動けるように」
 「あ、ありがとうございます」
 と、言うなりリトはものすごい勢いで乾パン五枚を完食した。
 「ちょっと、おなかが満足しました。もう、動けます」
 「それは、よかったのう」
 アニムはちょっとあきれて、それからにやっと笑った。
 「では、このままオークションに売られるぞ」
 「ええっ?」
 「何、心配はいらん。ウォンテッダーだ。ザック=ルハーンは立派なターゲットだ」
 「わかりました。私も協力します」
 「では、小生、袋に戻る」
 「へっ?」
 「いや、袋に入ってきたのでな。口、縛ってもらえるか?」
 「はあ……」
 リトが戸惑いながらも袋の口を縛った。


2003年11月13日(木) うおっ

 そうくるか! やられたぜ、大統領! って感じ。友人から聞いたのですが、マトリックスはすごいそうです。まだ最初のしか見てない私にはわかりませんが。

 玄関に回ったブロードは、呼び鈴を鳴らした。
 「どちら様でしょう?」
 メイドが現れる。青白い顔をした女だった。
 「あんさ、エルフ捕まえたんだけど、かってくんねえ?」
 「はあ……」
 「あんたのご主人様と話がしたんだ」
 「わかりました。少々お待ちください」
 メイドが屋敷の奥へ消える。そして数分後、戻ってきた。
 「どうぞ、お入りください。だんな様のもとへ案内させていただきます」
 ブロードを中へ通した。客間まで明かりはメイドの手にしたランプのみだった。
 「こちらでお待ちください。すぐだんな様が来られます」
 メイドはそう言って去った。二、三分後、だんな様とやらは現れた。ザック=ルハーンである。
 「ほう、若いのにエルフを捕まえたと?」
 「ああ、もう見事だぜ」
 袋を開ける。アニムがおとなしく入っている。
 「ああ、悪いもん飲ませたわけじゃねえよ。暴れるから少しおとなしくさせただけだ」
 ザックは首を傾げたが、納得したようだった。ともかく男のエルフだったのでそんなことはどうでもよかったようだ。
 「で、何故。我がもとに?」
 「噂で、あんたのとこでオークションやるって聞いたからだ。もしかしたら、こんなのも買ってくれるじゃないかってね」
 「ほう。では、君も参加するか?」
 「いいのか?」
 「構わん。競り値の半分を君に払おう。なに、半分でもかなりの額だ」
 「わかった」
 アニムは袋に戻した。ただし口は緩めておいた。
 「これは、どうする?」
 「商品を置く部屋がある。そこに案内しよう」
 万事うまくやった、ブロードは思った。しかし袋を手放したら、彼は地下室に閉じ込められてしまった。
 「どうなってんだよ、これ」
 「いや、私は信用ならん者は招待しないんだ。何事もなかったらオークション後に出してあげよう」
 「ちっ、最初からそういうつもりだったんだな」
 「悪く思わんでくれたまえ」
 ザックは笑いながら去ってしまった。  


2003年11月12日(水) 明日のナージャ

 なんか、今更なんですが、すごい番組ですね。まず、子供番組じゃないです。ちょっと設定を変えれば、昼メロか夜10時にやるドラマになりますよ、あれ。やたら男女の愛憎劇があり、今まさにお家騒動の真っ最中で幼馴染の陰謀が炸裂。子供へのメッセージは、「希望を捨てずにいきましょう」くらいしか(かなり、寛大に見積もっても)見つからないです。もう、毎週、どっきどきです。(笑)

 夜、七時。ザック=ルハーン邸の裏庭にて。
 「なんで。おめえがいるんだ?」
 声を抑えてバルクが聞いた。
 「それがな、ここに例の魔力があるんだと」
 ブロードがつまらなそうに言った。
 「むう、あんまり人数がいても見つかりやすいからのう。お主は少し離れてくれるか?」
 「やだ。暗いとこはやだ」
 「棺桶で寝ていたくせに」
 拒否してブロードは庭にとどまる。アニムは、しかたがないとまた外の様子を伺った。
 「おっ、そうだ。俺らは乗り込むか?」
 「乗り込む?」
 「あんた、十分珍しいエルフだろ。だから俺が競売人になるから」
 「餌になれ、か?」
 「運よきゃ、そこの獣人の妹にでも会えるだろ?」
 「よしやろうではないか? タイミングはバルクに任せる」
 「おい、アニム……」
 「そっちには、お主もいるし、ルイもいる。大丈夫だろ」
 アニムが大きな袋を出して中に入る。ブロードが担ぐと、玄関へ回った。 「さて、こっちは見物といこうか?」
 ルイとレトがうなずいた。
 「アニム、大丈夫かしら」
 「奴より、ブロードのほうが心配だ。あんなことを言い出すくらいだ、なんかたくらんでるに違いない」
 「うーん。そうね、ありうる」
 「でも、こっちを売り出すことはないだろ。匂いでわかるよ」
 と、レト。
 「そりゃそうだが、あいつの場合、めちゃくちゃにしかねない」
 バルクは、そう言って、今後悔した。
 


2003年11月11日(火) チョコバー

 クレーンで取るゲームで500円くらいで山が崩れた。ラッキー。ところで、そのチョコバーにプレゼントキャンペーンとかいてあるんだけど、その詳しい内容は何も書いてない。

 翌朝、バルクが目を覚ます。アニムはまだ寝ていた。レトは起きている。
 「お前、早いな」
 「ああ、明るくなったら起きれるようになっている」
 それも、獣人であるためだろうか。レトは耳以外は人間の姿をしていて、バルクにはあまり想像できなかった。ただ、獣人は危険を感じたり、力を発揮する時には姿を変えるといわれている。
 「そうか」
 「何だかんだいって、あんたたちには世話になったよ」
 「まだ、妹さんは助けてねえぜ?」
 「実を言うと、妹を助けたらまた船に乗ることを考えると、つらい」
 「あ、そう」
 ドアをノックする音が聞こえた。返事を待たず開く。
 「おっはよーみんなー」
 ルイが飛び出してきた。
 「ずいぶん、騒がしいのう……ルイ」
 アニムが目を覚まして起き上がる。
 「あれ、まだ寝てたの?」
 「なんだ、ルイ。朝っぱらから」
 「チョコレートよ。ビアソーイダ名物の。あれを食べられると思うといてもたってもいられないのよ」
 「ルイ……」
 「じゃあ、もうラナが朝食の準備できたっていうから先行くね」
 ルイが出て行く。
 「そうか、もう朝食か」
 アニムがベッドから降りて着替える。バルクも着替えた。


2003年11月10日(月) モスさま

 ごめんなさい。今日は半日いました。ハヤシライスバーガーうまかったです。夕食メニュー初めて食べました。うまかったです。

 「ザック=ルハーン……。奴なら郊外にいる」
 国王は即答する。
 「つい最近、オークションに参加しないかと誘われたが、うちは厳しいぞっと言ったら、中止すると後日きた」
 これは、国王は来るなと言っている。国王が来ると困る品物があるということだ。
 「で、そのオークションとやらはいつだ?」
 アニムが、聞く。少し、緊張した声で。
 「明日だったな。明日の夜」
 バルクがアニムを見た。アニムもバルクを見る。
 「ちょうど、いいのう。バルク」
 「ああ、絶好だぜ」
 休養も取って英気の養った二人はにんまりとした。
 「兄貴、もし、奴らが違法な取引をしていたら、ウォンテッドしてもいいな。更に、賞金も出るよな」
 「もちろんだ。いっちょ頼む」
 「おう!」
 二人はビールを注ぎ合い乾杯をする。
 「ヒーガル、ちょっと頼みがある」
 だいぶ、飲んだ後、皆が部屋に戻ったころに国王が言った。
 「なんだよ?」
 「フレクアに稽古をつけて欲しい。一回でいいんだ」
 「なんで?」
 「一応、お前、俺たち兄弟の中で一番だったんだ。それを話したらフレクアが手合わせをしたいってな。加減はいらん。少し思い知らせることができたらそれでいい」
 「つまり、負けたことがないんだな」
 「そうだ。ヘネシーがいいんだが、あいつは帰ってこんからな。父親は駄目だ。どうしても加減してしまう」
 「親バカだなあ」
 「トルフレには加減はしないのだがな」
 「……娘にはできないか」
 「そういうことだ」
 「わかったよ。泣きついてくるだけやるぜ」
 その日最後の乾杯をして、一気に飲み干す。二人同時にグラスを置いた。


2003年11月09日(日) 久しぶりに雑談を

 とは、いっても最近ゲームやってないし。ナンプレの雑誌を買って問題解きまくってます。賞品ゲットできるかな?

 キャラバンハートですが、ただ今、げんま4人解放して、さらに、ラスボスでとまってます。こっちの攻撃は40ダメージとかなのに、向こうはバイキルトかけて800以上のダメージを仕掛けてきます。ルインじゃないけど、「やっつけてやる」って思っちゃいますよ。もちろん強くなってから。


2003年11月08日(土) おそくなってすんません

 選挙にかこつけて、第二弾。例の首相がでているCMみて、ふと思ったこと。「アラレちゃん」のドクターマシリトに似てるよねって母に言ったら、納得された。友人にもメールで知らせたら、納得してくれた。(笑)

 ビアソーイダ王家の晩餐会は、ビールで行われ、ビールで終わる。王家に限らず酒場でも毎夜行われている。ビールは庶民の飲み物である。
 「ひさしぶりだぜ。やっぱりこれだ」
 バルクがうれしそうに言った。アニムも付き合い程度に一口。苦い顔を作ってすぐにバルクに渡した。
 「なんだ、駄目か?」
 「甘いのがいい」
 「俺も、パス」
 と、ブロード。ルイは苦い顔を作りながらも、一杯だけ飲んだ。
 「なんだよ、お前ら」
 「俺、苦いの駄目。ワインか何かのほうがいい」
 国王がそれに気づき、ラナに代わりの物を持ってこさせた。
 「いきなり帰ってきちまってすまないな、兄貴」
 「この城を出たものは皆そうさ。上の娘へネシーもフォーランズに行ったきり帰ってこない」
 「このままだと、イーリスに取られるぜ」
 「覚悟のうえだ。……ってお前詳しいな」
 「会ったからな、一年前」
 「そういえば、あの男はどうしている? ヘネシーにちょっかいかけてないか?」
 「大丈夫だ。ヘネシーが相手にするわきゃないだろ」
 「それもそうだが……」
 二人の会話をフレクアが遮る。
 「父様、ちょっと叔父様との話はそのくらいにして。まだ、紹介もすんでいないわ」
 「うん、そうだったな」
 自己紹介が始まる。何しろ、悪魔に獣人にエルフに魔法使い。よくわからない取り合わせである。
 「アニムは目標がダブって知り合ったんだよな」
 「そうだ、それ以降だ。どうゆうわけか縁が切れないのだ。その後何度もあったのう」
 「で、ルイは空から降ってきたんだ」
 「あの島がどういうわけかつながっているのよ、私の世界と」
 「でよ、このブロード。棺桶から出てきたんだよ」
 「悪いかよ。うっかり寝ちまったら六百年たってたんだ」
 「普通、うっかりじゃ済まされないけど」
 と、ルイ。彼女の魔力が彼を起こしたという。
 「うーん、面白い取り合わせだな。で、この獣人は?」
 「ああ、レトは、妹を助けるためなんだ」
 「妹を?」
 「ああ、ザック=ルハーンだっけ? そいつが妹さんを連れ去ったらしい。兄貴なんか知ってるか?」


2003年11月07日(金) 選挙へいこう

 地元で、イケメン(?)たちが「行くぞ!」とかいって、選挙に行くというCMがあるんです。使命感に燃えた若者って感じで。若者に選挙を促すCMですが、最初見たとき、何事と思いました。彼らはどこに行くんだろうって。

 図書館は薄暗いから、ランプが貸し出されている。広くはないが、本はたくさんあり、きちんと整頓されている。
 「へえ、なかなかじゃねえか」
 ブロードが一冊本をとる。背に「歴史書1」と書かれていた。ぱらぱらとめくる。
 「俺はどうするかな」
 「お前、本なんか読むのか?」
 「失礼な奴だな。俺はこれでもがきのころは結構読んでいたんだ。お前の持っているその本だって全部読んだぜ」
 「ふええ」
 厚みのある本を彼は棚に戻した。
 「ねえ、バルク。私についての本ってある?」
 「悪魔族についての本か? どうだろうなあ」
 バルクは貸し出し係に聞いてみた。
 「それなら右の一番奥を探してください」
 薄暗い図書館の更に暗い右の奥へランプを持って行った。古い本が並ぶ中に、「悪魔書」とかろうじて背表紙の字が読める本をルイは見つけた。
 「あったあった」
 彼女はそれを手にした。
 「読むんなら借りていくといいぜ」
 「うん」
 「お前は? ブロード」
 「俺、あんまり本は読まないけど、官能小説があれば……」
 「嫉妬に狂う女とその男の末路を書いた話なら知ってるぜ」
 「遠慮しとく」
 冗談を互いに言っている間、ルイは手続きをしようとした。が、すぐにバルクに助けを求めた。
 「どうしよう、年齢を書いたらバカにするなって言われちゃった」
 千二十一歳を書かれてある。悪魔なので人間と同じ時間をすごしているわけではないので当たり前である。バルクは係に耳打ちして、結局手続きはバルクが名前だけを書いて終わった。
 「ありがと、バルク」
 「なんで、そんな本借りるんだ?」
 「人間が昔、私たちをどう解釈していたのか興味があるの」
 「ふうん、昔、俺の住んでいたところには妖精くらいしかいなかったから、よくわかんねえけど」
 と、ブロード。
 部屋に着いたとき、アニムは起きていた。
 「なにをしておったのだ? そろそろ食事の時間だそうだ」
 フレクアもそこで待っていた。
 「さ、叔父様。準備ができましたので、行きましょ」
 戻ってきた三人は急に空腹を感じた。

 


2003年11月06日(木) ナンプレ

 某新聞の日曜版には、数独となってます。クロスワードとか、そんなんです。9×9のマスに1〜9までの数字を、重ならないように埋めていくゲーム。はまってます。

 アニムのモットーは、休める時に休め、食える時に食え、もらえる時はもらえ。
 バルクはあきれながら聞いたことがある。しかし、長く旅をしているから気持ちもわからないわけではない。すでに寝息を立てて眠っているアニムを放っておいて彼は部屋を出ようとした。
 「あ、バルク」
 さっぱりとしたルイがラナに連れられてきた。
 「遅かったな、ルイ」
 「うん、気持ちよかった。すっごい広いんだもの」
 「そうだろ、俺もがきん時は泳いだ」
 「フレクアは?」
 「用があるってどこかに行っちまった」
 「そう……」
 「それよりもよ、ルイ。面倒なことになっちまったぜ」
 バルクは魔王からの依頼のことを話した。
 「私が、その生きているような魔力を探せるって?」
 話を聞いたルイは、あのクレンムの村のことを思い出す。しかし、魔力らしいものは思い当たらなかった。
 「それとよ、」
 バルクが言いかけたとき、その話題の人物が現れた。
 「お、ルイちゃん!」
 「棺桶男!」
 「そりゃないぜ!」
 棺桶男と呼ばれたブロードは、抗議したがルイにとっては、棺桶から出てきた彼が印象強い。
 「でも、どうしてここに?」
 「魔王に頼まれて、な。協力人ってやつだ」
 「そう」
 それからバルクに向かって、
 「ねえ、カルストラ、私のこと他に何か言ってなかった?」
 「いや、なにも」
 「そう」
 ルイは、ほっとしたが不思議に思った。どうやら彼女の祖母は、まだ彼女を探していないと思われる。それとも、カルストラが特に何も言わなかったのは、自分が魔力探しに適しているからだろうか。
 「ねえ、バルク。どこに行くつもりだったの?」
 「ああ、久しぶりに図書館でも行こうかと思ってな」
 「あ、下にあった図書館ね。私も連れてって」
 「俺も、暇だし」
 レトも誘おうかと思ったが、彼もアニムの思想と同じらしく寝ていたので、そのまま図書館に行くことにした。
 


2003年11月05日(水) メガネメガネ……

 さっきまで探してました。なくても見えるんですが、ないとはっきりしないので。あほみたく探してました。見つかってよかった。
 ずっと前、ガートルードのレシピの最終巻を読んだと書きましたが、実はまだ続巻があり、5巻で最終巻でした。

 「そういえば、ルイは?」
 と、アニムがフレクアに聞いた。
 「ルイお姉様なら、まだお風呂です。好きなんですね」
 「長いからな」
 バルクはルイの風呂好きを知っている。もっともアニムは、それくらいが普通だと言うが。
 「しばらくたったら戻ってきます。案内はラナに任せてありますから。では、夕食時間までごゆっくりとお過ごしください」
 フレクアは、私は準備があるからと言ってどこかに言ってしまった。バルクたちは、部屋に戻って休憩することにした。
 「これからするべきことは……」
 と、アニム。それを傍観するように眺めているブロード。そしてバルクは頬杖をついてベッドに転がっている。レトはなにがなんだかよくわからなかったが、とりあえず話に参加しようとしている。
 「まず、ビアソーイダ国王からザック=ルハーンの情報を引き出してもらう。そしてレトの妹を助ける。それが終わったら、魔王の依頼に移ろう。ただ働きだがの」
 「俺は、魔王から指示があったからそっちに行くわ。行き先は、今度はフォーランズだってよ」
 面倒くさそうに彼は、ソファーにもたれかかった。
 「……あの、さっき何て言った?」
 レトが聞いた。
 「ああ? フォーランズに行くって言ったけど?」
 「いや、その前」
 「魔王か?」
 「まさか、あんたたち、カルストラを知っているのか?」
 「なんで、お前が知ってんだよ」
 逆にブロードが聞く。
 「俺たちは、魔王に安全な住処を探してもらっている。人間が怖いからな。俺は逃げ足が速いし、人間慣れしてるけどよ。女子供は近寄りたくないってくらいだからな」
 レトは、少し低い声で言った。
 「……そうか、お互い苦労するのう」
 「あんた、エルフだもんな。最初は信じられなかったけどにおいでわかるよ。人間の多いとこをよく旅してんな」
 「せざるをえない状況でな」
 アニムはそれから話を変えて、言う。
 「さ、少し寝るか。夕飯になったら迎えが来るだろう」


2003年11月04日(火) すっごい偶然なんですが

 カルミアはツツジ科の植物で観賞用、さらに全体に毒性がある、といことです。そうだったんだあ。

 「僕にもわかりませんが……」
 魔王は話し始める。
 「目に見えない魔力が暴れているんです」
 「普通見えねえだろ。魔力は」
 すかさず、バルクが言った。そんな彼をアニムは放っておいてよい、と言って話を続けさせた。
 「ブロードさんの言うように、ある程度意思を持った魔力と言えるでしょうね。この世界の管理人は僕だけなんで、一人でその魔力の回収作業しろって言われたんですけど、さすがに一人では見えないものの回収はできませんから、彼に協力していただいているんですよ」
 「まだ、原因不明なのか……」
 「ブロードさんが触れたことによって一時的でも魔力が見えるようになったんですが、その能力がリュレイミアさんにもあるみたいなんで……あなた方にも協力をお願いしたい」
 「どうする? バルク?」
 「ルイがいいって言ったらいいんじゃねえの?」
 「では、伝えておいてください。さすがに、今直接本人にはいえないので、じゃあ」
 魔王が去った。その場で消える。同時に、フレクアが入ってきた。
 「あ、魔法使いさん! よかった、目が覚めたんですね」
 彼女は駆け寄って、ブロードの手を両手で包むように握った。
 「ああ、君のお母さんのほうは?」
 「大丈夫です。私の妹か弟も無事です」
 「よかったな」
 じゃあ、俺はこれで、と言いかけた彼を制してフレクアが言った。
 「今夜はぜひ、お礼させてください。あなたは、この国の王妃を救った方なんですから。それに今日は叔父様も帰ってこられたのですから、ご馳走ですよ」
 フレクアは手を離さずに言う。ブロードはうなずいた。そうでないと、彼女は解放してくれなさそうだったからだ。


2003年11月03日(月) 無料ペーパー配布

 札幌のイベントにて配布する予定。うふふ。いえ、見てもおもしろくないかもしんない。
 
 「俺、魔王に頼まれて探し物をしてたんだ。そしたら偶然、フレクアの母さんがもっていたんだよ」
 「それが、眠らせていたものか?」
 「ああ、俺にはそれが見えたんだ。そうなればおびき寄せることができる。ある程度意識をもった魔力ってやつだな、あれは」
 「意識を持った魔力?」
 「俺が勝手にそう思っただけだが、あの魔王があんまり説明しないとこみると、やばいもんだろうなあ。でよ、俺はそれを取り込んで、体のほうは眠っちまったってとこだ」
 「なるほどのう……」
 「でも、逃げないようにつかんでいたんだよ。意識はな。奴が遅いから逃がしちまった」
 「ちゃんと、捕まえましたよ」
 と、声だけがする。
 「魔王! 出て来い」
 やれやれ、と少年は現れた。長い銀髪のかわいい顔した少年である。その本性を知るのはこの中ではブロードしかいない。
 「捕まえたってどういうことだよ、見えないじゃねえの?」
 「あなたが触れることにより、一時的に見えるようになりました。意外なこともありますね」
 「でよ、それ、相当やばくねえ?」
 「ええ、まあ、確かに……」
 少し、たじろぐ少年。
 「おい、魔王。世の管理人なんだろ? わかる部分だけでいいから教えろ。もしかしたら、クレンムのあの村の件も、その魔力のせいじゃねえのか?」
 「ううっ」
 どうやら図星らしく、更にたじろぐ少年。
 「それが、どんなものか、説明が欲しいのう、魔王」
 「あう……。わかりました。こうなったらバルクさんたちにも協力していただきます」
 少年は開き直った。


2003年11月02日(日) 友人のライヴに行ってきました。

 かっこよかったです。またお誘いしてね。つーか、ここで書いても意味ないよ。

 「魔法使いの?」
 「おうよ、どうせ暇なんだしな」
 「やめといたほうがいいじゃないか?」 
 「じゃあ、レトはここに残ってろ」
 バルクが、ドアを開けた。レトは逃げるように当てられた部屋に入った。アニムはあまり感心しなかったが、好奇心に負けてバルクについていった。 部屋の鍵はかかってなかった。こじんまりとしたシンプルな客室。ベッドとクローゼットがあるだけだった。例の魔法使いとやらはそこに眠っていた。
 「やっぱり棺桶野郎だったか……」
 「棺桶?」
 「こいつ、『妖精主の大陸』のゼムの別荘にある棺桶で眠っていた奴だよ。名前は、確かブロードだ」
 「話がよくわからん」
 と、アニム。
 「お前、寝てたしな」
 「ああ、あの時の話か……。目が覚めたかと思ったら、すぐ別れてしまったからのう」
 「ともかく、起こしても無駄なんだろ? アニム、なんとかならんか?」
 「こやつが何故眠ってしまったのか、原因がわかればよいのだが……」
 アニムは眠るブロードを覗き込んだ。規則的な寝息が聞こえるだけである。
 「どうにもならん」
 「そうか。じゃあ……」
 言いかけて、バルクは止まった。寝息が止まった。かわりに布がすれる音がした。
 「ちくしょっ!」
 起き上がったブロードが突然叫んだ。振り上げた腕がベッドのマットを叩く。
 「あんの馬鹿、早く来ないから逃がしちまったじゃねえか!」
 それからぶつぶつと文句を言い始める。
 「おはようさん、ブロードさんよー」
 バルクが声を掛けた。その声でやっと彼に気づいたブロードがバルクを見た。
 「……おっさん、誰?」
 「忘れたのか? 目覚めに会ったじゃねえか」
 「野郎の顔は覚えねえの。そういや、ルイちゃんは?」
 「ルイのことは覚えてるようだのう」
 「お前のことも覚えてるぜ」
 「小生は寝ていたからお主のことはあまり知らん」
 「あ、そう」
 ブロードがベッドから出る。軽く伸びをして、ふと立ち止まった。
 「ここ、どこだ? あのフレクアっていう子に連れてこられたが……」
 「まだビアソーイダ城だ」
 「ふうん。あんたらはなんでここに」
 「こやつがこれでも王族だからだ」
 アニムの説明にブロードがいささか信じられないという顔をしたが、思い直して言う。
 「まあ、あの国王の親族ならうなづけるか」
 「ああ、そうかそうか。でもよ、なんでポーレンは眠っていたんだ? それと、なんでお前が眠っちまったのかを聞きたいんだが……」
 バルクの問いにブロードが少々考えてから、まあいいや、と言ってベッドに腰掛けて説明を始めた。
 


2003年11月01日(土) 忘れてませんよ

 物語の方向がなんか変だなあと思いつつ、当初の目的は忘れていない…と思う。

 「魔法使い? 人間か?」
 人間の魔法使いは、もういない。魔術を使う人間はいるが……。
 「人間だ。魔族ではなさそうだしな」
 「……そいつ、どこにいるんだ?」
 バルクには心当たりがある。一年前だが、それに会った。
 「今は客間で寝かせているが……」
 「何があったんだよ」
 「よくわからんが……フレクア!」
 国王が呼ぶと、少女がさっと現れた。
 「なに? 父様?」
 栗毛を長い三つ編みにした十四,五歳の少女だった。
 「あの魔法使いとやらは?」
 「まだ起きないよ。ところで、誰? 父様のお友達?」
 「すまんな、教育不足の娘で」
 「ああ、気にすんな。何しろフレクアはまだ赤ん坊だったしな。俺は、お前の親父の弟、つまりは叔父だ」
 「うん、納得。じゃあ叔父様。後ろにいる人も紹介してよ」
 「それよりだ、あの魔法使いはなんで眠ってしまったんだ?」
 「父様が脅したからじゃないの?」
 と、フレクアがあきれて言う。
 「殺気は感じなかったが、邪気は感じられた。だから根性直しにやきをいれたが」
 「初対面で出会い頭で、いきなりはまずいと思うよ。いつものことだけど」
 「兄貴、んなことやってんのか?」
 バルクが情けないような、あきれたような顔をする。
 「ああ、でもね、魔法使いさんが母様の前に立ったとき、『これのことか』って言ったの。でね、なにかつぶやいたんだけど……その後すぐ、寝ちゃったの」
 「……わからん」
 「でしょ」
 国王は、しばらく黙って口を開く。
 「まあ、久しく帰った弟を追い出すことはせん。ヒーガル、こんな状況だがゆっくりしていけ。紹介や話は夕食の時にでもしよう」
 「サンキュー兄貴」
 「フレクア、すまんが客間に案内してやってくれ」
 「はい、父様」
 国王は自室に戻る。フレクアはうれしそうにバルクの前に立った。
 「では、ご案内します。叔父様」
 「……お前、さっきと口調ちがわねえか?」
 「父様の前では、です。こちらです」
 フレクアが案内したのは、魔法使いが眠っている部屋の隣だった。
 「女性の方には、こちらをどうぞ」
 さらに隣の部屋も開ける。
 「ありがと、フレクア」
 「いえ、私、お客様、大好きなんです」
 「ところで、フレクア」
 「なんですか?」
 「大浴場があるって聞いたんだけど……」
 「ご案内します。私も入ります」
 二人は仲良く、大浴場へ向かっていった。
 「女の子同士って、ああやって仲良くなるもんかのう?」
 アニムがにやにやとしてバルクに聞いた。
 「さあな。さてレト。もうしばらくこの城にいることになるが」
 「いいよ。本当は早く連れて帰りたいんだけど、しょうがないしな。だけどこの城、何かある……」
 野生の感というものか、レトは無理に落ち着こうとしている。バルクはそれに感づいていた。同じようにアニムも平静を装ってはいるが、腕を組み替えたり、頭をかいたりするしぐさが何度も見られる。
 「じゃあ、ちょっくら、このドアを覗くか?」
 バルクは魔法使いが眠る部屋のドアを指差した。



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