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「20世紀少年 20」浦沢直樹
2005年10月31日(月)
遠足は帰るまでが遠足ってのはやっぱり名言ですよ。

なかなか話が進まないような進んでるような……。

しかし、顔が見えないってことは、怖ろしいものなんですね。
顔って、やっぱりいろんなことを物語るんだなあ。
「怒涛の虫」西原理恵子
2005年10月30日(日)
93年に刊行された作品を97年に文庫化したもの。エッセイ+漫画。
もう10年以上も経ってるんですね。この中では西原さんは25歳で、「結婚ブームに背を向けて」なんてエッセイを書いてるわけですが…。
当初は、なにがおもしろいのかわからん、と思っていた私も、今ではすっかり贔屓になってしまいました。
絵は下手だけど(笑)、味があって、間がよくて、下品だけど、なんか笑っちゃうんだよね。
NHKの朝ドラにもなんか描いてたんでしょ? 有名(メジャ)になったよね。
「夢について」吉本ばなな
2005年10月29日(土)
94年に刊行されたエッセイ集。自分の見た夢の話や、日常のことなど。
彼女の小説は確か1、2冊ほどしか読んでないのですが、最近日記を時々読むのです。どういった経緯で読むようになったかは忘れてしまいましたが。
文章が綺麗で、淡々としているのに瑞々しいという印象を受けました。
このエッセイ集も、さらりとしていて時に神秘的。
「たのしい犬生活」dami/「母に習えばウマウマごはん」小栗左多里
2005年10月26日(水)
「たのしい犬生活」dami
飼い犬アランとの日常をつづった4コマ漫画。
淡々ほのぼのとしております。



「母に習えばウマウマごはん」小栗左多里
簡単な料理のレシピと、それにまつわるエッセイ漫画が収録されたもの。
料理も簡単でおいしそうなものばかりだし、エッセイも相変わらずおもしろいです。
しかし、便乗商品な感じは否めない…。
ちなみに、2冊とも借りた本です。
「魔王」伊坂幸太郎
2005年10月25日(火)
新刊が出ました!
しかしこれ、今までのものとはかなり趣が変わってますね。今までの好きな人には、どうかと思います。
私は……うーん、どうだろう。難しいな。政治色が強いから。それは私が小説に求めるものではない。

「魔王」と「呼吸」の2編が収録されていて、それぞれ不思議な力を身につけた兄と弟の話です。若く、力を伸ばしてきた政治家と、それに対峙しようとする兄。と書くと違う話に誤解されそうですが、そこはそれ、伊坂さんらしい考察が多く面白いと言えば面白い…けど。
釈然としないといえば釈然としない。
今までの作風が、勧善懲悪的なものが多かったからでしょうか。

アメリカに対しての反発が起きて、お店やアメリカ人の家に火をつけるようになるシーンは怖かったです。
場所は離れていても現実に起きていることですからね…。
いろいろと不気味に感じるシーンが多かったです。
あと、パトラッシュはちょっと笑ってしまいました。

それにしても装丁が…。昨今は凝りに凝って、中味読まなくても楽しめる装丁が多いってのに。
★★☆
「エンジェル・ハート 16」北条司/「高橋留美子傑作集 赤い花束」高橋留美子
2005年10月24日(月)
「エンジェル・ハート 16」北条司
女兵士の楊さんの話が終わり、今度は未来を見ることができる超能力者の話が始まりました。
結婚したがために彼が死ぬ運命にあるカップルをどうやって救うか?というお話になっていきそうです。


「高橋留美子傑作集 赤い花束」高橋留美子
高橋留美子の短編集。6編収録のうち、5編が冴えない中年サラリーマンが主人公。高橋留美子の絵はほんとに冴えないから笑えるような笑えないような(笑)
どれもこれも、笑えるんだけど泣かせるんですね。
たとえば「ヘルプ」は、妻が骨折で入院してしまったために、実の父の介護をするはめになった男性の話。下の世話のために夜な夜な布団の中を探るんですが、「わさわさ」という擬音とその姿が笑える。しかも、次第に夜中に起き出して自力でトイレに行こうとするおじいちゃんの姿が、笑えて泣かせる。
笑えない現実やストレスをコミカルに描けるのって、すごいなーと思います。
「不思議な少年 4」山下和美
2005年10月23日(日)
3編を収録。

「由利香」
静かな田舎の町に暮らす一人の少女。自分はほんとうに存在しているのか、この世界は自分の想像の産物なのではないかという物思いにふけりつつも、道に咲く花や、犬に愛情をそそぐ彼女に、少年は会いにきた。
少女の視界に混ざっていく凄惨な場面。やがて物語は思いがけない方向へ…。
久しぶりにすごいと思いました。展開のうまさ。突然入ってくる場面が、衝撃的であるのに流れとしてはとても自然で、状況の説明が言葉ではなく納得でき、飲み込まれました。
伝わってくるメッセージにも、泣かされます。
短いですが、とてもよかった。

「水晶玉の猿」
里から里へと渡り歩く大道芸人の老人。七色の水晶玉をあやつる芸を見せる。その灰色の玉には、己が命を亡くす時の顔が映るという。少年は老人と旅を共にするようになる。やがてたどり着いたのは飢饉の村。
どこかで読んだような昔話ですが。
老人という少年の表情が生き生きしていてかわいい。

「ベラとカリバリ」
この巻の約半分を占める中編。
ベラは、土地を持たないロム族の少年。ロム族は狩られ、ベラは長い年月牢獄へ放り込まれる。処刑を待つだけだったベラの前に現れたのは、ルカと名乗る不思議な少年。少年はベラに「復讐がどこまで人を大きくするか興味がある」と告げ、言葉や作法などを教え始める。彼の復讐の行き着く先は…。
いつも冷静な少年が、女性としてベラを愛すようになるというのが意外でした。

とにかく「由利香」が素晴らしかった。
★★★★☆
「パートタイム・パートナー」平安寿子
2005年10月22日(土)
就職をしても長続きをしないが、女の子の相手をするのだけは大得意という晶生が始めたのは、パートタイム・パートナー。通称デート屋。二時間一万円で女性のデートにつきあう。励まして、元気付けるのが仕事。
そんなお仕事の様子をひと月一話ずつ、一月から十二月までを描いた連作短編集。

正直、最初の方は、えっこんなところで話が終わっちゃうの?と思いました。
短編なんだけど、オチがないというかカタルシスがないというか。その後どうしたの?と思うんですが、なんのフォローもなし。
でもまあ、普通の人生もそんなに毎度毎度オチがつくわけでもないですしね(笑) いろんな行きずりのお客さんがいて、いろんな事情のデートにつきあい、なにかが劇的に起きるわけでもないけれど、いろんなことを感じていく…。そんなお話です。
ふてくされた態度とか、高飛車な態度とか、そんな女性にすらかわいさを感じてしまう晶生はすごい(笑)

私はお父さんの思い出のところが好きでした。
この人の描く父親というのは、規則正しい小心者で、でも自分だけの密やかな楽しみを持っていてそんな人生に満足している、そんな人なんですね。世間的にはおもしろみがないと言われるタイプで、でも描き方によって微笑ましくも思えてしまうんだなと思いました。
★★☆
「湖畔のマリニア グイン・サーガ104」栗本薫
2005年10月16日(日)
外伝のような、開放的な感じの表紙の本編104巻です。
お話はグインとマリウスの旅路。彼らが湖畔で知り合った女性(そしてまだ幼い息子)の正体とは…。という一冊。
ほほう、こんなところでこんな人が…。って感じなんですが。それはともかく。
マリウスいい加減にしろ、と8割の読者が思ったに違いない。(ローラにも?)
そういう一冊です。
いいから早く先へ進もうよ。
友だちに、「まだこれ続いてるの? 100巻で終わるんじゃなかったの? まだ買ってるの?」と言われてしまったよ。
「この胸いっぱいの愛を」梶尾真治
2005年10月15日(土)
「クロノス・ジョウンターの伝説」を映画化した「この胸いっぱいの愛を」を、原作者自らがノベライズしたもの。同じなのは、過去で愛する人を救おうとするということと、主要登場人物の名前だけ。

映画とは結末も違っているそうだし、キャストを見ると、離婚した夫婦のエピソードもノベライズで挿入されたものらしい。
映画がどんな結末なのかは知りませんが、もしかして映画に納得がいかなくて自らノベライズしたんじゃ…とか思ってしまいました。作中に「この胸いっぱいの愛を」をダサい曲名だよなあ…なんていうモノローグもあったし(笑)

難病でお涙頂戴にすりゃいいってもんじゃないだろーと思いつつも、映画で見たらそれなりに感動的なんでしょうね。と、予告編を見て思いました。

個人的には、この本はファン向けのコレクターズアイテムかな。

→映画の公式ページ
http://www.kono-ai.com/index.html
「ザ・フェミニズム」上野千鶴子・小倉千加子
2005年10月10日(月)
お二方の対談を文字として収録したもの。
フェミニズムのなんたるかをまったく知らないくせに読んだもので、よくわかりませんでした…。もうちょっとこっち関係に詳しくなってから読むべき本でした。
小倉千加子さんの他の本をもう少し読みたい。
「生徒諸君!教師編 1〜6」庄司陽子
2005年10月09日(日)
友だちに借りた漫画第五弾。
これまた懐かしい漫画の続編です。
教師になったナッキーが、初めての担任として問題のあるクラスを担当することに。そのクラスはとある事件で教師に対して大きな不信感があった。そしてそのクラスには3TDと呼ばれる仕置き人のグループがいた。

というものです。
基本的に私はナッキーのような人は好きじゃないんですが(笑)、それでもこの漫画を読み続けられるのは、ナッキーがこういう性格の割には押し付けがましくなくて引くことも知っているからだと思います。(しかしまだ25歳とは…)
同じ経験をしているから痛みがわかるのよっていう描き方はどうかなーと思いましたが。
あり得ない…とつぶやいてしまうような事件が満載の学校だなとも思います(笑)

他の仲間もちゃんと出てくるけど、沖田くんにそっくりな生徒の保護者なんかも出てきたりして。岩崎くんとの仲は進まないんですね…。
「新・花のあすか組! 1〜3」高口里純
2005年10月08日(土)
友だちに借りた漫画第四弾。
昔、紫色のコミックスだった頃、同じ友だちに借りて一気読みしました。
全中裏と呼ばれる、中学生の少女をメインとした組織の抗争の話なので、自分だけだったら手を出さない漫画だったのですが、借りてみたらとてもおもしろかった。
弱かった少女が強くなっていくのとか、依存や信頼、それからゲーム的な駆け引き、それから時代がかった組織の構図とかもこれはこれでおもしろい。

これは今現在も連載中の、あすか組の続編だそうです。
アマゾンのレビュー見てみたら、みなさん酷評でしたが、こんなもんじゃないのかなあ(笑)
変わってないなあと思いました。
「夏目友人帳 1」緑川ゆき
2005年10月05日(水)
この世ならぬもの、妖怪の類が見える少年、夏目。同じように妖怪を見ることができ、強い力を持っていた祖母レイコが残した「友人帳」を求めてやってくる妖怪たち。友人帳は、妖怪の名前が記された契約書のようなものなので、名前を縛られた妖怪は自分の名前を取り返しにやってくるというわけ。夏目は彼らに名前を返し始める…という話。

妖怪たちはみんな、ぞっとする怖さがあり、思わず笑ってしまうコミカルさがあり、ほろりとさせられる哀しさがあり……情がわいてきますね。
笑えて泣けて、最高です。
名前を返すシーンは、絵が毎回とても色っぽい。ニャンコ先生の実の姿がほんとに優美なのにもびっくりしてしまった。
どうして妖怪の名前ばかりを集めたものが「友人帳」という名前なのかが、また深いですね。

夏目の用心棒を名乗りつつも、ことあるごとに食おうとするニャンコ先生(一見まねき猫)は、うしおととらの関係ですね。
他の人には見えないものが見える人間の悲哀という点では、死と彼女とぼくをお好きな方にもオススメかも。
妖怪が自分の名前を取り返しに来るというのは、どろろを思い出させるし。
…でも、本書はそのどれにも負けない傑作だと思います、私は。

コミックスが出るのをとても楽しみにしていた作品ですが、期待を裏切りませんでした。
★★★★☆
「寿町美女御殿1」山下和美
2005年10月04日(火)
アパートを探していた大学1年生の菅平くんは「家賃1万円」という夢のような物件を探し当てた。そこは、女性ばかり4世代5人暮らしの古いお屋敷・早乙女家の1室。何やら怪しげな雰囲気漂うそのお屋敷には、実はもうひとりの家族がいた。その名はエリザベス。年齢102歳。果たして彼女は一体何者なのか…!?


友だちに借りた漫画第三弾。
嫁姑モノらしいです(笑)
早乙女家の嫁姑たちはみんな個性的なんですが、私的にはミドリおばあちゃんが凄い。すっごくリアル。こういうおばあちゃんどこかで見たことある…と既視感を感じます。笑いと恐怖は紙一重と申しますが、ミドリおばあちゃんはホラーとギャグが同居してますね。どのコマでもインパクトあって目が離せません。
顔は薄いけど咲子さんもけっこうパワフルでおもしろい。
「闇夜の本1〜3」坂田靖子・「片恋生活」ささだあすか
2005年10月03日(月)
「闇夜の本1〜3」坂田靖子
友だちに借りた漫画第一弾。
絵はほのぼの。お話も…ほのぼのというか、一風変わったお話ばかりでした。この人の頭の中は常人とはちょっと違うに違いない。


「片恋生活」ささだあすか
友だちに借りた漫画第二弾。
短編集。
友だちみたいなフレッシュ(という単語は若くないんですか)な夫婦やちょっと不器用でのんびりとした恋人同士を描くのがうまい人です。
表題作は、友だちとして結婚したのに実は好きになっていて…という、ちょっとありえない話ではありますが、なかなかかわいいんですよねえ。ほのぼのしつつもきゅんとする。
自分では買ってないけど、けっこう好きな漫画家さんです。
「家守綺譚」梨木香歩
2005年10月02日(日)
これは、つい百年前の物語。庭・池・電燈つき二階屋と、文明の進歩とやらに棹さしかねてる「私」と、狐狸竹の花仔竜小鬼桜鬼人魚等等、四季折々の天地自然の「気」たちとの、のびやかな交歓の記録。


一軒家に暮らす物書きの青年と、庭の木々、近くに住む住人や物の怪の類との交流の物語。
青年が書いたものという設定なので、文章も古風で端正。
掛け軸から現れる亡くなった友人も、飼い犬のゴローも、お隣の奥さんも、和尚もいい味出してますね。飄々としていて暖かく、庭のサルスベリに懸想されたりもして、ちょっとユニークでもあります。

次が気になってたまらない、という話ではありませんが、大切にしまっておきたくなるような一冊でした。
★★★
「もっと、わたしを」平安寿子
2005年10月01日(土)
優柔不断、プライド高過ぎ、なりゆき任せ、自意識過剰、自己中心。不器用な五人五様の煩悩がすれ違ったとき、少しだけ人生が動きだす。「自分らしく」生きようとする人のダサさとせつなさを描く、待望の書き下ろし小説!

前の短編でちょい役だった人が、次の短編で主役になるという連作短編集です。
山本文緒は普通の人の心の中に潜む悪意を描くのがうまいと言われていますが、この作家は一見厭な人を、とても人間らしくかわいい人に見せるのがうまいと思います。
傍から見たら「あの人は綺麗なだけで中味がなさそう」「なりゆき任せでつまらない人そう」なんて思う人だって、いろんなコンプレックスや悩みや愛しい気持ちを抱えてる。そういうのが、とても生き生きと書かれていて、とてもよかった。安易なハッピーエンドに持っていかないのもいいと思いました。

特に、3話目の「なりゆきくん」がよかった。冴えない少年が、仕事先の社長の娘(と言っても働いてるのは社長とその娘だけ)に翻弄されるんですが、その娘がふてくされたかわいげのない子なんです。二人で食事に行っても全然話も出来ない。それなのに…っていうのが、ぐっときます。
★★★★


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