★★☆ 想 う ☆★★
目次|過去|未来
私が子供の頃から、親父は結構酒飲みだった。
黙々と飲む。
酒のつまみは、だいたいマグロの刺身。
子供心にうらやましかったことを覚えている。
我が家では、ほとんど毎日マグロの刺身を1人前買っていた。
もちろん親父専用。
お袋も、「これはお父さんのお刺身だよ」
といって手を出さない。出させない。
夕飯のおかずがお刺身になるのは、だいたい月に1度ぐらい。
親父がうらやましかった。
我が家は三人兄弟。
おかずは、真ん中に大皿盛りでおくが、ケンカになりやすくそのうち個々盛りとなった。
他の兄弟のおかずに手を出すことは自然にご法度となった。
逆にいうと自分の食べ物は確実に自分の物だったといえる。
兄弟の場合、おかずの好き嫌いがあるのでその場合は当然やりとりがある。
しかし、親父の刺身だけは、最後に余らないかぎり食べることはできなかった。
我が家で、高級な?刺身を毎晩食べれる親父は、我が家で一番立派な存在であった。
お袋にも、お父さんが一番なのよ。と言われつづけて育った。
今、我が家は子供が優先である。
親がひもじくても子供優先である。
自分が気付かないだけで、私の親も子供中心だったのだろうか?
良い、悪いの問題ではない。
そうして欲しいという願望でもない。
ただ、目の前のおかずがどんどん減っていく様をみて、
小学生の頃を自分を思い出したのだ。
我が子の場合、「お父さん、それ頂戴! 食べてもいい?」 とかならず聞く。
ついつい、「自分のが手付かずであるのに、人のものを欲しがるじゃない!」
といってしまうことがある。
亭主関白は、ひょっとして願望にあるのかもしれない。
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