★★☆ 想 う ☆★★
目次過去未来


2002年09月29日(日) 親父の刺身

私が子供の頃から、親父は結構酒飲みだった。

黙々と飲む。

酒のつまみは、だいたいマグロの刺身。

子供心にうらやましかったことを覚えている。

我が家では、ほとんど毎日マグロの刺身を1人前買っていた。

もちろん親父専用。

お袋も、「これはお父さんのお刺身だよ」

といって手を出さない。出させない。

夕飯のおかずがお刺身になるのは、だいたい月に1度ぐらい。

親父がうらやましかった。

我が家は三人兄弟。

おかずは、真ん中に大皿盛りでおくが、ケンカになりやすくそのうち個々盛りとなった。

他の兄弟のおかずに手を出すことは自然にご法度となった。

逆にいうと自分の食べ物は確実に自分の物だったといえる。

兄弟の場合、おかずの好き嫌いがあるのでその場合は当然やりとりがある。

しかし、親父の刺身だけは、最後に余らないかぎり食べることはできなかった。

我が家で、高級な?刺身を毎晩食べれる親父は、我が家で一番立派な存在であった。

お袋にも、お父さんが一番なのよ。と言われつづけて育った。


今、我が家は子供が優先である。

親がひもじくても子供優先である。

自分が気付かないだけで、私の親も子供中心だったのだろうか?

良い、悪いの問題ではない。

そうして欲しいという願望でもない。


ただ、目の前のおかずがどんどん減っていく様をみて、

小学生の頃を自分を思い出したのだ。

我が子の場合、「お父さん、それ頂戴! 食べてもいい?」 とかならず聞く。

ついつい、「自分のが手付かずであるのに、人のものを欲しがるじゃない!」

といってしまうことがある。


亭主関白は、ひょっとして願望にあるのかもしれない。


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