ナツ日記
歩き方。走り方。










歩いて。走って。軽くステップ。
追いかけるためじゃなくて、並ぶために。

別々の道でも。
遠くから顔を合わせて笑えるような。
そんな自分でありたいと。









「何。ぼーっとして」
「!?…あ」

突如かけられた声に心臓が軽く跳ねた。
頭をぐしゃぐしゃと掻き上げる腕。

トクトク。
心音が身体に残る。

「普段使ってない脳を急に酷使するとパンクするよ?」
「そんなことないですっ!」
「ふーん。じゃあ、やっぱり何か考えてたんだ?」



不覚。
慌てて下に向けた顔が、何故か熱く感じて。





トクトク。心音が。
走り出したように。止まることをやめない。

変だ。
胸の上で握り締めた手を硬く。

猛る波が常の思考を飲み込んで。
異常。
常と異なる視点に置かれる。



悔しさ
(それは知ってる)

羨望
(それも知ってる)

一つ一つ。
自分自身気づいて無視した感情の嵐。



一つ。残った。
(それは知らない)

気づいてない。無視なんて出来ない。
それは





「それだよ」

声に。弾かれたように顔を上げて。
睫毛と睫毛が触れる2,3センチ。

距離が、ゼロになった。



心臓の高鳴りが止まない。
苦しい。

「でも、知らないです」
「最後に残った。違うか?」

首を振る。

「この感情は、何ですか?」
「僕が答えたらその気持ちはそこで終着点だ」

ふっと、離れて生まれた空間。開放感。

(あ)

そして、生まれた感情もあった。
知ってる。だから

「教えようか?」
「いいです」

きっと。後少し。

「自分で、見つけます」
「僕は待たないよ?」
「でも、消したくないです」



ふわふわして。
定まらない気持ちでも。
自分の身体も気持ちも。自由自在。



「探します。絶対に」



これからずっと、先のこと。
目の前で揺れた苦笑が僅かな手がかりとして彼の中に残る。




















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リベ秋。
ナツさんはいたって正気。狂気と正気は紙一重。

リベは強くなると思う。誰より。
秋がリベを近くに置いているのって『ないものねだり』ではないかと。
秋にはない強さだから。