moonshine  エミ




2007年07月20日(金)  両雄死す、のト書き練習帳。

著作権というものについては、及ばずながら存じておりまする。
さりながら、ネットの巣の片隅に過ぎぬ我が身、どうかお許しを。

中略。

背を無数の矢に指されながら、甘利虎泰、単騎、先陣の板垣方に戻ってくる。
「板垣殿、退け、退けーっ!」
かすれる声で。
甘利、どう、っと落馬する。
板垣ほか、駆け寄る。
甘利「退くのじゃ」
板垣「・・・甘利どの。相わかった」
甘利「謀りごとは、やはり、不得手じゃ・・・すまぬ・・・」
口から血を流しながら、ささやくように言って、絶命。
板垣、一瞬、目を伏せる。
早馬の伝令。
「お館さま、おんみずから、本陣を押し出されまする!」
「甘利殿・・・じきに会おう」板垣、決意の表情で、微笑む。
死相あらわに、草に臥す甘利。

本陣を崩し押し出し、丘から激戦を見下ろす晴信。
「あれは何じゃ」
晴信の影武者となった伝兵衛が映る。
村上「晴信じゃ! 武田晴信はあそこぞ!!」
「あれは・・・・わしか」
晴信のつぶやきに、勘助、はっと悟る。配下に告ぐ。
「お馬印を下げよ!」
晴信の本陣を示す旗々、下がる。

「板垣じゃ!板垣を討ちとれ〜!」村上、叫びながら駆ける。
武田軍、主だった重臣が駆け出すショット。
原美濃、諸角、晴信の弟野信繁、小山田、真田、飯冨。

板垣、激戦の末、落馬しながら雑兵を討ち取る。
「板垣!」
晴信、叫ぶ。
「お退きくだされ!」
今にも駆けださんとする晴信を、勘助、おしとどめる。
「のけ! 板垣を救うのだ!」
必死の表情の晴信。
「なりませぬ、板垣様のお命を、無駄になされるおつもりか!」
晴信、泣き出しそうな顔でとどまる。

青空の下、落馬した板垣は白兵戦。
ぶんぶんと矢をふりまわし、敵を討ち取りながらも、自らも刺され、斬られる。

「旦那さまー!」
主の窮状に、たまらず、影武者の伝兵衛、叫ぶ。
「なに? 影武者・・・」
耳ざとく聞きつけ、村上、悟る。
丘の上にたたずむ真の大将、晴信のカット。

板垣、ざんばら髪で戦い続けている。
JAC仕込みの殺陣で相手をぶったぎりながら、10年前に晴信を諌めた歌を再び詠む。
「はかなくも・・・なおこのもとの、夕映えに・・・・月影やどせ、花も色そう・・・」
其の瞬間、ぶす、と槍で刺される。矢、放たれ、複数刺さる。
華々しいBGM、唐突にやむ。
濁った目で、青天を仰ぐ。輝く白雲。
「・・・・若」
微笑みと共につぶやいて、あおむけに倒れる。
「いーたーがーきーーー!」」
戦場に響き渡る晴信の絶叫。

BGM,再び荘厳に鳴り出し、板垣・甘利の両雄を屠った村上軍が、蹄の音とともに怒涛のごとく押し寄せる。
晴信、涙目で震えている。
「お館さま、お退きくだされ!」
隻眼を見開いて言う勘助の言にて、この回、終了。
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