moonshine  エミ




2004年02月18日(水)  INTO YOU NOW

座して待つのが好きな人というのもあまりいないだろうが、待つのが苦にならないという人は、いる気がする。私は苦手です。

あれは1年半以上も前、風薫る春半ば、大物外タレであるレッチリの福岡初ライブのチケットを取るために、しん氏と天神で待ち合わせをしたある土曜日、待てど暮らせど(←大げさ。)現れない彼に嫌な予感を感じて電話をすると、家にいた。しかも、寝てた。

私は当然のことながらムッとして何か嫌なことを言ったと思う。しん氏はそんな私にムッときたらしく何か嫌なことを言った。私はひどく悲しく、情けなく、悔しくなって、天神は福ビル内の丸善で、もちろん営業中の店内で、大泣きをしながら彼を責めた。

今になって思えば、ふだんから寝起きの悪い人が起きぬけに言った言葉なんか真に受けた私の過剰反応。何も泣くことなんかないんだけど、ちょうどその前日に会社の人たちと飲んでいて、その場で出た彼の話題が喉元にひっかかっていたのも手伝い、突然、感情のメーターが振り切れてしまったのだ。
と、思う。

その当時、既に付き合い始めて4年以上が経っていたが、涙が武器になるようなかわいいキャラでは当然ない私が、しんちゃんに泣かされる(勝手に泣いただけだが・・・)のは初めてのことで、しんちゃんは驚いて一気に目が覚めたらしく、しきりに必死に謝っていた。今からすぐに行く、と彼は言ったけど、そのときの私はまるで貝、もう今日は会いたくない、と通話を切った。直後の着信もメールも無視した。

その後のしんちゃんの行動は迅速で、すごい速さで天神まで出てきて、一人でチケットをとり、何度も私に連絡をしてきた。引っ込みがつかなくなった私はその日は結局会わないまま帰ってしまったのだが、まあもともとたかが寝坊、大したことないことだからだとはいえ、その様子をうかがって、心はすでに氷解していた。もちろん程なく仲直りしましたよ。

そんな昔の小さな事件を、今日ふと思い出しました。
しょうがないしんちゃん、でも、躍起になって埋め合わせをしてくれたしんちゃん。傷つく心に敏感な、やさしい人。
いざというとき何をするか、で、その人がわかると思う。
くだらない話ですみませんね。
そのときの日記には書かなかった詳細を暴露してごめんなさい、しんちゃん。愛してます。
私も君のようにやさしい心をもちたい。何かにつけてそう思ってるよ。

余談。
泣き濡れた目でこのときに買った本の一冊が、坂口安吾の『風と光と二十の私と』でした。私の本棚の中で10冊といわれたら、きっと挙がる。
さらに後日談。
この日にチケットをとったライブ、半年後、無事に二人で見に行ったのだが、まさにそのライブ当日に、内定が下りて、愛知に行くことが決まったしん氏だった。楽しみにしていたライブ、その直前に聞かされた愛知行き、夢の中にいるような日だった。

今夜は家に帰ってきてから、ずっとファンカデリックを聞いていた。1978年、私が生まれた年に発表された、『ONE NATION UNDER A GROVE』。長い付き合いの中でこれまでに一度だけしんちゃんがうちの実家に来た愛知に行く10日前の春の日、そのときに実家の私の部屋で聞いた。これファンカデリックやね、すぐわかる。このエロいギターはジョージ・クリントンだ。としんちゃんが言った。

『INTO YOU』

俺は俺が理解できないものの中には入っていけない
俺は悪いロマンスの中には入っていけない
偶然で終わってしまうような愛の中には入っていけない

悪いことと良いことが同じ心の中にあることがわかるまでは
どんな夜も神経質なままだよ






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