moonshine  エミ




2003年12月20日(土)  私たちは幸せになった

 一年ぶりにもなろうかという友だちとご飯を食べに行く。
 白いワゴンRで迎えに来てくれた。
「これねー ローンが終わるんよ、ついに!」
 おお!
 彼女がこの車を買ったときは、無謀だなーと思ったものだった。
 いやはや、あれから5年が経ったのか。
 
 5年経とうが、子供を産もうが変わらず、彼女は相変わらずの明るさだった。
 しっかりした、面白い、生活力ある旦那さん(彼女曰くレッド吉田似)と、
 1年3ヶ月になるかわいい赤ちゃん(彼女曰く松尾伴内似。註:女の子)
 を得て、ますますパワーアップした様子。

 もう時効だと思うので書いてしまうが、
 あれはハタチにもなる前のことだったか、彼女にお金を貸した。
 20万円。大金である。
 よんどころない事情で急に入用になったのも、
 彼女が私との約束を違えるような子じゃないのも、じゅうぶん分かってた。
 にしても、大金である。
 友人間でのお金の貸し借りはご法度だ、というのは世間の常識でもある。
 そのころ、私の貯金には少し余裕があったので
(ひとりぐらしをしていたが、そのためにあらかじめ、まとまった額を貯めていた)
 えいやっと貸したけど、もうこれは捨てたお金だな、という気もあった。
 友情を賭けて、なんていったら大げさだけど、ほんと、そういう気分だった。
 
 もちろん、ほどなくお金は返ってきた。
 利子だといって、おいしいご飯をおごってもらった。
 その後、彼女にもほかの友だちにも、お金を貸したことはない。
 
 そんなことも今は昔、の話。
 今でもこうして仲良くできることを本当に嬉しく思う。

 思い出ばなし、近況報告、おしゃべりに花が咲く。
 あのころの仲間はちりぢりになったけれど、
 あんなところで出会って仲良くしていた人たちには、
 ほかの友だちとは何かひとつ違った意味で、ほんとにほんとに、幸せになってほしいと思う。
 みえちゃんが幸せそうでよかった。
 むろん私も幸せだ。
 この場合の幸せとは、とてもシンプルな意味なのだ。





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