| moonshine エミ |
| 2003年05月13日(火) 春雨じゃ、濡れていこう | ||||
| このセリフ、月形半平太でしたっけね。 会社の引き出しの中は、あれやこれやの資料でいっぱい。 いちお、出したいものはすぐ出てくるような状態には(なんとか)なっているが、あー、時間つくって整理しないとなあ。 引き出しを開けるのが、重い重い。 ひと息入れたい6時すぎ、 「君が昨日買いたかったのはこれだろ」 と、先輩がチョコレートをいくつかくれる。 実は違ったのだけれど、とてもおいしかったので、 「ギブ・ミー・チョコレート プリーズ」 と言ってさらにいくつか、せしめる。 それで気をとりなおして、がんばった。 何か、新しいドアを開けた! ・・・気がする。 この部署に来たからには、これができるまでは辞めたくないなあ、と前から漠然と思っていた仕事があって、 それは現在、別の先輩がやっているのだが、ちょっとそれを覗きつつ、自分の担当の資料を作った。9時までかかったけど、完成。 頭がパンパンになった。ちょっと、孤独に面白かった。 「風邪ひいた」としん氏よりメール。 冷たくはない小さな雨の中を帰る。 傘はさしたが。 そして家に帰ると、部屋の机の上には、本とCDが積み上がっている。 片付けないとなあ。 と思うそばから、次々に棚から出してしまうのだ。 坂口安吾の『堕落論』に収められている、『不良少年とキリスト』を久しぶりにパラパラめくった。 久しぶりといっても、半年も経ってないけど。 何度読んでも小気味よい。太宰も芥川も自死した。でも、安吾は生きる。 えーと、突然ですが、ここをご覧になっていたら、吉祥寺さん。 あなたのことが気になっています。お言葉なりと、おうかがいしてみたいものです。 ◆ 保坂和志『草の上の朝食』(中公文庫)読み返し終了。 ものすごく楽しめた! やっぱり、私、小説だったら、春樹よりこっちが好きかも。 春樹の小説の主人公って、「意味なんてないさ」というポーズでありながら、そこに過剰な意味をつけたがっているような気がするところがある。 保坂のほうは、始終いろんなことを考えているように書きながら、意味を与えることを必要としてない感じ。 でも、もちろん圧倒的に春樹のほうが売れている。 春樹が今でもあんなに売れているのも私にはちょっと不思議で、 春樹にそれだけの価値がないと思っているわけでは全然なくって、 あんな内省的な作品群にあれだけの共感が集まるなんて、やっぱり、現代の人間って自分探ししてるのかなあみんな、と思う。 それにしても、『草の上の朝食』(および、その前作の『プレーンソング』)での、 仕事というものに対しての意欲のなさ、というより興味のなさ、 会社というものがちっとも描かれていないところは、すごい。すばらしい。 石川忠司の解説も良かった。プラトンの饗宴も読みたくなったし、 あんなに淡白なこの作品の世界を実は支配している、性欲についての言及など、目からウロコ。 ◆ くれなゐの 二尺のびたる ばらの芽の 針やはらかに 春雨の降る ・・・・正岡子規 |
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