moonshine  エミ




2002年07月17日(水)  『スパイダーマン』 素晴らしきB級映画の世界

 はいっ今日は有休でした! はじめての。
 
 昨日の日記で「邦画が好き」なーんて書いた私、今日は思いっきりハリウッド映画を見てまいりました。
「スパイダーマン」でございます。公式サイトはコチラ

 これが結論からいうと、もうもうもう、めちゃくちゃ好きで大好きな映画になりました。「好きすぎて稚拙な表現しかできてないんだ・・・」と理解してくださいね。

 もともと本や音楽に比べると、私の映画への愛情はちょっと小さくて、
 何に対しても流行をチェックするのは好きで目を配りつつも、そのままふーん。と通り過ぎることもしばしばで、
「ハリウッド超大作!!」みたいなやつでみんながワーキャー、見た?エッまだ見てないの?!ていうような映画にはあんまり心をひかれることもなくって、「ハリー・ポッター」も「MI2」も「マトリックス」も「スター・ウォーズ」も、さかのぼれば「タイタニック」も「ボディ・ガード」も見てないしなんか興味もいま一つなんだけど、
「巨額の制作費!」
「米国で『ハリー・ポッター』を抜いた!」
 なんて、いかにもセールス意識バリバリのこの「スパイダーマン」には以前からちょっと関心をもっていたのでした。

 なんでか? それは、雑誌で
“監督のサム・ライミはB級映画の巨匠”
 という記事を見たからなのだった。どうよ?このコピー。なんかワクワクしてきませんか?
 B級と自己認識してそれに徹するB級根性、これも私の愛する羞恥心の世界の一つ。
 莫大な費用を投じて、アメリカ国民の夢を乗せ、ハリー・ポッターにも負けまいと商売っ気もアリアリでつくられた、B級?映画、いいじゃない。いいじゃないの。
「観に行くぞ!」という決め手になったのは、スパイダーマンを演じるのがトビー・マグワイヤだからなんだけどね。そう、私はトビーの大ファンなんです。6月30日の未明から。
 もちろん、期待しててもそれほどでもなかった、ていうものもあるから、ちょっと不安もあったんだけどね。

 フー、長い前フリ。
 そして映画、まずオープニングがかっこいい。お? なんか、B級っぽくない・・・と思わされるが、始まってみたらもう、見事にB級どころが満載。
 もちろん、最新のCGとかVFX?ですよ、ダテにお金はかけてない。でも、でもね、それにも関わらず全編を流れる雰囲気はB級。あ、これは褒めとうっちゃけんね。 

 まず、ヒーローのスパイダーマンと、敵のゴブリンが圧倒的にダサい!
 これももちろん、精巧な技術でつくられたコスチュームや小道具なんだけど・・・とにかく見た目が、片や赤と黒の全身タイツ、片やショッキンググリーンのメタルスーツ(?) 二人が至近距離で戦う姿は、もう「ゴレンジャー」の世界としか思えない。(あ、そもそもそういう映画なんだよね)
 
 場面場面でも、「オイオイ」「それアリ?」続出。
 研究所で絶対に厳しく管理されているはずの特別なクモが、なぜか脱走してて刺されたことでスパイダーマンになっちゃう、内気ぎみの主人公、ピーター。
 刺された翌朝、急にマッチョになってる絵も、まさにB級。
 資金を提供しないとかって言われて、焦って自分が実験台になっちゃう(しかも夜中に助手的な博士と二人きりで・・・)世界有数の科学者兼実業家のノーマン。そして実験失敗ふうになったときの、助手の取り乱しよう(仮にもプロの研究者なんじゃ・・・)。
 映画1本中に4人の男を好きになるヒロインのMJ。
 ゴブリンの、“これぞ古典的悪役!”てなぐあいの、「グワッハッハッ・・・」笑い声。
 ああっ、挙げてるとキリがない・・・。このB級さかげんは、見たら絶対に分かるはず! 見て、笑ってください。あざ笑うんじゃないよ、心から親しみをもって、私は心の中で突っ込んでました。

 叔父さんが死んじゃうエピソードや、友達と三角関係になったり、正体に気づかないまま隣の女の子がスパイダーマンに恋心をいだいたり、けっこう予想も出来るしチープでもある展開なんだけど、飽きさせない。
 というか、私は映画館にて(声は殺して)滂沱の涙を・・・。

 俳優たち。
 トビー・マグワイアがステキでステキで。
 私、有名人とかすぐ夢中になりがちだけど、外国の俳優さんでこの人!ての、あんまりないんだよね。ブラッド・ピットは好きだけど、ああいう、絶世の美男子!てわけじゃなくて。
「サイダーハウス・ルール」でも思ったけど、なんていうか、胸がしめつけられるみたいな好きさかげん。ぐっとくる。
 あの大きくてクルっとしたきれいな目、知的な額に、意志が強そうだけどあどけない感じもする口元。
 ナイーブで、少年らしい勝気さもあって、心がやさしい主人公のピーターにぴったり。
 
 ヒロインのキルスティン・ダンスト、MJをブスかわいく演じてて、すごく感情移入した。キスシーンも良かった。トビー・マグワイアのラブシーンは、童顔なだけに妙にドキドキするけど、何だか懐かしいような気持ちになる。ラブシーンにも特別な香りがしない、というかね。
 敵役の俳優がウィレム・デフォーだって、最初気づかなかった。彼も、年、とったな・・・。今でも私の映画史で5本の指に入る「プラトーン」で、すごくかっこいかったのだ。鏡に向かっての二役、さすがの演技(このシーンのアナログさもB級らしくて好きだった)。

 そしてラスト、ちょっとだけ捩れたこのラストも、私のいたく気に入ったところ。ああ、素晴らしきB級映画の世界! 見終わった後の胸のいっぱいさといったらなかった。ズーン、ズーンと感動が残ってて、しばらくぼんやりするような映画だった。これは今年の私のNO1有力候補だ。(ちなみに去年は、「おもちゃ」←ビデオだけど。)

 
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