| moonshine エミ |
| 2002年03月12日(火) 大人になった寂しさ | ||||
| うちと相互リンクをしてる、ある方のHPのBBS。 私へのレスの中で、 「昔より、(音楽)作品に対するこだわりがなくなってきたんですよ。 『音』に対する感動が、洋楽を聞き始めたころより少なくなってる」 と書いてあって、あー!!と思った。 私の心にぐぐっと刺さった文章を、思い出したのだ。 それは、昨年読んだ、村上春樹のエッセイ集『村上朝日堂の逆襲』。 「趣味の音楽」と題されたエッセイ。 『一般の人間の音楽に対する感受性というのは 二十歳を境にしてどんどん弱まっていく気がする。 もちろん理解力や解析能力は訓練しだいで高められるものだが、 十代のころに感じた、骨までしみとおるような感動というのは 二度と戻ってこない』 まったくシリアスなエッセイではなく、むしろ、淡々とマイペースな日常を綴った本なのだが、 これには参ったね。 いま私は23歳だけど、既に村上氏の言葉にちょっとズズンと来るものがあったんだ。 プロの作家はまことに過不足なく書くもので、引用した文章に付け加えることは殆どない。 そう、とにかく、感じ方は変わっていく。 今の私が鈍いとは思わないんだけど、今だっていろんなものを見たり聞いたりして感動することだっていろいろあるけど、 十八歳の私と同じ感じ方は、もう二度とできないだろう。 それは当たり前のことで、全然悲しむべきことでもないんだろう。 でも、何か、もう取り戻せないものってあるんだなー、と思う。 未熟で愚かで尖ってるけど、みずみずしい感受性。確かにあった。懐かしい。 そうして、また25歳になり、30歳になったら、今現在の自分と同じ感じ方もしないんだろうね。 うん。それでいいんだろうけどね。ちぇ。前を向いて行くしかないんだろうけどね。 |
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