500文字のスポーツコラム(平日更新)
密かにスポーツライターを目指す「でんちゅ」の500字コラムです。

2002年01月30日(水) 応援したい、徳本の“Road to Athens”

 書きたくてなかなか書けずにいた事がある。主人公は法政大学・徳本一善。主将として出場した箱根駅伝で、突然ふくらはぎに肉離れを起こし、棄権を余儀なくされた悲運のランナーだ。
 学生生活の集大成となるはずのレースだった。日本長距離界期待のスター。華々しい実績。そんなものが何の意味も持たなくなるほど残酷な結末に、私の筆も滞った。
 だが先日、あるスポーツ番組で久々に彼の姿を見て安心した。あたかも憑き物が落ちたかのような晴れ晴れとした表情をしていたからだ。聞けば箱根の後、同郷で大学の1年先輩・400mハードルの為末大が、シドニー五輪での転倒をバネに世界選手権でメダルを取った自らの体験を語りつつ徳本を激励。それによって、この悔しさをアテネ五輪にぶつけようと気持ちを切り替える事ができたという。
 茶髪やサングラスに象徴されるギラギラした反骨心は、徳本の持ち味である反面、生き方に力みを生んでいた。だが箱根の挫折がその力みを消し去ったのか、見違えるほどいいカオになっていた。
 25歳で迎えるアテネ。心身ともに成長した新しい徳本が、この大舞台でリベンジを果たす事を期待したい。


躍動感(1/30)

 長嶋茂雄の現役時代の映像を使ったCMが最近よく流れている。私は今でこそ阪神ファンだが、子供の頃は父に連れて行ってもらった神宮球場の3塁側スタンドから、目の前の「サード長嶋」のプレーを見るのが大好きだった。多分それは、プレーが躍動感に満ちていたからだ。彼の前に打球が飛んだ瞬間、私の心は彼と一体化していた。あたかも自分が打球を捌いているかのような錯覚さえ起こさせる魅力があった。それはオーラと呼ぶのに相応しいものだった。CMの中の流れるような動きを見て、久々にその頃の感覚を思い起こした。
 今、これほどまでにエネルギーほとばしるプレーを見せる選手がいるだろうか。観客の視線を釘付けにするオーラを放つ選手がいるだろうか。プロ野球人気低迷の原因が様々に言われているが、小手先の対策ではなく、こうしたシンプルな魅力を取り戻すという原点に立ち返る事こそ、何より必要なのではないだろうか。


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