さて、昨日付記事からの続き。
「
B'z LIVE-GYM 2006 "MONSTER'S GARAGE"」大阪ドーム公演いよいよ開演。以下、当日のセットリスト。
1.ALL-OUT ATTACK
2.juice
(B'zのLIVE-GYMにようこそ!―――ネタ仕込みあり)
3.ピエロ
(MC)
4.ネテモサメテモ
5.ゆるぎないものひとつ
(MC)
6.恋のサマーセッション
7.MVP
8.BAD COMMUNICATION
9.ultra soul
10.雨だれぶるーず
(センターステージへ移動―――5人でMC)
11.HAPPY BIRTHDAY
12.Brotherhood
13.BLOWIN'
(フロントステージへ移動)
14.OCEAN
15.MONSTER
16.衝動
17.愛のバクダン
18.LOVE PHANTOM
19.SPLASH!!
20.明日また陽が昇るなら
−アンコール−
1.ギリギリchop
(MC)
2.RUN
(おつかれー!)
今年のステージはトラスも特に変わったかたちのものではなく、センターステージも開演前にはあるのかないのか判らなかったくらい小さなもので、全体的に地味。ツアーのタイトルアルバム「MONSTER」が地味なのでそれは仕方がないことか。ドカーン!と大きな音や火が出る特効も後半の「MONSTER」までなし。曲のアレンジも少しおとなしめだったように感じた。
やっぱりヴォーカル氏の衣装はアレでナニだった。黒字に赤い柄がびっしり入った、裾が膝まである長い上着に貴○花風髪型。V2(Xではなく)のYOS▲IKIさんかと思うじゃないか。似合ってn(断線)。
2曲目が終わるといつものように御挨拶と「B'zのLIVE-GYMへようこそ!」が入るのだが、毎回「B'zの」で何回かタメる。この日もタメてタメて……ちょっと様子が違う。アリーナで何か異変が起きている様子に「何か変な人がいます」と振り向くヴォーカル氏。オーロラヴィジョンには肌も露わなタンクトップ姿のお姉さんが二人の警備員と揉み合っていいる姿が映る。そうするうちにお姉さんの胸許がオーロラヴィジョンの中にアップに。
お姉さんのタンクトップの胸に書かれている文字は「B'zのLIVE-GYMにようこそ!」
十数年前から思っているのだけど、この人たちの仕込みのやり方はいつもドリフターズっぽい。勿論、これは誉めている。
十数年前からと言えばMCもやはりその頃から先生っぽい。話し方が年々授業っぽくなっていく。流石教育学部卒と言っていいのか。最近は内容まで学校っぽいような気がする。最初のMCでは「知らない曲も出てくるかもしれませんが、何となく歌っているうちに歌えるようになります。声を出して歌うことが大事」と述べていた。中学校に通っているとき、似たようなことを授業で言われた憶えがあるぞ。
「恋のサマーセッション」はタイトルだけでも1980年代風で笑えるというのに、ステージにはこれも1980年代の歌謡番組に登場したスクールメイツ風のダンスお姉さんがポンポンを持って沢山出てきて、振付までスクールメイツ風であまりのアナクロニズムの明らさま加減に笑ってしまって大変だったよ私は。一緒に踊りたかったさ。
客席のみんなが一斉に踊る新しい曲は「
MVP」。両腕でかたちづくる「MVP」の「P」は踊る本人からではなくステージから見て「P」にならなくてはいけないから、曲げて輪っかをつくるのは左腕だ。しかし、この振付は狭い客席では左隣の人の頭に肘鉄砲を喰わせかねなくて危険窮まりない。この危険さのために来年以降も採用されるか否かは定かではなさそう。
「BAD COMMUNICATION」なんて最早や伝説となった曲(つまり以前は定番だった旧い曲)が入るとは思ってもみなかったが、アレンジが地味だった。ステージ上の人ももうくるくるまわるのはやめたようだ。アレは目がまわってステージを踏み外すからな(笑)。
センターステージへの移動は、瞬間移動をやめて久しい。「移動します」と宣言してゆっくり歩いていく。今回もそう。フロントステージを降りて、3塁側からアリーナ中央の通路を通って……つまりアリーナ3塁側54列にすわっている(ライヴ中は立っているけど)私の目の前を通っていくのだ。
目の前数十センチ(1メートルも離れていない)の、手を伸ばせば頭をはたいてやれそうなところをヴォーカル氏が、リーダー氏が歩いていきます……何てことでしょう、ヴォーカル氏を間近で見て確信しましたよ。開演前にトイレ付近で見掛けた男(昨日付当記事参照)はこの人に間違いないですよ!
二度おいしい思いをした私はあんまり有難くなって、ぶんぶん手を振る観客に混じって目の前を通る二人を手を合わせて拝んでしまった。後ろ気味だがいい席だ、アリーナ54列ビバビバ!
センターステージでは座談会風MC。サポートメンバーを含む5人で輪になって話す。開演前に取ったアンケートに書かれたという名目の質問は「好きな関西弁は何ですか」。5人が1人ずつ答えていく。
ここでキーボードの増田氏が挙げた「ようせん」は、彼が言う通りに相当する標準語がなくて困る。乱暴に直接標準語に訳すなら「できない」なのだが、ただ不可能を表しているのではない、ということを増田氏は言いたかったのだと思う。しかし他地方生まれのヴォーカル氏含む3人(1人は外国人)には判らない様子。
不可能を表すのに関西では「できへん」と「ようせん」を使い分ける。無理矢理解説すると、「できへん」は標準語の「できない」。物理的な不可能を断定して言うときに使う。「ようせん」は「自分の能力ではちょっとできません」という意味を含ませるときに使う。
だから、「ほかの人ならやるかもしれないが、自分にはできない」というときにも使うし、やわらかくお断りするときに謙る手段としても使う。……これで他地方の人にも判るだろうか。
3曲センターステージで歌った後、今度は1塁側通路を通ってフロントステージに戻る。しっとりと「OCEAN」。ステージ移動の際に駆け足になったというのに、僅かにも息が乱れていないのが流石。
「OCEAN」が静かに引いて、ステージ上に怪しい影が。現れたのはMONSTERだ!……が、バボットほどの派手さもなく、デザインがイカれている訳でもない巨大なモンスターは、色づかいを含めて何だか地味。
しかしステージ前面ではイントロの「ヘイ!」に合わせて何本もの炎が噴き上がる。ここから―――ここからライヴは急加速していく。15曲め「MONSTER」から18曲め「LOVE PHANTOM」までノンストップなのだ。体力がない人はついていけないぞ。ステージ上の人はもっと疲れるはず……だが、疲れの片鱗も垣間見えない。厄年過ぎてるのにすごいぞ(ヲイ)。
アンコールでのMCがしみた。10代や20代前半の人には何だか説教くさく聞こえたかもしれない。
「みんなからは見えないかもしれないけど、(客席の)あっちこっちからゆらゆらといっぱいモンスターが現れて、一斉にステージに襲ってきて、ボク等はめちゃくちゃにやられて犯されてしまって、とても倖せになってしまいました―――自分から溢れたはげしいものが誰も傷つけることなく誰かを倖せにするなんて、とっても素敵じゃないですか」(要約)
このMCから、「MONSTER」は決してネガティヴなものだけを表しているのではないと知れる。人間を越えた強大な力を持ったもの、それが「MONSTER」。猛烈な勢いで一度に4万人もの観客を愉しませる貴方がたこそが「MONSTER」だ、と私はステージ上の人たちに対して思った。

最後の曲は「RUN」。10年以上前の曲だが色褪せない。ラストに演じられることで味わいが深まったとも思える。タイトル通りに曲の終わり辺りからヴォーカル氏はステージを降りてアリーナを一周走り抜けた。大阪ドームのアリーナと言えば普段は野球場だ。野球場を駆け足で一周しても息が上がっていなかったのは驚異だと言える。恰好いい。だが、その衣装はどうだろう(左図参照)。
いつも何から何までびしっと決まっているのではなく何処か外してしまっているところがB'zのいいところだと私は思っている。
ついでと言うのは違うかもしれないが、雑誌やWebサイトでB'zの来歴を見ると、リーダー氏よりもヴォーカル氏の方が文章量が多い場合が儘ある。ヴォーカル氏は多くの場合奇人とされていて、それだけに特記すべきことが多いのだろう。しかし、その奇人をすんなりと認め受け容れ伸ばしたリーダー氏こそが実はもっと奇人なのだと言えよう。