2005年07月27日(水) 何と言えばよいものやら。
映画を観に行ってきました。「鋼の錬金術師−シャンバラを征く者−」。早々と三月頃に前売券を買ってしまったし、最寄りの映画館では何故か一週間限りの上映で(これはおそらく当市の映画館事情に左右されているから)、前売券を買った劇場での公開が今週限りだと知ったのが今日で、とにかく慌てて観に行ったのです。
いや、何つーか、ねえ?
取り敢えずどんな映画でも「観た記録」として必ず購入することにしているパンフレットが高くて売り子さんに値段を告げられた瞬間に「高!」って声に出しそうでした。パンフレットの価格をこんなにも不当だと感じたのは「FINAL FANTASY」以来でしょうか。「FF」みたいにややっこしい判型のものが出てこなかったのでまだよござんすが。
で、内容。
とっても愉しみな作品だったので、事前情報をすべて遮断して「プレリリースで既に堪能してしまった感」を覚えないように注意していたのですよ。その地味な努力が、すべて裏目に出てしまったような感覚を味わっています。ぼくが期待していたのと、制作側が目指したのとが、そもそも違うベクトルだったのでしょうか。うーん、うーん?と唸りながら100分強。
これはTVシリーズ全51話を通して見た人だと納得できる御話なのかしらん。消化不良の感が拭いきれないのは後半2クールをきちんと見ていなかった怠惰への罰でしょうか。「謎」というよりは「理解しづらい」部分が沢山あって、パンフレットと映画サイトで「うーん?」の部分を補完して、何となく納得できるよーなできないよーな、そんな感じ。
これはつまり、「TVシリーズ全51話DVDBOXを買え」という毎日放送&スクウェア・エニックスその他諸々の思うつぼですか。
「TVシリーズを見ていないけれど原作ファンだし、やっぱり気になるんだけど……」という人は先ず予習してから観ないと「よく判んない」ぞ。
今年に入ってから観に行った映画すべてに当てはまるのだけど、悉く「判らせる描写」がない。観客が知らなければならない情報を軸に物語が進んでいくのに、その情報を知らせる手順が物語の中に組み込まれていない。だから必要なことが判らないままに映画は観客を置いてきぼりにしてどんどん残り上映時間を減らしていく。
観客が「予習」してくることを当てにしている? それとも「予習」は観客がして当たり前のこと? ぼくにしてみるとどの映画も尺に合わない大風呂敷を広げてしまっていて収りきっていないように思える。
やけに画が巧くなかった。機械はセルもCGもよく動いているんだけど、人型(人間その他)がいまひとつアレ。プロポーションチェックしなかったんだろうか、と思うくらい。特にエド(主人公)とハイデリヒくん(ミュンヘン側アル)。どうにも肩幅が狭くてバランスがよくない。単純に、登場回数が多いからこのふたりが殊に気になったのかもしれませんが。
部屋などのパースもときどき妙で(どうやら部屋の狭さに比例)、しかも「ときどき」だから「自分の眼が不調なのかも」とうっかり詐されそうに。
ここ10年くらいのアニメーションってみんな画が「きれいだけど巧くない」から、この作品はまだできがよい方なのかもしれないけれど。
あ、そうそう。途中でぞろぞろ出てくる鎧の群れ。全部モデリングして演算で動かしているんだけど、CG独特のヌルヌルした動きが気持ち悪かったよ。群れだから沢山いたし。下手なホラー映画よりも効いたかも(苦笑)。
セルの「ぎっちょんぎっちょん」した動きの方が鎧らしく思うのはぼくが旧世代だからかなあ。
TVシリーズに出てきた人を余すことなく(少々強引な方法も使って)満遍なく登場させました。そんな感じで、「同じ顔だけど違う人」が沢山出てきて半端に原作を読んだ人とかちょっとだけTVシリーズを見ていた人は混乱するかも。しかも物語の舞台がふたつの世界に跨っていて、時間軸を前後する場面割りもあって更にややこしい。
話が判らなくてもキャラクタ萌えや声萌えができるなら、それはそれで愉しいと思う。ぼくは大佐のエロボイスと鎧アルのほんのりエコー声に萌えたからいいのさ。生アル(アメストリス側生身アル)の加工なし声より鎧アルのほんのりエコー声の方が好きだ。大佐の声はエロ過ぎ。R指定にするべきかも(ヲイ)。
「萌え」で思い出した。腐女子のみなさま大よろこびって感じの台詞が盛り沢山なので、そのテのあなたはぜひどうぞ。視点を変えるとエドは愛されまくりだ。大佐とかハイデリヒくんとかアルとか。大佐の声のエロさ加減がそれを助長しt(昏倒)
あー。
この腐女子視点で見てみると、すんごく愉しい作品だったのかも(笑)。そうか、こうやって愉しむ映画だったのか(違)。「モエ・モーメント」が随所に。―――こーゆーことが判ってしまったぼくはもしかして腐女子要素を多分に含んでいますか(暗澹)。
散々なことを言いたい放題言っていますが、まだ観ていない方、これから御覧になる予定の方に観に行くなとは決して申しません。予備智識さえ充分ならおもしろく観られるのではないかと思います。この作品を御覧になろうという方でファンタジイに昏い方はおられないとは思いますが、もし当てはまるなら下調べは必要です。
差し当たって、「シャンバラ」とは何を意味する語か、どういった背景で用いられるのか、第一次世界大戦終戦後〜第二次世界大戦開戦前のドイツの世相、実世界での錬金術の歴史とファンタジイ世界(作品世界ではなく一般的の)での役割などは予め知っておいた方がよいかと思います。
……ぼくはファンタジイヲタクだからこの辺りについては何とか大丈夫だったけどさ。「何とか」ね。
【今日のJヲタ】
明日土用の丑の日は、もと光GのO沢くんの実家が大忙しなのだろうな。