衛澤のどーでもよさげ。
2005年04月25日(月) 謝り慣れて。

生まれてはじめて旅券の申請をしました。パスポートをつくった訳です。謎の組織に追われているので国外逃亡を企てているのです。というのは判りやすいうそ。秋頃に渡航の予定があるのでさっさと申請しておこうと思い行ってきたのです。

旅券の申請には戸籍謄本もしくは抄本が必要ということで、御役所に行って抄本を発行して貰いました。近頃の当市の窓口お姉さんやちょっと旧い窓口お姉さんは割りと愛想がよいです。ぼくが行ったのが御役所の出張所だったので客が少なくて暇だったから細々と世話を焼いてくれたのかもしれませんが、丁寧に応対してくれました。

でもね、窓口お姉さんたちはちょっと手間取ってました。
「御本人ですよね?」
「この抄本でほんとうに間違いありませんか?」
何度も確認される。戸籍だの住民票だの貰うときはいつもこうだからぼく自身はてんで慣れっこなんだけど、窓口の人は毎回違うから困るよね。「続柄」の欄が「参女」になっているから正しい抄本なのかどうかの確認に戸惑っていたみたい。
スポーツ刈りのおじさんが「参女」だとは思いづらいよな、そりゃ。お察しします。

「すみません、いまのところは戸籍はこうなっているんですよ。訂正のために渡航しないといけないのでパスポートをつくろうと思いまして……今年中に訂正申し立てしますから」
と、あまり要領のよくない説明をして、重ねて「ややっこしくてすみません」とぼくは言った。窓口お姉さんも続柄について訊ねたことに「すみません」を言ってくれた上に「お待たせしてすみませんでした」と頭を下げてくれたので、何だか申し訳ない気持ちになってぼくはもう一度「すみません」と頭を下げた。

窓口お姉さんはちっともいけないことはしていなくて、ぼくも間違ったことはしていなくて、でも互いに「すみません」を交わし合って、あとから考えてみたら何だか奇態だった。
でも、御役所とか病院とか、性別欄の確認が必要な場で担当者の手を煩わせることが申し訳なくて「すみません」と口にすることは、既にぼくのくせになってしまっているんだな。何度も確認されてしまうことよりも、窓口担当の人がスムースに業務をこなすことを妨げてしまうことが、ぼくはいつも心苦しいんだ。
もう直ぐ、もう少しで、他人さまの手を煩わせることもなくなるかと思うと、ほんとうにほっとできそうな気がする。今日申請した旅券はおそらく一回きりしか使わなくて済むだろう。そうであってほしい。


【今日の一度でいいから】
思わず「ぎゃふん」と発音してしまうような経験をしたい。誰か言わせてください。


エンピツユニオン


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