浅間日記

2011年03月03日(木) ベン・ハーの友人

単身上京する。
やや強引に一泊の予定を組んだのは、久しぶりに飲みに行くためだった。

2月は疲弊した。
Hの氷登りに週末をとられ、平日はあたらしい仕事に気力をもっていかれ、
次から次へと押し寄せる業務を前に休むことも許されず、
奴隷船の地下でオールをこぐベン・ハーみたいに暮らしていた。

そして、ベン・ハーのごとく、復活も考えた。

しがらみのない故郷の土地で、家族とかかわりのない古い友達と
好き放題に話をしたいと思う気持ちが嵩じ、周到に計画を練ったのである。



かくして計画は実行された。夕刻からうきうきして小田急線に乗り込む。

下北沢は駅前再開発の計画があり、改札から階段を下りたところには
工事用のゲートが建っていた。
この街も今度来る時には、きっとすっかり姿を変えているのだろう。

10年目を迎えるTさんのバーの様子も少し変わったかもしれない。
顔と名前を覚えていてくれたのが、嬉しかった。

最近どう?の会話が一巡し、なんとなく間が空く。

それぞれがそれぞれに気がすんで、もう自分の持ち場にもどろうという気運になったところで解散。

最後のジュースみたいなカクテルは、非番だったTさんがカウンターに入って作ってくれた。

久しぶりに店を訪れた自分のために、
こんなふうに心を込めてくれる人がいる。
Tさんのカクテルは、しみじみ嬉しかった。

また会おう、と、あてのない別れの挨拶。
こんな時間をそうそうとることができないのは、みな承知している。

友人は家族ほど親密ではないけれど、
友人にしか暖められない心の部分みたいなものも、あるのかもしれない。

2009年03月03日(火) 更地渡しの時代に
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2006年03月03日(金) ひとくぎり
2005年03月03日(木) 低俗の海へ
2004年03月03日(水) 寒の戻り


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