浅間日記

2009年03月02日(月) 卵の作家と、大統領の壁

イスラエル最高の文学賞、エルサレム賞が15日、作家の村上春樹さん(60)に贈られた。エルサレムで開かれた授賞式の記念講演で、村上さんはイスラエルによるパレスチナ自治区ガザへの攻撃に触れ、人間を壊れやすい卵に例えたうえで「私は卵の側に立つ」と述べ、軍事力に訴えるやり方を批判した、というニュース。



オバマ米大統領は24日夜(日本時間25日午前)、連邦議会の上下両院合同本会議で初の施政方針演説を行った。大統領は「我々は再建し、回復する」と強調し、米経済の再建に向けて国民に結束を呼びかけた。オバマ大統領は演説で、「米経済は弱体化し、自信も揺らいでいる。我々は困難で不安定な時代に生きている」と述べ、厳しい現状を率直に認めた。そのうえで、「米国は以前より強くなって現れる」「求められているのは、この国のため力を合わせ、直面する課題に大胆に立ち向かい、未来への責任をもう一度担うことだ」と結束を求めた、というニュース。



先月2月に、二つの対照的なスピーチが、世界中の人の耳目を集めた。

村上氏は、それを述べるには非常に不向きな場面で、その不向きであることを一人で背負いながら、「We must not allow The System to exploit us. We must not allow The System to take on a life of its own. The System did not make us: We made The System.」と、言い切った。

オバマ大統領は、満を持して用意された舞台で、皆の期待に応えるべく「We will rebuild, we will recover, and the United States of America will emerge stronger than before. 」と言った。



どちらが正しく、どちらが間違っているということではない。大統領は大統領のスピーチをして、作家は作家のスピーチをしたということだ。

大切なことは、作家が大統領のスピーチをせず、大統領が作家のスピーチをしないことである。

けれども、自分の心の中にどちらか一つだけ残すことができるとしたら、
私はやはり、村上春樹氏の話した内容を選ぶ。

2006年03月02日(木) 高村光太郎の後ろ道
2005年03月02日(水) 危険4点セット
2004年03月02日(火) 保育士による景気動向指数


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