浅間日記

2008年02月29日(金) 天の計らい

だいぶ暖かくなったので、Aと朝の散歩に出る。

いつものように漫談をしながらツラツラ歩いていたら、
見知らぬ中年の女性に、仲の良い親子ですねと話しかけられる。

彼女が話すまま耳を傾けていると、次第に話は込み入ってきて、
しまいには自分の孫2人が体外受精で授かったという、
聴くほうもドキドキするような話をはじめた。

「嫁が普通に産んだ子じゃない」、とか、「金がかかるが覚悟した」、
というような口さがないことを何度も言うので、見知らぬお嫁さんが可哀想だと思ったが、
この中年女性はとにかく、そういうことをどこかの後腐れのない誰かに言いたいのだと思い、静かにうなづいていた。

そうしたらやはり、どす黒いものを吐き出した後で、
腹の底からパズルの1ピースが飛び出した。
「まあ、授かったんだからね」と。



彼女は、先に散々、命に作為的であったことを口にしているが、
心の奥で、自分の可愛い孫がここにいるのは、
色々やった結果だとしても、どこかで天の計らいを受けている
−無作為の結果−と思っているのである。
少なくとも、そう思いたいと願っている。


人の心は不思議だと思いながら、家に戻る。


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