浅間日記

2005年12月04日(日) 土俵際

Aを連れて、図書館へ行く。
沢山の物語を聞かせる。
予定調和のディズニーではなく、無念な話や悲しい話、そして本当の希望の話を。
Aの、やりきれない現実世界に、物語の錘をつけることで、
ひょっとするとそれは、静かに心の底へ沈んでいくかもしれない。
そう思ったからだ。

Aを連れて、温水プールへ。
そこは市営の小さなプールで、子どもはほとんどいないし、
猛烈な勢いでバタフライをやったりする人もいない。

浮力に身体をあずけて、その感覚を楽しんでいる。
深く潜って、その遮断された世界の中にいる。
強張った身体と心がほどけてきたころに、
Aはやっといい顔で笑った。



他には何もできなくてもいいから、あなたを苦しみから守りたい、
という歌のようにできればいいのだが、
何しろ食っていくためには、Aを苦しみから守る他に色々やらねばならない。
かくしてAとの1日が収まった深夜、この数日でできなかった仕事を片付ける。

こんな大変な時に、今週はまた彼方此方出かけなければならないし、
何本かの仕事で大切な約束をしている。

全てを捨てて一緒に逃げようか、という、場違いな科白がうかぶ。

2004年12月04日(土) 売った覚えのないものを買い取られている話


 < 過去   INDEX  未来 >


ipa [MAIL] [HOMEPAGE]

My追加