浅間日記

2004年06月20日(日) いい塩梅だ

6月に入るとこの辺りの女たちは
とりつかれたように梅の加工に邁進する。

物資の行き届かない山国であった頃の遺産なのか、
梅に限らず、保存食づくりには強迫的な気風さえ感じる。
我が家もこの気運にお相伴すべく、5kgほど仕入れる。

青い梅は、Aのジュース用。
青梅は梅酒が通例だったが、譲歩することにした。
煮沸したビンに青梅と蜂蜜とりんご酢を入れ、
きっちり蓋をする。お楽しみは2ヶ月後。
Aは自分用というのが嬉しいらしく、
始終、中の様子を検査している。

次に、黄色く熟した南高梅を、塩漬けにする。
梅、塩、梅、塩、と順に重ねていく。
最期に全量の四分の一ぐらいの塩で蓋をして、
Hの運動用の鉄アレイを重しに乗せて、完了。

天日干しを開始する土用の日まで、
梅にカビが生えないように、
きれいな梅酢があがってくるようにと心血を注ぐ信州人は、
6月20日の今日現在、相当数存在すると思われる。

こういう季節限定の加工業務は、
日々の暮らしに追われる中で、年や季節のスパンで物事を考え
気持ちを安定させるきっかけになるのだ。

だから、「梅漬けは面倒だけれど、やらないとその年はずっと落ち着かない」
という女たちの会話が、
この街のここそこで聞かれるのである。


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