2014年12月25日(木) |
老いぼれ犬のセレナーデ |
今朝の風景。
冬の朝。
信号待ちの車の中。 ふと見ると、一匹の野良犬が道路の反対側からこちらに渡ろうとしている。
しきりに地べたをかぎまわりつつ、ゆっくりと対向車線を渡っている。
2車線分渡った真ん中には花壇になっている中央分離帯。 こちら側の車線は渋滞一歩手前の車の列。
あまりにゆったりとした足取り。 その犬は、左の後ろ足が少し動きにくい様で。
もうすぐ信号が変わるはず、私は心配になる。
斜め前の車で犬の様子が見えなくなり、一層あせる。
やっと見えた犬は、何かを察知したのか、足早に歩道まで駆け抜けた。
そしてまた、地べたをしきりにかぎまわる。 あまりに熱心で、ゆったりと向かってくる自転車にも気づいていない。
すぐそばまでやってきた自転車に驚き、犬は飛び上がる。 後ろ足での着地がうまくいかずよろけて、踏ん張る。
そしてまた、熱心に地べたをかぎまわる。 一つ所を熱心にかいでいる。
そして、ついさっきまでいたあちら側を少し不安げに見つめた。
もしかして、探している匂いが途切れたのか。
しかし、思い直したかのように犬はまた地べたをかぎまわる。 尻尾をぴんとあげて、犬は私に背を向け、地べたをかぎまわりながら、足を引きづりながら、向こうへ行った。
誰かを探しているのか。 何かを追っているのか。
もしかしたら、それさえも、もう忘れているかもしれないけど。
「老いぼれ犬のセレナーデ」 WORDS BY 中納良恵、MUSIC BY 森雅樹、中納良恵、PLAY BY EGO-WRAPPIN
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