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セキララな思考。
安井 文
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2010年07月26日(月)
僕の踵はなかなか減らない

すっかり夏になった。
いい季節ではあるけれど、なんだか暑くて調子が出ない毎日である。
GW明けにのどを悪くしてからこっち体中の老化が一気に進んだんじゃないかと思うくらい・・・不調だ〜!

そんな私の今一番の楽しみは小説を読むことなんだけど、図書館をうまく利用できないので7月は書籍代がしこたま嵩んでいる。
こんなこといいわきゃないんだけど、とまらないのだ〜!

活字全般ではなく、小説というところがポイントで、まるで長編漫画を読んでいるような感覚で文章をさらさら読めてしまうという経験は、中学生以来である。
寝る間も惜しんで読み続けていて、まるで、読書し始めの中学生のようなテイラクである。

あまりに夢中になりすぎて、若干世の中から取り残されているような気分の今日この頃だったりもする。

何がそんなに私を夢中にさせているかというと、すでに大ベストセラー作家である海堂尊さんの小説なんだなあ。




きっかけは、春クールで放送されていたテレビドラマ「ジェネラルルージュの凱旋」だった。

これは「チーム・バチスタの栄光」というすでに放送されていたドラマの続編に当たる作品で、こちらのほうはまるで興味もわかなかったので見なかったし、その続編も当然、見る気はなかった。
「ジェネラルルージュの凱旋」には、あんまりドラマには出演していなかった西島秀俊さんがかっこいい医者で出演している。
こういう当たり前ないい男は私の好物なので、"西島秀俊の白衣"をとりあえず見てみようというほんの軽い気持ちで第1話を見てしまった。
白衣を着ててきぱきと指示を出す姿がそりゃかっこいいのよ!

・・・それがそもそもの始まりなのである。

私は極端に血が苦手で、心臓の規則正しい鼓動を聞くと気分が悪くなるという変な癖がある。
そんなわけで、手術シーンなどがたくさん出てくる医療物のドラマは昔から敬遠してきた。
だから、今回も見るつもりはなかった。

ただし、ひとつだけ医療もので結構楽しんでみていた作品があった。
それはアメリカのドラマ「ER」である。
緊急救命室を舞台に繰り広げられる人間ドラマで、そのテンポのよさについつい引き込まれたものだった。

「ジェネラルルージュの凱旋」は、とある大学病院の救急救命センターが舞台で「ER」のようにばだばだと人が行きかってくるくると状況が変わる。
西島秀俊さん演じる速水医師のわがまま振りがとにかく強烈で、周りの医者はみんな振り回されている。
しかも、運ばれてくる患者の状態がこれまた複雑で、毎回原因を突き止めるのにえらい時間がかかっていた。

ドラマを中盤まで見て、最後が知りたくなってしまったのですでにDVD化されていた同名作品を借りてみてしまったのだが、展開が微妙に違っていて、まるで参考にならなかった。
映画版の速水医師は堺雅人さんが演じていて、これまたまったく違ったイメージで楽しませてくれた。
結局、ドラマ版は何だがよくわからない終わり方をしたので消化不良を起こしてしまい・・・とうとう原作に手を出してしまった。

そしてそれがすべての始まりなのだ〜。

ちょっと調べてみたら、海堂尊さんはかなりの人気作家で、作品はシリーズ化されているようだった。
そんなわけで、いきなり「ジェネラル・・・」を読んでわかるのだろうかと若干不安があったのだけど、ええいままよ〜!ととりあえず、読み始めた。
ひとたびページをめくるとあっという間に引き込まれていった。

海堂さんの文章はとても読みやすい。
難しい専門的な説明や複雑な手術シーンもさくさくさくっと表現してあり、適度に読み飛ばしをしても問題ない。
すでにテレビドラマで情景を見ているので、建物の中や状況も想像しやすいし、なにより、人物設定がとてもうまいのでそちらに引き込まれてしまった。

原作の速水医師は、西島秀俊さんのほうに軍配が上がった。
堺雅人さんももちろんよかったけれど、"原作の"という意味で言えば、西島さんの持つ雰囲気のほうが近いと私は思った。
シリーズのメインキャラクターである田口医師と厚生労働省の役人である白鳥氏については、映画版もドラマ版もしっくりこなくて、いまだにイメージがころころ変わってしまう。

なにより、ドラマにも映画にもなかったかっこよさが原作にはある。
中盤で、速水医師が吼えまくる会議のくだりがあるのだけど、原作の緊迫感はすごいものがあった。
それを読んでドラマ版を見ると、中途半端にカットしてあるのがわかって、逆に腹が立ってしまったんだな。
そのシーンでの西島秀俊さんの演技は原作の速水医師を髣髴とさせるものがあっただけに、とても残念に感じた。

もちろん、原作と比べてドラマ、映画がつまらなかったとは言わない。
ドラマはドラマの盛り上がりを考えてあったし、映画でもそれは同じなので、それぞれは違う作品だと思っている。
その中で私は原作の世界観が一番好きだなというだけのことなんだ。

あっという間に「ジェネラル・・・」を読んでしまって、次は同時進行で事件が起こる「ナイチンゲールの沈黙」、速水医師の過去を描いた「ジェネラルルージュの伝説」それから、「ジェネラル・・・凱旋」でチラッと出てきた人物のその後が気になったので「螺鈿迷宮」を読み、落ち着いたところで(!)「チーム・バチスタの栄光」に戻り・・・あっという間にこれだけを読み終えた。その間2週間である。

読み始めると、それぞれの作品はひとつの大きな流れの中にあることがわかってきた。
ある作品で主役を務めた登場人物が別の作品では、通りすがりで出てきたり、ある作品で過去の出来事として語られる物語が、別の作品の物語だったり・・・とにかく枝葉がどんどん広がって、やめられないのだ!

「チーム・バチスタの栄光」を読んでいったん20年前の話「ブラックペアン1988」に飛んで、そのちょっと後の「ブレイズメス1990」に進んで、「ジェネラル・・・」より若干未来の「極北クレイマー」を今読んでいる最中である。

すでに文庫化されている作品でまだ読んでいない作品は「イノセント・ゲリラの祝祭」「ジーン・ワルツ」だけとなってしまい、自分なりの物語の追い方で読んでいった結果、なんと、文庫本派のこの私が単行本にまで手を出しているという異常事態となっている。

そして、あまりに足早に読み進めたため人物の把握が追いつかなくなってきたので、いったんすでによん差作品を読み直すことにしようかなあと思案中。
せっかくなので、図書館で改定前の単行本で読もうかな後も思ったりしている。

・・・う〜ん、海堂尊ファンでなければわからないような話の展開になっちゃったなあ。

とまあ、とにかく海堂尊作品にはまってます。

楽しいからいいっちゃいいんだけどねえ。



「僕の踵はなかなか減らない」
WORDS & MUSIC PLAY BY 斎藤和義