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2001年11月16日(金) イマジン

寝る前にたいていニュースを見る。
お気に入りのニュース番組は「今日の出来事」

その中に”今日の特集”というコーナーがあるんだけど、そこですごい話を知った。

東京に”こころおと”という名前のバンドがいるんだって。
彼らは全部で13人いて、何人かボーカルがいるんだけど、その中の2人は聴覚障害を持っているのだそうだ。
彼らのライブには、健常者の音楽ファンと聴覚障害を持つ音楽ファンとが集まる。
ボーカルは、手話を交えて歌う。

なんだかすごく心が震えた。

聴覚障害の人には、ボーカルの歌うメロディーは聴こえない。
だけどねえ、リズムは感じることが出来るんだ。
リズムの強弱だって!

今、人気のある日本の曲を中心に演奏するそうだけど、それがかなり大変な作業らしい。歌詞を手話に変換する作業はとても骨が折れるようだ。

言葉をそのまま手話に出来るわけではないから。

手の動きと歌のスピードがうまくかみ合わなくて、直訳できないこともしばしばあるようで、その都度、みんなで議論しながら手話の歌詞を作っていく。

リーダーは今年の春大学を卒業し、手話通訳士をしている25歳の男性。
彼の両親は2人とも聴覚障害で、彼は、喋る言葉よりも手話を先に覚えたという。
TVから音が出ることも最初は知らなかったんだそうだ。

手話というと、ボランティア・福祉・・・っていう連想をみんながするけど、そうじゃなく手話は言葉なんだっていうようなことを彼は喋ってた。
1人の手話通訳士がいるよりも1万人の”かたこと手話”が出来る人がいれば、みんなもっと普通に暮らせるのになって。

ライブの後、聴覚障害を持つ女の子が顔を上気させて「楽しかった!すごく!歌の意味もよく分かったし。また来たい!」

音楽ってすごいね。

私はよく想像する。

私の耳が音を聞き取れなくなったらどうなってしまうだろう?
私の目が見えなくなったらどうなってしまうだろう?
歌えなくなってしまったら?

・・・そんなこと考えるなって言う人もいる。

そうだろうか?

私はいつも思うんだよね。
想像することは悪いことじゃない。
想像することで、今自分が考えていることと違うものが見えてくることがあるんじゃないかなって。
子供と話をする時、その想像力の深さに驚いてしまうことがある。
自分がどれだけ一方向しか見えなくなっているかを知らされてしまうんだよね。
そんな大人になりたくないって思ってるのにさ。

今、世界で起きている現実は、想像するだけじゃよくならないかもしれない。
だけど、その結果。
何かをやめようと思ったり始めようと思ったり出来れば、どんなに小さくても世界は動きはじめると思う。

この話は、この世界の片隅で今日も動いているほんの小さな話。
偶然、私が知るところとなった。

そんな話は、世界中探せばもっとたくさんあるだろう。
その程度のもの。
だけど、私の心に響いた。

それが一番大事な事だ。

音楽はすばらしい!
だれでもすぐ手に入れることが出来るこのすばらしいものをもっとたくさんの人に知らせたい。

”こころおと”のリーダーはそう言った。


「Imagine」
MUSIC & WORDS & PLAY BY ジョン・レノン


安井 文 |MAIL