昨年7月19日未明 前日から降り続いた大雨による河川の氾濫で夫の愛車は見事に水没した。
事務所も水没し、応接セットもテレビも家電もテーブルも備品もとにかくあらゆるものがあっというまに泥水に浸かってしまった。
復旧はそうとうな時間と労力と金がかかった。
そして これらは全て自分たちだけで始末せねばならなかった。
誰が助けてくれるわけでない。 地元テレビや新聞はオイシイ絵だけ撮ればさっさと退散。 だいたい警報が遅いんだ、御笠川の工事が被害を拡大させたんだと住民が騒いだところで とどのつまりは誰に責任の所在があるわけでなし そんな水没するような場所に事務所を構えた当方の いわゆる自己責任って奴でしかないわけで。
やがて博多駅周辺の人々は 黙々と復旧作業を続けてなんとか日常を取り戻した。
できればもうこんなめにあわずに済めばいいと祈りつつ。 それでもまたこんなめにあうやもしれぬと恐れつつ 水害も手厚く保障してもらえる保険に入り直したりするのが関の山で。
そして今日の台風23号。 福岡は直撃していない。 だけど 近年最悪の台風被害。 各地で相次ぐ 堤防決壊。 家屋全壊。
幼い頃、蟻の巣に泥水を流し込んだっけ。 大きく張られた蜘蛛の巣を 棒で巻き取ってしまったっけ。
それは子供のいたずら。
台風、地震、隕石
それは単に 自然のいたずら。
私に巣を巻き取られた蜘蛛は 再び初めから巣を張り直しはじめた。
私に泥水を流し込まれた蟻の巣は 何十匹もの犠牲を出したにもかかわらず 水がひくと再び巣の修復をはじめていた。
人も同じか。 それが「生きる」ということか。
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