死にたいなぁ。
母が最近しきりにそう呟くようになった。
まあ、食っちゃ寝の生活が年単位で続いているのだから、
倦んでもくるだろう。
母さん、ご飯よ。
母さん、食後の薬飲んで。
母さん、ご飯食べてすぐ寝たらあかんて。
母さん、リハビリの時間やよ。
母さん、お風呂入って。
母さん、睡眠薬飲んだ?
あくまで機械的に繰り返される日常。
正直、私もしんどい。
でも此処で私が崩れてしまうと、親子で無理心中
・・・というコトにもなりかねないので、
何回目かの「死にたい。」を、運転中に聞かされた時に
車をコンビニに停めて、I病院に電話した。
すみません、そちらでお世話になっている○○(←本名。)です。
母の精神状態がちょっと思わしくないので、
いつもの予約よりも先に診療をお願いしたいのですが。
はあ、いつもはふたりで一緒に受診しているのですが、
母が「死にたい」とか言うようになったので、
母だけなるべく早く先生に実際に診ていただきたいんです。
ご無理言ってすみません。
あ〜、そうですね、じゃあ、〇日の10時20分に。
よろしくお願いいたします。はい、失礼いたします。
・・・これでいい?
スマホをデニムパンツのポケットにしまいながら、
助手席の母に聞くと、黙って頷く。
素直に構ってと言えない。
言えないから、あちこちでフラフラして倒れてみたり、
壊れていいものをわざと取り落して、今ね、急に手の力が抜けたの。
とか、書きはじめたら一晩使ってしまう程の、ミュンヒハウゼン症候群。
一応、うつ病のお墨付きはもらっているので、尚、性質が悪い。
今度は睡眠薬を変えてもらうか、精神安定剤を変えるか。
月一回の筋肉注射では抗うつ剤の効きが悪くなっているのでは。
母もそろそろ朝昼晩の薬の服用に慣れてきたようだから、
もうちょっと強めの薬を経口投与で良いのではないか。
考えながら、母を助手席に乗せてあちこち走らせる。
死にたいんだってサ。
昔、自分の娘を殺したことも忘れて、
被害者になりたいんだってさ。
というワケで、近々、母をI病院に連れて行きます。
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