電話を切る時は、もう、声なんか出なかった。
声の代わりに涙ばっかり出た。
電話が切れたら、涙は「溢れる」を通り越して噴き出した。
泣いて泣いて泣いて、あまりの涙の勢いに泣くだけでは到底苦しくて、
追いつかなくて嗚咽が漏れた。やがてはそれでも足りずに叫び声を上げた。
どれくらい時間が経ったのか、次に顔を上げた時は涙は止まっていた。
何も感じなかった。膨張して胸を苦しくさせていた何かが萎んだように。
「涙が枯れる」という言葉があるが、本当に躊躇も戸惑いもなしに
泣いて、涙が流れて流れて流れつくして、そうすると枯れるのは
涙の根源になる想いの方なんじゃないかと思う。
水分をすっかり奪われて萎んだそれはやがて乾燥して、形が崩れて
さらさらと砂のようにどこかへ昇華されていくんだろう。
現に私の心の中で膨張して、涙を流させていた「何か」はすでに
火が燃え盛るように泣いていたあの時とは、すっかり形を変えている。
お願い。
お願い。
お願いだから。
幸せになってね。
今でも大好きだから。
幸せになってね。
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