某突起名の人生つぶやき日記

某突起名の独り言。
あくまで独り言ですので・・・まぁ、お気になさらず。

2002年11月03日(日) 普通。












やっている事はとても悪いが

悪いヤツじゃない。

そういう友人が何人か居て。










彼らは俗に言う「健全でない家庭」や

一般的に言う「劣悪な環境」で育ち、

その中で親や周囲の状況に心乱され、発育を阻まれ、

存在価値を否定されながらも(何人かは死んでしまったが)生き抜いてきた。





その結果としてある者は自己肯定感を失い、

ある者は生きるバイタリティを失い、

ある者は将来への展望・希望を失い、

ある者は通常の常識観を失い、

ある者は他者への優しさや想像力を失いながら。

それでも何処か憎めない。憎み切れない何かを持って

今なお私と同じ世界に存在し続けている。










彼らは大人になった今も心の平穏を誰よりも望みながら

何度も現状から逃れる為の足をもがれ

何度も現状を打開する為の翼を奪われ

逃げ出すことも叶わずにその渦中にいる者がほとんどだ。










彼らは「普通の生活」を切望している。





「普通の生活」とは?と問われれば

答える者が憧れる「普通」の定義によってその答えは様々だろう。





けれど多分、誰よりも、

普通に爽やかに朝起きて家族と朝の挨拶を交わし、

普通に朝食を摂って会社に出勤して

普通に仕事をして一日過ごし、

普通に真っ直ぐ帰ったり、仕事仲間と呑んで帰ったりして、

普通に一日の終わりをゆったりと家族と談笑して過ごし、

普通に程よい疲労を感じながら床に就く。





そんな「普通の生活」を誰よりも切望している。










彼らは良くも悪くも自分が普通になれるコトを切望している。





何を以って普通とするか。

何を以って正しいと言うか。

それは「普通」の人生を歩んでいれば

多少の誤差はあれども似通ってくるのだろうが、

彼らの場合は

彼らの生き抜く世界には

健全な秩序も、本当の意味で正しい基準も、

守ってくれる大人も、存在しなくて。

だから、簡単に何が普通かなんて言えないけれど。










彼らは自分だけの良心を

自分だけの信念を

自分だけの目標を

それだけを頼りにして生きている。






親に愛される「普通の子」を見て

何故自分は愛されないのか疑問を感じながら。

親に当然のように養われる「普通の子」を見て

何故自分は今の親の元に生まれてしまったのか理不尽に思いながら。





「―――――なのが『普通』でしょう?」

周囲のそんな言葉に

イヤという程自分が「特異」である事を思い知らされながら。

イヤという程自分の親が「特異」である事を噛み締めながら。





途轍もなく優しく、残酷に。

途轍もなく悲しく、明るく。

途轍もなく強く、弱く。










彼らは誰よりも平和である幸せを知っている。

だからこそ「普通」に焦がれるのだ。





何処かの誰かが何不自由無く手に入れてきた

心穏やかな「普通の生活」は

憧れの対象であり、憎しみの対象。

何処かの誰かが無いモノねだりに手に入れたがっている

ドラマのような「特別な生活」は

諦めの対象であり、憎しみの対象。















こうやってこんな事を他人事のように綴っている私も、

そもそもは「普通に憧れる子供」のひとりだった。

「不幸な状況」はひとりひとりが違ったけれど

同類なのが分かったから、彼らと仲良くなれた。





親の手からようやく逃れかけている今でこそ

自分が不幸だったコトなんて無いよと、

そんなの被害妄想だよと笑っていられるが、

心が弱いばっかりに不幸に呑まれていた昔は

口を開けばそうした「普通」への羨望や憧憬の裏返しの

酷い言動の限りを尽くしていて、それで何人もの人を傷つけた。





しかし昔と比べて比較的平穏な生活を手に入れた今ですらも

疲れて心が弱くなると闇に取り込まれるように

自分の羽根をもぐ誰か手の存在を感じ

自分の将来がとてつもなく絶望に満ちたモノに錯覚し

人生を歩んでいくのがどうしようもなく憂鬱になる事がある。





けれど、今も虐げられ罵られ続け、

飛び立とうとする度に羽根をもがれ、

無力感・絶望感に苛まれ、何度も死を覚悟しながら

それでも歯を食いしばって地を這うように生き続ける友人たちの苦悩は

こんな軽いモノじゃないだろう。










「こんな状況をいつかは笑って思い出せる日が来るさ。」

とは、つい最近まで鬱状態だった私に

誰かさんが言った言葉だが。





私だけじゃない。

今なお羽根をもがれ続けている仲間達にも、この言葉を。





「普通」に焦がれ、「平和」に焦がれ、

自分の力や良心を信じて、

夢を、平穏を追い続けたその先に

彼らの望む生活が待っている事を祈る。










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またひとり訃報が届いたので弔い代わりにこの日記を。
姉の結納前の親族顔合わせの日にこんな話を書くことになるとは。

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