TVゲームが嫌いだ。
ゲーム自体は好きだ。 うっかり1時間2時間が平気で過ぎるほど夢中になる。 大好きだが、主人がプレステ系を始めると、TVを占領されてしまうのだ。 最近は見たい番組自体が減ったから良いが、ニュースなどを今!今見たいの!という時は困る。 震災後は主人のゲーム熱も冷めたようで、やれやれと思っていたが、いつの間にか新しいソフト(我が家において新しいという意味で、世間的には全く新しくない中古品)を買っていた。 しかも我が家のコントローラーでは動かないと知って、新しいコントローラーまで。 ……まあいいけれどね、稼いでいるのは主人だから。
今日はコントローラーが届いて、早速新しいゲームをやっていた。 私がトイレから戻って来ると、彼が言った。 「シオン、今何か言った?」 「言ってないよ。そもそもこの部屋にいなかったじゃん」 「ふーん……」 あーまた何か聞こえたのか。 言いたくなさそうだったが、質してみると、 「後ろで誰かが『死んでいいよ』って言った」 だそうで。 女の声? 子供の声? と重ねて訊いたが、わからないと言う。 またかよ……また何かいるのかこの部屋に。 しかし見えないものは仕方が無いので、私はまた家事に、主人はゲームに戻った。 そしたらほどなく、 「死んでいいよ」 と。今度は私にも聞こえた。 「これだー!」 とTVを指差す2人。 そう、ゲームの声であった……。 「何が『後ろから聞こえた』だよ。思いっきり正面じゃねーか」 「あー良かったー」 泣きそうな顔の主人であった。
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