| 2011年08月09日(火) |
暴走する善意に振り回された高田の松 |
新聞はさっぱり見ていないし、ネットのニュースも偏ったものしか読まないので、「陸前高田の松を大文字送り火に」という話が進んでいた事は、京都から断られた事がニュースになって初めて知った。
一度は大文字に引き受けたものの、放射性物質の拡散が心配というクレームを受けて中止になって、送り火用の松は結局、陸前高田に戻って来てそこで燃やされたという。 陸前高田市が京都に押し付けたのならわざわざ余所に頼む高田がおかしいし、是非うちでと京都が名乗り出たのなら土壇場で降りる京都がどうかしている。 一体どうしてこんな事になったのかと思ったら、そもそも言いだしっぺは「大分エコクラブ」なんだそうで。 詳しい事は追々出て来るだろうが、現時点でのネット情報を掻き集めて纏めると、ボランティアで現地入りした大分人が、この松を薪にしてメッセージを書き込んで京都の大文字焼きにしたら素敵!と考え付いたらしい。 ……ごめん、その発想が判らない。 正直、その話を知って脱力した。 そして馬鹿じゃねーのという怒りが沸々と。
結局、京都も陸前高田も被害者だったのだ。 余所者が余計なお節介を焼いたせいで、話が拗れたようである。 TVのニュースでは、輸送費だけ無駄にして陸前高田に戻って来た松が燃やされるのを見た高田の人が、京都の事を恨みがましく言っていたが、正確な情報が伝わらない限り、この人は一生京都を嫌いなままだろう。 そしてマスコミは多分報道しない。 そもそもは個人ボランティアの善意から出た話だったのだ。下手すりゃ個人攻撃になる。 それはそれで仕方無いが、このままでは双方に禍根を残すだろう。マスコミが駄目ならネットででも、何とか正確な顛末を知って欲しいと思う。 放射線に過敏な反応を示した一部の京都人が悪いという意見もあるが、過剰に反応するその気持ちは良く解るから私は責めない。 幾ら美味しそうでも、安くなったとしても、今年の福島産あかつきは食べたくないもん。
送り返された高田の松だが、メッセージを書き写して京都の送り火に使うと聞いた。 薪本体が駄目ならせめて書き写すだけでも、という気持ちは解るが、それこそ労力の無駄である。 もう陸前高田の人の思いは高田で燃やされて完結したのだから、それで良いではないか。 それにしても、無駄の多い事件であった。 馬鹿のせいで無駄が出るのか、いや、そもそも馬鹿自体が無駄な存在か。 知らない土地で燃やされずに、高田松原の松が故郷で燃やされて良かった、と思うしかない。
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