我が家では毎年、仲人さんにお中元とお歳暮を贈っている。 今回は主人がネットで見繕ったものを送った。 私よりも彼の方が鼻が利くので。
以前、私が選んで失敗しかけた事があったのだ。 JALUXのカタログを見て、とても惹かれた商品があった。 それは、北坂たまごのプリン。
これがとても美味しそうに見えたので、 「これにしようよ」 と主人に提案すると、彼は難色を示した。 「どうかなあ。こっちの方がいいと思うけれど」 と、彼は別の商品を贈りたがった。 仲人さんは主人の元上司なので、最終決定権は主人にあると思い、私は譲歩して彼の推す品物を贈った。 しかしあのプリン、どうしても食べてみたい。 「じゃあさ、あれはうち用に買おうよ!」 と半ば強引に取り寄せる事にした。 いちいち煩い事は言わない主人なので、シオンがそんなに言うならいいよ、とあっさり買ってくれた。 家に届いた日に早速、夕食後のデザートに開封した。 殻を剥いてカラメル・シロップを掛け、わくわくしながら口に運んだ。 「…………」 無言になる2人。 あれ? 「あんまり美味しくないんですけれど……」 悪い意味で期待を裏切られて呆然とする私。 一方主人は、 「これさ、中はただの卵だから、プリン自体には味が付いていないんだよ。味はキャラメルだけに頼っている訳だから、微妙なんだよね」 と冷静に分析していた。 この時の私の落胆振りと来たら、思い出したくないぐらいだ。 だって安くない物をわざわざ通販で取り寄せて、このざまだよ? 唯一の救いは、仲人さんに贈らなくて良かったという事だろうか。 主人の言う通りにしておいて、本当に良かったと思った。
残りのたまごは到底食べる気になれず、翌日主人に職場に持って行って貰った。 食べてくれた同僚達の評価も微妙だったようで、「美味しい」という言葉は終ぞ聞かれず、 「珍しい物を有難う」 というコメントが主流だったそうである。
それなのに、このまるごとプリン、カタログは相変わらず「人気商品」と銘打っている。 私のように、物珍しくて買ってしまう人はいるかも知れないが、リピーターは多くないような気がする。 何でまだこれが売れているんだ……と苦虫を噛み潰す思いでカタログを見ていたら、「※本体には甘みを加えておりません。シロップをかけて、お召し上がりください」と書いてあった。 以前はこの一文は無かった筈。 多分、私のように期待を裏切られた客が苦情を言ったのだろう事は、想像に難くない。 流石に私はそんな事でクレーム入れたりしなかったけれど。 一寸考えたら判る筈じゃん、丸ごとの卵の中身にどうやって味を付けるのだと。 まあ、食べるまで気付かなかった私もかなり馬鹿だけれどさ……。
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