電話が鳴った。 実家の父が逮捕されたと、母が電話の向こうでうろたえている。 また交通事故でも起こしたの?と訊くと、そうではなくて、職場に研修に来ていた妙齢の女性に、セクハラを働いたのだと言う。 証拠もあり、本人も罪を認めていて、これから裁判になるらしい。 それを聞いて、頭がくらくらした。 自分の娘よりも若い女の子に、一体何をやっとるんだ。 逮捕されたと言う事は、強制猥褻か? 示談にしろ裁判にしろ、被害者や弁護士にがっぽり金を持って行かれるのか……と思うと、目の前が真っ暗になった。 よくも、馬鹿な事を仕出かしてくれたものだ。 腹が立って仕方が無い。 怒りを抑え切れない私は、父とは親子の縁を切る、もう2度とそっちの敷居は跨がないと父に伝えてくれ、と母に言った。
目が覚めると、窓の外は薄明るかった。 昨夜から調子の悪かったお腹が、パンパンに張っていたが、夢で良かったと心底思った。 トイレから戻って、寝ている主人を無理矢理起こし、嫌な夢を見たの〜と泣き付いた。 いつもの事だが、こうして書いてみると、安眠を妨害されて夢の内容を聞かされる彼は可哀相だな……。
一応、実家には電話して、注意を促しておいた方が良いだろうか。 主人に相談すると、要らぬお世話だから止めておけ、と言われた。 うちの父はそんなに馬鹿ではないと思いたいが、それでもやはり心配だから電話しようかな〜と迷っていると、 「シオンの勘は、当たった験しが無い」 と言われた。 うむ……その通りなんだけどな。
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