天上天下唯我独尊

2007年03月15日(木) あり得ないスープ・スパゲティ

今日の晩御飯は、主人が作ってくれたオムライスだった。
私が作るよりも早いし美味しいし。
鶏肉の入ったケチャップ味のご飯に、ふわふわの卵。
食べながら、
「そうよね、これが正しいオムライスよね……」
と思った。
では、正しくないオムライスとは?

先日、就職を控えた愚妹の入居先を探した時の話。
愚妹ドビーと2人、不動産屋を探して車を走らせていると、比較的新しくて綺麗な建物の食事処を見付けた。
「ねえねえ、あのお店、何となく美味しそうじゃない?」
「いいね。不動産屋の帰りに、あそこでお昼にしようか」
まだお昼前だったのでその時は素通りしたが、不動産屋で入居先を決めて戻った頃には、13時半を過ぎていた。

閉店ガラガラ。

……ランチ・タイムは14時までじゃなかったのか。
がっかりしたが、かなりお腹が減っていた我々は、仕方なく、他のお店を探した。
しかし不慣れな土地で、どこに何のお店があってどのお店が美味しいのか、全く情報が無い。
街の中心部に行き、暫くうろうろしてみるも、腹が減り過ぎて、全く勘が働かない。
一応百貨店のレストランなら、そう当たり外れも無いだろうと考えた我々は、地元百貨店(一応スーパーではないらしい)の最上階に行った。

しかし、田舎の百貨店を舐めてはいけない。
14時過ぎでも営業中だったが、客が誰もいないのだ。
嫌な予感がした。
だが、背に腹はかえられない。現に、背中とお腹がくっ付きそうなほど、腹が減っているのだ。
エプロンをかけたおばちゃんが、水とお品書きを出してくれた。
決めるまでに余り時間もかけず、私はオムライスを、妹は海鮮スープ・スパゲティを注文した。
水を飲みながら、店内を見渡す。
店の中央には「幸福の木」系の観葉植物が纏めて置いてあり、その天辺には、くまのプーさんとハローキティが縛り付けられて、仲良く鎮座している。
この微妙なセンスでは、やはり味も期待出来ないか……と待っていると、私のオムライスが来た。
腹が減っているので先に食べるも、お世辞にも美味しいとは言い難い。寧ろ、歯に衣着せずに言ってしまうと、こんなに不味いオムライスは食べた事は無いというぐらい不味い。
決して料理上手ではない私が作った方が、まだなんぼかマシである。
何がこんなに不味いのだろう。ケチャップ?
カゴメやデルモンテなら、こんなに不味くは無い筈。どこのメーカーだ?
しかも卵がちっともふんわりしていない。ただの焼き卵だ。
妹にも食べさせてみたが、私ほどの拒否反応は示さなかった。
主人のお蔭で、私の舌もだいぶ肥えたらしい。(肥えたのは舌だけじゃないけどさ)

妹の頼んだ物も、じきに来た。
しかしおばちゃんが運んで来たのは、洋風丼と言うか、陶器のボウル。
そして何故か、スプーンとお箸が付いている……フォークじゃなくてお箸?
スープスパはお皿に入っているもの、という固定観念を持っていた私は、ここでまた度肝を抜かれた。
そして更に驚くべき事に、ボウルの中に入っていたのは、キャベツ、烏賊、海老、鶉の卵……しかもスープにはとろみがついている。
「……ドビー、アンタ何を注文したんだっけ?」
「海鮮スープ・スパゲティ……」
「でもさ、これ、どう見ても八宝菜だよね? その麺、パスタじゃなくて饂飩なんじゃ?」
妹は、麺を箸でつるつると食べた。
「違う。麺は饂飩じゃなくてスパゲティだ。茹で過ぎて饂飩みたいになってるけど」
「海鮮もスパゲティも入っているし、一応スープだけれど、でもこれはスープスパじゃないよね……」
空腹を満たすために食べたが、ある程度腹に入ってしまうとそれ以上は箸が進まず、一抹の罪悪感を感じながらも、私はオムライスを残したのだった。
驚いた事に、妹は八宝菜スパを完食していたが。

勿論ちゃんとお金は払ったが、何だか割り切れない思いで、店を後にしたのだった。


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