天上天下唯我独尊

2007年03月08日(木) 我が恋は成就せり

恋の炎は、簡単には消えない。
私には高嶺の花だと知っていた。
けれど、やはり諦め切れない。
だから私はあなたに恋し続ける。
触れるどころか、その姿を2度と見る事すら叶わなくても。

廃盤だと聞いて永遠に諦めた筈の例の鞄だったが、私は何かに取り憑かれたようにネットで探していた。
公式サイトから消え、オークションでも色違いしか見付からず、あちこちの輸入代行業者に問い合わせては入手不可と言われ、嗚呼もう駄目なのか……と絶望しかけた時、最後の代行業者から連絡メールが来た。
諸経費込みで、7万円。
店頭価格よりは安いが、それでも庶民には迷える値段である。
しかしここでまた見送ったら、私は再び、いや三度、後悔する事になるだろう。
ネットバンキングで代金を振り込み、待つ事1週間。
ほわ〜んな鞄は海を越え、とうとう私の家にやって来た。
うふうふうふ。
包み紙を剥がして大きな箱を開け、薄紙に包まれた鞄を手に取る。
嗚呼、幸せ……。

「ジャジャーン! 買っちゃいました♪」
帰宅したダーリンの目の前に、鞄を突き付けると、彼はこう言った。
「えっ、ホントに買っちゃったのか……」
え? だって貴方、廃盤と聞いて凹んでいる私に、こう仰いましたよね。
そんなに欲しかったら、買ってもいいよ〜って。
「もしかして」
鈍い私もやっと気付いた。
「廃盤で、どうせ手に入らないだろうと思っての『買ってもいいよ』発言だったの?」
「ハハハ、そういう事。まあ、買っちゃったんだから仕方ないか。暫くシオンのお小遣いは無しだな。シオンに対して出る扶養手当は、ひと月1万5千円なんだから、5箇月分か」
でもいいの、やっと手に入ったのだから、ダーリンありがとう。
大事に使います。


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