日々是迷々之記
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| 2003年04月09日(水) |
箸箱はどうあるべきか |
会社の帰りに100円均一の店に寄った。床から天井まで雑多なモノがぎっしり押し込まれていて全てが100円である。私は第一の目的のクリアファイルを手にして店の中をねり歩いた。本当になんでもある。ふかひれスープにすり鉢、包丁に老眼鏡、食パンに剣山。全てが100円なのである。
わたしはふと、箸箱を買わなければいけないことを思い出した。うちの家は弁当を毎日持って会社に行っている。ダンナさんの弁当箱のフタにはへこみがあって、そこにプラスチックの箸をしまえるようになっている。が、ダンナさんは手がでかいので、その小さなプラスチックの箸が苦手で、その箸を使わずに家にある割り箸を適当に持っていっていたのだ。
が、いつか割り箸はなくなる。コンビニ弁当に付いていたものとか、会社で仕出し弁当を取ったときに残ったモノとかを備蓄していたのだが、ぼちぼちなくなる。ということで箸箱を買うことにしたのだ。箸は家にあるヤツを入れるつもりだった。
私は台所用品売り場を物色した。すると濃紺で大きめの箸箱が裏返しに置いてあった。「こんなもんかな?」と思って表に返してびっくりした。箸箱のフタ部分に「花鳥風月」とグレーの筆文字で書いてあるのだ。何故に「花鳥風月」なのだ。箸箱のフタの三分の一が「花鳥風月」。すごい。
私は軽いめまいを感じながら深緑色の箸箱を見つけた。ちょっと薄目だが、長さは十分そうだ。それを手にとってナニゲに見たらさぶいぼ(鳥肌)が立った。フタ一面にゴハン粒くらいのサイズの小さな唐草模様がぎっしり描かれているのだ。じーっと見ていると何だか吸い込まれそうな極小の唐草模様。私は打ちひしがれた気持ちで箸箱を戻した。
結局その日は箸箱を買うことはできなかった。家に帰ってからマックの前に座り、また箸箱のことを思い出してみる。あの箸箱のデザイナーはどんな気持ちであのデザインを作ったのだろう。クッキー文字で「PAKU PAKU CLUB」とか、意味不明の英語風デザインは昔からあったが、筆文字で「花鳥風月」はどういう購買層をねらっていて、どういう人がこのデザインでOKを出したのか私にはその意志を図りかねる。唐草模様に至っては何かの間違えとしか思えない。
「唐草模様」や「花鳥風月」が描かれた箸箱から箸を出して弁当を食べるダンナさんのことを思うと目頭が熱くはならないのか?40歳を前にして、仕事もそれなりにこなし、周りからの信頼を得つつある男。その男の箸箱には唐草模様が渦巻いている。それでいいのか!
私はダンナさんが会社で人間の尊厳を失うことのないような箸箱選びをしようとココロに決めたのである。(多分100円均一の店以外で買えばいいだけなんだろうけど。)
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