日々是迷々之記
目次|前|次
「あたしってチビだから少しでも大きくなりたくて牛乳飲んでるんですぅ。」「おお、そうかそうか。」
このやりとりを聞いて、わたしは弁当を食べる箸を落としそうになった。牛乳を飲んでいた同僚女性(26才・独身)に向かって、おっちゃん(60少し前)が「おお、牛乳飲んでるんか?」と話しかけたことから始まった会話だ。
なんだかなぁ、と私は思う。私なら、「はぁ。」で終わりだ。第一そんなとっかかりで会話するのを好まないし。
しかし、彼女は社内のムードメーカー的存在のようだ。仕事もてきぱき、電話も率先して取り、そして、おっちゃんとの会話も盛り上げる。ぴたぴたのニットスーツに網タイツというのも雑居ビルの片隅にある小企業を盛り上げる一端を担っているようだ。
かくいう私は髪の毛を1つにまとめ、茶色のコーデュロイのシャツに黒のストレッチパンツ。仕事中に私語はほとんどしない。しゃべることで集中力がそがれて仕事にロスが出るからだ。それは私だけでなく、会話の相手にも言えることで迷惑をかけたくないという思いがあるからだ。
で、牛乳である。26才になって牛乳を飲んだからといって背が伸びるかどうかは別にして、26才にもなってそんなちゃらけたことが口に出せるなぁという恥ずかしさを感じた。自己紹介で「ちょっとドジでおっちょこちょいのワタシですが、がんばりますのでよろしくお願いしま〜す。」という言葉(斜め会釈付き)を聞いたときの虫酸の走り方に似ている。媚びのにおいがするのだ。
年齢、既婚・未婚に限らず、ある程度の「媚び」を含むことが女性が生きていく上で上手くいくエッセンスのようなものになるのかもと感じることがある。「カワイイやつめ。俺がフォローしてやらなきゃな。」とちょっと思わせることで周囲の単純な男性は親しみを感じ、うまくいくようフォローしてくれるのだろう。
あ〜、うざい。フォローはいらんからとにかくきちっと自分の仕事をしてくれと思う私には、別世界だ。
う〜ん、やっぱりこの会社、私には合わないなぁ。
|