阿呆的日常 主にJとかプロレスとか。
アホラレツ|キノウ|アシタ
カメ誕いわっとこう。 でも、カメが中丸さんに恋してて、イニさんが中丸さんを愛してるもんだから、 こんな話にしかならない誕生日。
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きみがいない。
携帯を見ても、彼の名前は液晶に浮かばない。 0時、1時、2時、3時…… おかしい。 どうして。 音が鳴らない。 2月23日、俺の、生まれた日。 祝ってくれと言わなくても、彼は俺に必ず。
「自惚れんな」
冷たい声を思い出した。 いや、勝手に冷たいと思った。 俺がちょっとイラついて、彼にあたったとき。 それでも彼が笑って、俺に飴を放り投げた、そのとき。 小さな飴玉分の俺のやわかい、あったかいものが、 砕けた気がした。
「あ、中丸、俺にもちょーだい」
俺にだけ聞こえた声。 誰にも聞こえた声に、彼は反応する。 どれがいい?なんて嬉しそうに聞いて、放り投げた。 俺だけの、と思ったのに、それは簡単に覆されて、 やわかいものが、あったかいものが、砕けてトゲトゲに なってしまった。
「俺、こないだウマイ店見つけたからさ」
当たり障りのない、他愛のない話題も、何もかも、 耳に入る音が痛い。言葉がつらい。 田口の声、聖の声、上田の声は入ってこないのに、 誰かの声だけが痛くて、彼の声がつらくて、俺は、 ガリガリと口に含んだ飴玉を噛んだ。 舌先が、痛い。
「今度行こうぜ」
あぁもしかしたら。 彼は行っているのかもしれない。 誰かと一緒なんだろう。 だから、俺にメールなんて、電話なんて、しない。 俺の誕生日だってわかっていても、きっと。 気を遣うひとだって、知ってる。
♪♪♪
ごめん。 嬉しいけど、嬉しくない。 誰からメールが届いても、誰から電話がかかってきても。 返事は、あとでする。 どんな音が鳴っても、彼からの言葉は届かないんだ。 だって、いつも、俺の生まれた日を、祝ってくれたのに。
♪♪♪
4時、5時、6時、7時…… 時間はどんどん過ぎていって、俺は待っているのが とてもつらくて、携帯の電源を切った。 バカみてぇ。 自嘲気味に自分に言って、溜息を吐いた。 何を待っているんだろう。
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誰かが言ったように、俺は自惚れていたのかな。 彼は俺のことが、とか。 彼は俺のために、とか。 彼は俺だけに、とか。 でもその分、寂しい気持ちだって抱えているのに。 そう、思うことが、自分を保つ術だったのに。
♪♪♪
日が変わる。 もういいかげん携帯の電源を入れた。 仕事の連絡だって入っているだろうに、俺も大概 バカだと思う。 電源を入れて、メールが受信される。着信と留守電。 いやだ。
雪だるま、とけちゃったよ。
その言葉は、まるできみがいなくなるようで、俺は 雪よりも冷たい涙を流した。 長い長いメール、誰かにばかやろう呼ばわりされながら 雪だるまを作ってクール便で送ったとか、とかさないように 頑張ったとか、小さくなっちゃったけどプレゼントしたかった のにとか。
誕生日おめでとう。 カメの誕生日が来ると、もうすぐ春だなって思う。
涙の粒の分だけ、やわこくて、あったかく、なった。
オハリ。
き あ ぬ
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