阿呆的日常 主にJとかプロレスとか。
アホラレツキノウアシタ

2005年03月04日(金) 大人の階段/お返事。/うわー。

踏み外す勢いで駆け上ってくれ。

S氏、お誕生日おめでとう。
こうやってあなたのお誕生日をSSで祝うのは何回目だろ。
おとなしく忍菊だったこともあれば、多分ヒューロイも
お誕生日絡みでワタシ書いたよね。
今年はアベミハと来たもんだ。
あなたの萌え遍歴がよくわかるな(笑)
でも、ワタシ、ミハベだから!譲れないから!
読み方次第でどっちにも取れるけども、まぁそこいらへんで
プレゼントフォーユー。
とりあえず書き終えて思うことは、おお振りは難しいって
ことでしょうか。
もう少し精進せねば。どのジャンルにも言えることだけど。
ジックリ書いてみたい。
『春の歌』書きたいなと思って、欠片思いついたモノを
文にしてみたんだけど、中途半端だ……ゴメンねぇ。

ちなみにタイトルはレミオロメンからもらいました。
手をつなぐエピソード入れたかった。



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南風  



寒い。
手がかじかむ。
冬の練習は体力作りがメインで、それ以外にセクション別の
メニューが多くなる。
まだ、俺たち一年生だけ。
あと一ヶ月もしないうちに、後輩は入ってくる。
俺たち最初のメンバーで過ごす、最後の季節。
その冬が終われば春がやって来る。
「さ、寒いね、阿部くん」
はぁと息を手に吹きかけながら、隣にいる三橋が言った。
「はや、早く、春にならないかな」
新しく覚えた球種を使いたくて仕方ないんだろう。寒さで
縮こまる身体をストレッチでゆっくり解しながら、三橋は
くいくいと手首を動かした。その指先はボールを握る仕草を
見せる。
「お前、春来たら後輩入るし、そん中にすげぇピッチャー
いるかもしんねぇぞ」
そーしたらうちのエースはどうなるかねぇと意地悪く言って
みれば、三橋はじっと俺の顔を見て、瞳を左右に動かした。
「そ、んときは、そん、と、き」
自信なさげに怯えた風な表情はまだ抜け切れなくて、でも。
「だけど、俺、負け、ないし」
言葉は強くなった。隠れ潜んでいた意思が見えるように
なった。確実に三橋は変わった。
「渡さない、よ」
動いていた瞳が止まる。俺の目に真っ直ぐ向き合うように。
「でも、」
「でも?」
「もう、少しだけ、このまま、で、いても」
いいかなって思うと続く三橋の言葉は小さくなって、その
ままピュウと吹いた北風に掻き消されてしまった。
モモカンの声がして、俺たちは立ち上がる。
「さ、身体解したところで、走り込みだよ!」
俺たちは北風に向かって走り出した。
背筋が妙に寒かった。


もう三月、暦の上では春だ。けれど、こんなに風は冷たく
春の気配も感じない。
季節は変わる。
俺たちは春を過ごし夏を迎え、秋に経て冬に辿り着いた。
三橋は、変わった。
多分俺も、変わった。
皆、変わった。
季節は繰り返すが、俺たちの変化は繰り返さない。
変わり続けていくのが俺たちだ。
だが三橋が持つ強い意思、誰にも負けない意思は――
なかなか表には出ないが、根付いている意思の強さは
相当なモンがある。
それはきっと変わらないものだ。
誰もきっと気付いてはいない、三橋の強さはそこにある。
見かけや言動、表に出やすいネガティブな思考に、それは
隠れてしまうから。
「阿部くん?」
「え?」
ペースが落ちた俺を追い抜かしかけた三橋が俺の顔を
覗き込む。
「だ、だい、じょうぶ?」
「バッカ、お前に聞かれたかねぇよ」
俺は抜かされまいとペースを上げた。
「で、でも、あまり無理、しないで」
「大丈夫だって」
「でも、阿部くん」
ぐいと三橋に腕を引っ張られる。横を走り抜けようとした
花井が俺の顔を見て足を止めた。
「アレ?阿部、顔、火照ってないか?」
「ね、熱が、ありそうなんだ」
「熱?」
それ寒いから顔赤いのとは違そうだなと花井は言う。
「ねぇよ。別に具合悪くもねぇし」
「悪い、悪いよ、ぜった、い」
「とりあえずゆっくり走ってこいよ。風邪だったらこじらせ
たら大変だろ。来週は練習試合あんだし」
三橋は花井の言葉にウンウンと頷く。
何か、気分悪ぃ。俺は、別に、体調悪くなんかねぇし、熱
だってない。そういやちょっと寒いなと感じただけで、それ
は今寒いから誰もが感じてることだろ?
「阿部、くん、ホントだよ。阿部くん、熱、あるよ」
また走り始めた花井の後を追うように俺が走り出せば、三橋
が俺の腕を掴む手の力を強める。
「ホント、だよ!」
病気したら、俺が、こま、ると小さく消えそうな声は今度は
国道を走る車の音が掻っ攫っていった。
「どーしてンなことわかんだよ」
「わかるよ!」
「俺は別に具合なんか、悪くねぇって」
「あ、阿部くんのことは、俺、――わかるよ!」
車の音を、三橋の声が掻き消した。
途端身体中を寒気が襲って、それが走る力を削っていく。
「阿部、くん」
「とりあえずガッコ戻る……」
三橋が初めて聞くような大声で言ったことが、頭ン中、
グルグルと回った。
走ってきた道を歩いて戻る。三橋にはお前は走れと逆に
向かわせた。
わかるよ、か。
どっかで聞いたことがある言葉だなと俺は思った。
あれは確か一番最初の練習試合、三橋がいた中学との試合。
三橋の過去を知り、キャッチャーというものを知り、三橋を、
三橋を『作る』欠片をわかったとき。
「どーいう意味で言ったんだ、アイツは」
俺は寒気が全身を取り巻いて、頭の一部がだんだんぼーっと
していくのを感じていた。
「わかるよ、か……」
俺がお前を知ってきたように、わかってきたように、お前
も俺を知ってくんだろうか、わかってくんだろうか。
そういう、意味なのだろうか。



三橋は変わった。
俺も変わった。
皆変わった。
いろんなことを知り、学び、わかってきた。
それでもまだ知ることはあり、学ぶことはあり、わかって
いくことがある。
変わった分だけ知っていくことも。
変わった分だけわかっていくことも。



「わかる、ようになったんだ。阿部くん、を、ずっと、
俺、見てる、から」
保健室で横になっている俺に、三橋が言った。
「阿部くん、が、俺のこと、わかって、くれる、から」
もう少しだけこのまま、寝た振りをしていようと思う。
春を迎えたいのと、このままでいたいのと、そんな風に
言った三橋の気持ちが、わかるような気がした。
「阿部くんの、風邪が、早く、治りますように」
そんな風に言うのがおかしくて、俺は思わず吹き出した。
「あ、阿部くん!」
挙動不審を絵に描いたようにアタフタし出した三橋だった
けど、俺と目が合うとホッとした顔になる。
「練習試合までは絶対治すから心配すんな」
「う、うん!」
多分俺たちはきっと、こんな風に頑張れる。
互いを知ること、わかり合うこと、単純なようで難しい、
けれどそれしかない強さを得ていくんだろう。



南風、春を呼ぶ風が吹く。
俺もお前も、そして皆が、またさらに強くなる季節が
始まる。









オワリ。



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★一言メールお返事。
>はづきさん
リンク確認させていただきました!ありがとうございます。
日に日に自パソの調子が悪くなってきています。早く買換え
なくちゃ。
ワタクシは生粋の独身ではありますが、でもだんだんとそう
いう気持ちを忘れてしまって寂しいところ。あの頃に戻れは
しないけど、大切にしたい感情ではありますね。
乱菊さんと日番谷くんの感じ方が同じでこちらこそ嬉しいです。
「どうぞ」は十番隊好きの方々には結構キたシーンですよね!
>ヨハンナさん
宣伝してくれたの!?(笑)アリガトーと言うべきか何と言う
べきか。だって宣伝してもらうほどのモノじゃないなと読み
直して思ったよ……それでも好きだけどね、洋藤!


さて、これからお誕生日プレゼントなSSでも書くか。


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雪だー。



夜は雨のまま雪に変わらないといいと願っていたのに。
案の定降りやがった。
出かけないといけないってときにこんな雪なんてひどい。



昨日大層愉快なことがあり、あちこちにメールしました。
だって本当に息子のエロ本見つけた母親の心境になった
というか血は争えないというか、
どうしてそこにそれがあるのか存在理由を聞きたいけれど
多分そればできません。
どうして妹のタンスの奥隅に
BL小説月刊誌(創刊号)が
入っているんだろう?

しかも本屋で買ったそのままの姿で。(本屋のビニールに
入ったままなのであります)(ニットを借りようとタンス
を漁ってたら目に留まったの)
いろんな理由を想像しながら、ワタクシは明日も早売り
ジャンプを買いに行こうと思ったのでした。



さー着替えて化粧して雪ん中出てくかー。
やだやだ。


き あ ぬ